夏だ!海だよ!ビーチデュエル
「やった!海じゃん。もしかして今回はサービス回?」
タケルが人で賑わうビーチに興奮している。
「やっと夢にまで見た海回だね!ここまで連載がんばってきてよかったよ」
少佐も感無量といった表情でタケルの意見に続く。
「いや待て。何かおかしいと思わないか?よく回りを見てみろ」
メガネが盛り上がっている2人をたしなめる。
白い砂浜。透き通る海。
そこまでは良い。
しかし辺り一面を埋め尽くすのは男ばかりだった。
「……何だよコレ」
「それになんか全体的に妙にアイドルみたいな美男子ばっかってゆうか見た目のスペ
ックが高くない?」
◆
◆
◆
「姫様は俺が守ってみせる!」
「いや俺だー!」
「もー、私をみんなで取り合うのはやめて!」
アイドル系美男子に囲まれ顔を赤らめながら、まんざらでもない表情でティアラを着けた水着女子が海辺にそびえ立つステージの上にいる。
「アイドル系美男子の中に囲まれた女子が1人……なるほど」
「この設定は逆ハーレム。 つまりこの場所は乙女の妄想で支配されている世界のようだ」
メガネが状況を理解する。
「もしかしてこの前公園で女子ウケ狙いでいった方がいいんじゃないとか話してたからかな?」
少佐が不安そうに辺りを見回す。
「クソう、このラノベがそんなスムーズに行く訳ねーよな。やっぱこういうオチかよ。BLの世界じゃなくてまだマシだったぜ」
タケルが不満をつぶやく。
「なんだお前ら、見ない顔だな」
突然、見知らぬハイスペ男が話しかけてきた。
「俺の名はラ・ターシュ。よろしくな」
ラ・ターシュと名乗るその男は爽やかな笑顔で握手の手を差し伸べてきた。
「あ、ああ俺はタケル」
「タケル?変った名前だな。お前この国の【種族】か?」
「……すみません。ちょっとお尋ねしたいのですがここは何という国ですか?」
種族という言葉にひっかかりを感じたメガネはラ・ターシュに質問を投げかける。
「ここが何処ってここは精霊の国【DRC王国】に決まってるじゃないか」
(……ヤバイ、異世界だ)
3人は目を合わせる。
「あそこにおられるのがこの国の皇女、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ様でその隣におられるのが側近の執事グラン・クリュ様だ」
「あ、もしかしてお前ら優勝狙いで王国主催のデュエルに隣国から来たんだろ?」
「何しろ優勝したら姫様がどんな願いでも何でもひとつだけ叶えてくれるからな」
(脱出ルートはコレだ!)
メガネがふたりに視線を送り、ふたりもそれを理解した。
「あ、ああ実はそうなんだよ。でも俺達ディスク今持ってないし…」
タケルが話しを合わせる。
「ディスク?何だよソレ。姫様に捧げる歌は呪文で呼び出すんだぜ」
そう言うと ラ・ターシュはなにやら聞いたことのない言葉(スペル)を発した。
すると天空から光が差し魔法陣のようなものが現れタケルらの回りを囲い歌が聞こえ始めた。
「スゲー!どーやってやるんだよソレ?」
「歌の題名を唱えただけさ。そんなんで大丈夫かお前」
ラ・ターシュがやれやれと首を振る。
「お前もやってみろよ」
タケルは適当に自分の好きなアニソンのタイトルを唱えてみた。
すると 天空から光が差し曲が聞こえはじめる。
「変った曲だな。けどジャッジメントは姫様だ。もっと姫様が好きそうな歌を捧げた方がいいと思うぜ。じゃなー」
そう言うと ラ・ターシュは手を振りながら爽やかにその場から立ち去った。
「この世界から脱出するにはこのデュエルで優勝し、私達3人を現実世界に帰してもらうよう姫に頼むしかない」
「でも、どんな曲かければいーんだよ」
「ここは逆ハーレム異世界。この世界の曲を知らないのだからあそこにいる姫が喜びそうな乙女向けアニメの曲で戦うしかあるまい」
メガネがタケルに戦略を伝える。
「…これ、もし優勝できなかったらどうなるんだろう?」
少佐が怯えた顔でメガネに問う。
「考えたくないことだが、永遠にこのビーチで過ごすことになるかも知れん」
「人気取りの為だかなんだか知らねーが、俺の理想とする世界はこんなんじゃない!絶対優勝して元の世界に帰ってやるぜ!!」
こうして3人は何の前触れもなく突如召還された乙女向けの異世界から脱出するため
DRC王国主催のデュエルに参加することとなった。
次回予告:
タケルは聖○士星矢、キャプ翼など自分が知りうる乙女が喜びそうな曲をオンパレードで召喚。メガネの予想は的中し姫を昇天させることに成功。
無事優勝を勝ち取ったタケルらは現実世界に戻る。
ちょうどその頃、現実世界では海座財閥がこれまでのデュエルの常識を覆す新製品の発表を行っていた。
新たなデュエルが加速する!
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