Re:ゼロで学んだ本当の俺
「俺、新しい告白の方法思いついたわ」
「ちょっと今から告白してくる」
タケルは自信満々にメガネと少佐にそう告げると、最近タケルが熱を上げているクラスメイトまゆみの席に向かった。
「まゆみちゃん、……ちょっと話があるんだけどいいかな」
(行ったー!タケルくん、どんな方法を思いついたんだろう?)
少佐がメガネに問いかける。
(分からん。ここは静かに成り行きを見守ろう)
◆
◆
◆
「どーしたの?屋上なんかに呼び出して」
まゆみはキョトンとしている。
タケルは両こぶしを握りしめてうつむき、わざとらしくしばらくワナワナしてから台詞めいた言葉をつぶやきはじめた。
「……俺、本当にクズでダメな奴なんだ!」
「こんなに時間があるのに今まで何もして来なかった!」
「俺は俺のことが大嫌いだー!!」
「……そうだね」
まゆみは表情を変えず言葉を発した。
「私タケルくんのこと好みじゃないし興味ないけど、なんでタケルくんみたいなぐうたらで何もしない人間が主人公なのか本当に理解できないよ」
「え、ちょ」
タケルは予想と違う反応に驚く。
「私、男の人って包容力があって前向きに頑張ってる人が好き」
「タケルくんみたいに学校なのに昼間からビール飲んで何もしない人は絶対に嫌」
「背も小っちゃいし、勉強もできないし、デュエルだって全然やらないし。タケルくんって自分が思ってる以上に本当最低だよね」
「やめ……」
その後も体中を切り裂かれひっくり返した臓器や皮膚にてんこ盛りの塩を塗りたくられるような痛烈なスペルを数万文字に渡って浴びせられ続ける。
「心が、心が破裂する!もう…もう止めてくれー」
タケルは頭を抱えその場にうずくまる。
まゆみは少し首をかしげそのまま屋上から去っていった。
影に隠れて見守っていた少佐とメガネがタケルの元へいく。
「大丈夫?タケルくん」
少佐がタケルの安否を確認する。
「……っかしーなぁ」
タケルは顔を上げ首をひねりながらつぶやいた。
「あれが告白とは一体どういう作戦だったんだ?」
タケルが何をしたかったのか理解に苦しむメガネが真意を問う。
「Re:ゼロ18話の真似をしてみたんだよ」
「だって俺、頑張ってるじゃん?」
「だからそれを見ているみんなはそんな本当の俺の事を分かってるからああいう風に言ったら」
『そんな事ないよ!私はタケルくんの事好きだよ!!』
「ってレムみたいに言ってくれると思ったんだけどなー」
メガネ、少佐(アナタ、怠惰デスね・・・・)
辺りは夕日が沈みかけカラスが鳴いていた。
完
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