第4話 野生のアイドル ワイルドリリィ
「どうして、彼女をこんな所に閉じ込めておくんですか!」
「必要な措置なんだ」
「小さな女の子を監禁する行為を、『必要な措置』だなんて!」
「やむおえんのだよ。こっちも迷惑してるんだ」
「迷惑?! ワイルド・リリィはね、アフリカやアマゾンの絶滅危惧動物たちを密猟者から守ってきた英雄なんですよ! その勇気ある行動を『迷惑』だって言うんですか!」
「彼女の功績は知ってる。だがね、それとこれとは別問題だ」
「…さては、あなた方は密猟者や密輸業者と繋がってますね?!」
「なにをバカな事を。これは防疫措置なんだ」
「貿易ですって?!やはりお金のためなんですね!」
「違う!いい加減にしろ! 疫病を防ぐ、の防疫だ! あのガキが魔法の扉でホイホイ未開のジャングルから帰ってくるたび、日本に本来存在しないウイルスやら病原菌やら媒介生物やらがバラまかれるんだ!先週のニュースを観とらんのか?! 都内でマラリアが発生したんだぞ!」
「間違った食習慣のせいで、免疫力が低下してるからですよ」
「この…!!」
「あの、すみません。ワイルド・リリィの親権者を名乗る人物が、人権派の弁護士と一緒に面会を求めているんですが…」
「また『親権者』か! ジャングルで拾われたオオカミ少女に、いったい何人の親権者が現れるんだ!!」
「彼女に対する差別的発言だ!」
「うるさい黙ってろ!! 私が行く! いいか、あの小娘を絶対にマジカルステッキに近づけるなよ! このクソ暑い中、防護服を着て都民のゲロを消毒して回りたくなければな!!!」
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