SDタケル3期SP回 プライスレス

―エピローグ―


「知ってた?実はこのラノベ今回で25話目なんだぜ!」


タケルからメタ要素強めな発言が飛び出す。


「アニメで考えれば3期目の始まりに当たる節目回とも言えるな」


ストーリーの解説的な役割も担うメガネがこれまでの軌跡を振り返る。


「2期の終わりでもある24話がどうかと思うけど、まさかこんなに長く続くとは思わなかったね!」


少佐が嬉しそうな顔でふたりの会話に続く。


「と、いうわけで3期目はりきって行こーぜ!」



サウンドデュエラー猛 第3期


タイトル:プライスレス


「・・・・ついに俺もここまで登りつめたか」


ここは六本木のとあるビルの最上階。


眼下に広がる高層ビルが立ち並ぶ都会の風景を眺めながらタケルがつぶやいた。


「何がここまで登りつめただ!ここはボクのオフィスじゃないか!!」


忙しそうにアレコレしながら時政がタケルの発言にツッコミを入れる。


「何しに来たんだ!ボクはお前と違って忙しいんだからな!」


まだ14歳でありながら会社の代表も務める時政。


小学生の時にはじめたアフィリエイトビジネスで大儲けし、その資金を運用する会社として時政カンパニーを設立。


現在は株やFXなどを運用する投資家としても裁量を発揮している。


デュエルにおいてもデュエルプリンスの異名を持ち、連戦連勝のプロデュエラーとして活躍。


しかしタケルには2敗しており自身のキャリアを傷つけたタケルをライバル視し、飛び級で高卒の資格も取得できることもあってタケルの通う蓮葉学園に転入。


タケルとのデュエルを渇望しているが”めんどくさい”という理由からいつもタケルにはぐらかされている。


「あー見ろ!お前が仕事の邪魔するから1億円損しちゃったじゃないか!」


「まーそう怒んなって時政ちゃん」


「何が時政ちゃんだ!仕事の邪魔するなら帰ってくれ」


「そうか。お前とデュエルしてやろうと思って来てやったんだがな」


「な・・・・それは本当か?!」


「ああ、俺の提示する条件を飲んでくれたらな」


「いいだろう!ボクとデュエルすると言うのならどんな条件でも飲んでやる!」


そう言うと時政はその日の売買を早々に切り上げタケルに対峙する。


「言ってみろ!何が勝負の条件だ?」


「そうこなくっちゃな」


タケルがニヤリと笑った。





ここは六本木にある高級キャバクラ。


タケルが提示したデュエルの条件とは時政のゴチでフロアで働く全員のホステスをはべらせ一晩盛大なハーレムを堪能する事だった。


「いやー。やっと夢が叶ったわw ハーレム最高だぜ!」


「”アニメじゃない!”ってな」


人一倍モテたいという願望を叶えたタケルのテンションは最高潮(最初からクライマックス)に達していた。


「いやーさすが3期!スケールが違うね」


少佐もノリノリである。


その横でメガネはキャビアが乗ったカナッペをつまみに年代物のロマネコンティ(1本220万円)をたしなみながらPS Vitaで美少女ゲームを堪能している。


「おいタケル! いつまで遊ぶ気だ。いつになったらボクとデュエルするんだ!」


早くタケルとデュエルをしたい時政はシビレを切らしている。


「まーそう焦んなって。まだまだ夜はこれからだぜ」


ドンちゃん騒ぎは収まることなくエスカレートし夜は更けていく。


タケルと早くデュエルがしたい。


その一心で時政は爪を噛みながらまだかまだかと隣でその宴会が終わるのを待っていた。


閉店時間になり、"マスターカード"で会計を済ませた時政は意気揚々とタケルに問いかける。


「約束だ!デュエルしろ!」


「ひっく。今日は酔っ払ってそれどころじゃないからまた今度な」


タケルはすっかり出来上がっていた。


「・・・・な、ずるいぞタケル!飲み終わったら勝負するって約束だったじゃないか!」


「ひっく。こんな酔っている状態でデュエルなどできるはずがない。仮にそんなフラフラな相手に勝てたとしても本望ではないだろう。ナハハ」


上質なワインをしこたま飲んだメガネもかなり酔っ払っている。


「ひっく。そーそー。同じ学校なんだからデュエルなんていつでもできるよ」


少佐も千鳥足で時政をたしなめる。


「・・・・くっ、じゃあ明日だ!明日必ずデュエルするんだからな!いいな約束だぞ!」


時政は渋々話を飲んだ。



―翌日―


「タケル!今日の放課後、分かってるな!」


朝一番。学校につくなり教室で時政がタケルとの昨日の約束を確認する。


「二日酔いで頭が痛いってのに朝から鬱陶しいな。一体なんのことだよ」


「な・・・・お前、 昨日ボクのオフィスに来てデュエルするって約束したじゃないか!」


「覚えてないな。何かそんな証拠でもあるのかよ」


タケルは書面などで証拠がないことを理由に約束は無効であると言い放った。


「ず・・・・ずるい!タケル汚いぞ!」


こうして時政が渇望しているタケルとのデュエルはタケルの陰謀により闇に葬り去られまたの機会に持ち越された。



つづく

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