第8話 戦闘開始
その瞬間、カズマの隣に現れるアニマ。
なんだあいつは!?サイクロプス?いや……
そこには、禍々しき1つ目に、爬虫類らしき肌をしたアニマが立っていた。
「ウル、アニマって人間みたいなやつらばかりじゃないのか?」
「そうよ。本当に、大きさから、見た目、強さ、攻撃スタイルまで様々よ」
「そうなのか……」
はぁ、もう全く勝てる気がしない……。ウルの見た目は普通の可愛い女の子。どうすれば、あんな化け物みたいなやつに勝てるっていうんだよ。
とにかく、戦闘における基本は情報分析からだ。えっと……。他には、太く長い尻尾に、両肩から生えたキャノン砲?らしきもの。それに、慎重は2mくらいか。歯も鋭そうだな。
突如、大笑いするカズマ。
「なんだよ、そのメイド服の女わ!てめぇ、やる気あんのかよ。きしょくわりぃんだよ、この変態オタク野郎が!」
たしかに、こんな女の子を戦わせるとか、きもいやつでしかない……。こんなことなら、戦闘服にでもしとけばよかった。……いや、まてよ。
俺は、カズマを無視してウルに話しかける。
「ウル、もしかして、身体能力値とかステータス値みたいなものってあるのか?例えば、衣装を変えることで強くなったりするとか」
首を横に振るウル。
「でも、クラス(職業)と特殊能力ならあるわ」
「なるほどな」
もともとの身体能力に、クラス特性、それに、アメリカのCEOも言っていた特殊能力か。
流石に、もうこれ以上、考える余地も与えず、攻撃を仕掛けようとする相手。
「いくぞ、キラー、お前はあのメイドの女をやれ、俺は人間の方をボコッてやる」
「わかった、カズマ」
「ハハッ。これは、人間に怪我をさせても、俺には関係ないよなぁ。だって、アニマのせいにできるからなぁ!」
そう、言い放つと、すぐさま、カズマとキラーは俺とウルをめがけて走ってきた。
くそっ。今は確実に向こうのペースだ……。いや、でも、幸いにも敵のアニマから俺へのターゲットが離れたのはチャンスかもしれない。
「ウル、とりあえず今は単独で逃げられるか」
「逃げられるけど、戦わないの?」
「うん。今はもう少し状況を把握して、作戦を立てたい。それに、ウルの特殊能力もまだわかっていないし」
なにより、こちらの戦力を把握せず、敵のアニマの身体能力、クラス、そして特殊能力もわからない状況で戦うのは危険すぎる。きっと相性みたいなものもあるはずだ。
「わかったわ。ミチノブ。私は大丈夫だから、戦闘不能にならないようにね」
「あぁ。ウル、頼んだ」
そう言うと、俺はすぐさまカズマから全速力で逃げた。
体力はないが、スピードなら少し自信はある。
よし、少しずつ離している。
さぁ、どうしよう。俺はこのままウルと別々に戦うべきなのか、それとも、合流して確実に1人を倒すべきなのか。……でも、それより、まずはウルのクラスと特殊能力の確認をしないとな。
俺は、走りながら頭で『ウルのクラスと特殊能力を表示』と指示を出した。
すぐさま、視界に表示される、クラスと特殊能力。
『クラス:ファイター』
ファイター?!
ギャップを感じた俺は少し笑みをこぼした。
なるほど。基本的にウルは近接攻撃が得意ってわけか。でも、女の子を肉弾で戦わせるのは少し気が引けるな……。それで、次は……
『特殊能力:タッチアップ(詳細表示)』
タッチアップ?そんな能力、ゲームでも、今まで聞いたことがない。とりあえず、詳細を表示してみよう。
『詳細:パートナが触れている対象物の2倍の能力をアニマが得る。
ただし、片手で触れているもの、1つまでとする。
(手を離してから10秒間は持続)』
なるほど。使いようによったら強いかも知れない。うん、2倍の能力か……もとの触れているものが、少し強くないといけないかもな。それに、対象物の能力が何を指しているのかもわからない。まぁ、とりあえず、今は使ってみるしかなさそうだな。
俺は、カズマを
「ハーッ、ハーッ、久しぶりに走るのは、やっぱりきついな。ニートには堪えるよ」
それにしても、なんとか、ウルは逃げきってくれているかな。まぁ、バトルが続いてるってことは、まだ大丈夫なはずだ。それに、幸いにもウルはファイター系だから身体能力が元から高いはず。それに比べ、相手は多分、あの肩のキャノン砲からして、中距離か、遠距離型だ。……だから、元々の身体能力では必ずウルよりは劣るだろう。よし、いける。
……あぁ、それにしても、ほんとに疲れる。てか、そうだ。ウルと連絡はとれないのか。
俺は、連絡を試みるが、コマンドらしきものが現れなかったので断念した。
今更、じっくりとルールブックを見ている暇もない。あと、確認できることと言えば……そうだ、バトルアイテムだ。
すぐに、アイテムショップをイメージするが『現在、バトル中のため購入できません』の一点張り……。
ダメだ……。もう流石に戦わないとな。でも、俺は多分、タイマンであのチンピラ野郎には勝てない。どうする……。うん、やっぱりここはとりあえず戻ってウルと合流しよう。ウルも能力を使った方が良さそうだ。……それに、考えがある。
急いで、来た道を戻る俺。
だが、突如、先ほどのパーキング手前で、俺の後頭部に強い衝撃が走った。
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