第26話 ゴールデントライアングルに行こう!
毎日が興奮の連続だったタイ生活も、滞在期間が長くなるにつれて刺激は徐々に薄れていった。
そんなマンネリ気分を解消するため、俺とナオキは節目となる渡航一周年に向けて長期旅行の計画を練っていた。
「俺、ゴールデン・トライアングル行きたいっす!」
ナオキが初っ端に興味を示したゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)とは、一昔前までアフガニスタン・パキスタン・イラン国境付近の黄金の三日月地帯と並ぶ世界最大級の麻薬・覚醒剤密造拠点があった場所だ。
「いいね!胡散臭さ満点って感じで」
ナオキらしいリクエストに俺も即座に同意する。
「おっ、ここ見て。ゴールデン・トライアングルの近くからミャンマーに一時入国できる国境があるよ」
「ホントだ。メーサイ、タチレクボーダーっすね。国境マニアにはたまらないっす!」
ここまでの話し合いで、大ざっぱな行き先はタイ北部方面と決まったが、今回二人は10連休を取得する予定である。まだまだ遠くへ行けそうだ。
「どうせ国境越えるならリエントリーが必要だし、ラオスも回っちゃおうか?」
リエントリー(正式名:リエントリーパーミット)とは、タイのビザを持つ者が一時出国する際、再入国に必要な許可証である。これを取らずうっかり国境をまたいでしまうと、大切な滞在許可が失効するので注意が必要だ。
「いいっすね!バンコクに流れてくるマリファナは、ほとんどがラオス産なんで期待できますよ!」
サンブックスで買った地球の歩き方に眼を落とすナオキは、好奇心が抑えきれない表情だ。
※サンブックス=スクムビットsoi39の入り口にある日本語書籍専門の古本屋
ここで、俺たちが旅するルートをざっくりと紹介しよう。
バンコクからチェンラーイまではエアアジアを利用する。
そして、チェンラーイを拠点にメーサイとゴールデントライアングルを周遊した後、国境の街チェンコーンへと移動する。
チェンコーンから渡し船でメコン川を渡った対岸がラオス側の街フアイサーイだ。
この街から出るスローボートに揺られること一泊二日。
川を下った先に最終目的地の古都ルアンパバーンがある。
「あとは休暇申請が通るかだね・・・」
「きっとSVは不貞腐れますよ。稼ぎ頭の俺らの穴が、そう簡単に埋まるはずないっすから。アッハハハハ」
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