地元の味を守れ!(後編)
悪徳地上げ屋VSタケル
勝負は3回戦。
先に2回オーディエンスからより多くの支持が集められた方の勝ちとなる。
「俺のバブルデッキは無敵だ。相手が誰だろうと絶対に負けない。ククク…誰だろうとな」
地上げ屋デュエラーは怪しげな笑みを浮かべる。
「まずはさっきのジジイとのラウンドの白黒つけさせてもらうぜ」
「俺のデュエルが面白かった奴!」
デュエルを見守るオーディエンスのほぼ全員から地上げデュエラーに拍手喝采が巻き起こる。
「決まったようだな。1回戦は俺の勝ちだ」
「まだ分かんないじゃないか!ボクはおじいさんのデュエルの方が良かったぞー!」
横から店主の孫が出てきて地上げ屋に抗議する。
「ンだとこのガキ!あっちのオヤジの方が面白かっただろうが!」
「デュエルの『デュ』の字も分かんねー糞ガキはすっこんでろ!」
オーディエンス数名が抗議した子供を恫喝し威嚇する。
(タケル、気づいているか)
メガネが小声でタケルに小声で耳打ちする。
「気づいてるって何を?」
(集まっているオーディエンスをよく見てみろ)
オーディエンスをよく見ると柄のワルそうな連中が多い。
(恐らくオーディエンスのほとんどはサクラだ。あの地上げ屋の仲間だろう。このデュエルは完全な出来レースだ)
「あの野郎…きったねえ真似しやがるぜ!」
(私に作戦がある。タケル少し時間を稼いでくれ)
「オラ、ガキ。早くはじめねーか」
地上げデュエラーと取り巻きのサクラがタケルを煽る。
「は、腹が痛い。ちょっとタンマ」
そういうとタケルは敷地内にあるWCに駆け込んだ。
・・・・数分後
「待たせて悪かったな。準備OKだぜ!」
「ビビって腹でも壊したか?代理デュエルなんざ受けなきゃよかったって後悔させてやる」
地上げデュエラーは余裕の表情でタケルを見下す。
「そっちこそ俺の代理デュエルを認めたことを後悔させてやるぜ!」
ついにデュエル2回戦は開始された。
先攻はタケル。
「行くぞ俺のターン!」
オーディエンスがほぼサクラしかいないこの場では何をプレイしてもサクラから怒号や野次が飛ぶばかりだった。
「つまんねーぞ!」
「帰れこのガキ!」
続いて地上げデュエラーのターン。
「このラウンドで俺が勝てば俺の勝ちだ。分かってるな」
地上げデュエラーは絶対の勝利を確信した表情でタケルに確認する。
「ちっ・・・・ああ」
タケルは仕方なく承諾する。
「タ、タケルくん・・・・」
店主は半ばあきらめかけた表情でタケルの名をか細くつぶやく。
そしてサクラによる見せかけの声援の中、地上げデュエラーは自慢のバブルデッキでタケルに容赦ない攻撃をしかける。
タケルは無言で地上げデュエラーが巻き起こす竜巻のような猛攻に耐えていた。
(頼む!間に合ってくれ)
こうして互いが10分ずつプレイし合い、オーディエンスによる投票が開始。
「俺のデュエルが面白かった奴!」
サクラが拍手喝采を送り 地上げデュエラーを賞賛する。
「決まりだな」
「ちょっと待ったー!」
ドドドドドド、、、、
地響きが鳴り老若男女の集団が突如、走り寄ってきた。
「な・・・・なんだお前ら!?」
地上げデュエラーは予想だにしない展開に戸惑っている。
デュエルスポットには娘々を愛する200名を超える地元民が集結していた。
「タケルくんのデュエルが面白いと思った人!」
少佐が大声で皆に呼びかけた。
会場全体に割れんばかりの拍手が巻き起こる。
「て、てめーら!デュエル観てねーじゃねーか!」
「イカサマだ!こんなの通るかバカ野郎!」
地上げデュエラーのサクラ達が抗議するが娘々ファンの数が多すぎて恫喝や脅しが効かない。
「て・・・・てめー何しやがった」
苛立ちを隠せない様子で地上げデュエラーはタケルに質問した。
「俺の仲間がオーディエンスを集めてくれたのさ」
メガネと少佐はタケルがデュエルしている間 twitterで地元の娘々
ファンへ呼びかけの投稿をしていたのだ。
「な・・・・なんだと」
「バブルがはじけたようだな」
タケルは力強い目でニッと笑う。
「お前の手口は割れている。目には目をってわけだ」
グッ・・・・
地上げデュエラーは両手のこぶしを握り締め肩を震わせながらタケルを激しく睨みつける。
「よし!ファイナルラウンドだ!いい曲がけるからみんな盛り上がってくれよ」
タケルはサザエさんやお茶の間で長年親しまれている名曲を連発。
「これが最後の曲だ!喰らえ」
うぉぉぉぉおおおお!!!!!!!
タケルは美味しいラーメンや中華料理を提供する店主に尊敬の意を込めて食戟のソーマ(無印)のOPをプレイ。
ぐぁぁぁああああああああああああ!!!
地上げデュエラーはタケルの迫力に押し切られ吹き飛んだ。
「ターンエンド!ほらお前の番だぜ」
「クソう!覚えてろ!」
勝算がないことを悟った地上げデュエラーはサクラに肩を支えられその場から去っていった。
「タケルくん、メガネくん、少佐、そして集まってくれたみんな・・・・本当にありがとう」
店主は涙をこぼし皆に感謝の意を伝えた。
「地元の味がなくなっちゃ寂しいからな!あんな奴らに地元の味は潰させはしないぜ」
こうして悪徳地上げ屋は二度と現れることなく、娘々は以前の活気を取り戻し今日も繁盛している。
終わり
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