男の夢(ロマン)
「今期、マジありえないわ」
タケルは今期アニメになにやら不満を募らせていた。
「そう?今期はミリタリー関連の作品が多いから僕は好きだけど」
少佐は自身の好みを反映した作品が多い今期アニメに満足している様子だった。
「ハーレムものが1本もないってどーゆう事だよ!」
”モテたい”という願望が誰よりも強いタケル。
そんなタケルが最も好むジャンル”ハーレムもの”。
今まではそんなタケルの願いを(擬似的に)叶えてくれる複数の女子に男子一人が囲まれる設定のいわゆるハーレムものが必ず1本はあったが今期はなんと前代未聞のゼロであった。。。
「ハーレムアニメは俺にとって心の栄養。ハーレムアニメがない期なんてありえないぜ!」
「一切の無駄を排除した様式美。全ての感情を挿入(?)できる。こんな美しい世界が見られないなんて俺は悲しい!」
「ハーレムは男の夢だろ!!」
タケルが想いの丈を叫ぶ。
「フム、、、確かにここ最近BL系や乙女系が増えてきて”聖域”が圧迫されている感は否めんな」
メガネが業界全体を俯瞰でとらえる。
「ハーレム枠がないなんて世界、俺は絶対に認めない!」
「ないなら作ってやる!!」
「え?作るって・・・・なにを?」
少佐がタケルの発言に戸惑う。
「今からオリジナルのハーレムラノベを作って来季にアニメ化する!」
「アニメ化ってそんな簡単にできるものじゃないんじゃ・・・・」
少佐がタケルの壮大かつ無謀すぎるプランに絶句する。
「それにそんな事してたらデュエルする時間がなくなっちゃうよ」
少佐が不安を募らせる。
「デュエルは大事だ。しかしそれは自分がプレイしたいと思うアニソンがあってこそのもの」
「俺のデッキは基本的にハーレムもので構成されている言わばハーレムデッキ。新作がないなら作るしかない!」
聖域を取り戻すため鼻息を荒くしたタケルは学校のラノベ同好会へ駆け足で向かった。
◆
「ハーレムもの?」
「でも今、部で取り組んでる作品もあるしシナリオ書くのだって時間がかかるからそんなすぐには無理だよ」
同好会のメンバーからネガティブな返答が返ってきた。
「シナリオは俺が作る!」
こうしてタケルは無理やり”聖域を守る会”をラノベ同好会内に発足。
タケルが発案したテロップは当然学園もの。
男性キャラは主人公以外を一切排除した徹底的な俺tueeeものだった。
「こんなベタなの、今どきウケないんじゃ・・・・」
同好会から批判的な声が上がる。
「ベタこそ王道。ディティールに神は宿る!」
そうして同好会メンバーを無理やり監禁状態にし厳しい監修の元、タケルの夢を詰め込んだハーレムライトノベルは瞬く間に完成した。
タケルは某巨大掲示板に”聖域を守る会”のスレを立ち上げその作品を公開。
早期アニメ化を希望する旨を書き、クラウドファンディングに出資する同士を募集した。
タケルのハーレムアニメに対する愛が詰まったその作品(ラノベ)は、瞬く間にタケルと同じくハーレムアニメに渇望している同士の間で広まりアニメ化に必要な予算が発表から僅か一ヶ月もせずに集まり来季アニメ化が決定。
異様なまでの集中力でタケルは夢を形にした。
「・・・・デュエルにもあれくらい本気で打ち込んでくれたらな」
「・・・・まったくだよね」
タケルの持つ可能性の片鱗をみたメガネと少佐は、そんなタケルのベクトルが少しでもデュエルへ向かうことを願った。
終わり
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