第25話 オルマール共同墓地
俺とラミイはエミリスさんの案内でオルマール共同墓地へ向かうことにした。オルマール共同墓地は首都エアリアスから南西に四時間ほど歩いたところにあるそうだ。
エミリスさんの案内で、草原をひたすら歩く。
俺たち三人は特に何を語るでもなく、ただ歩いた。
森の脇を通り丘を超え、目的地に近づくと藪が茂っており、徐々に草の背丈が高くなる。
日が落ちかけていた。地平線がややオレンジ色に染まりかけたころ、オルマール共同墓地についた。
墓地には茂みの中に多数の墓石があり、長い影を落としていた。何年ものあいだ人が踏み入れることがなかったのか、成長した樹木が何本もあり、下生えは伸び、壊れて倒れている墓石も複数あった。
周囲に人影はなかった。
下生えにはわずかだが人が足を踏み入れたような形跡が残っていた。
「人が歩いた跡があるな」
エミリスさんがそれを見つけ、踏み固められた足跡をたどる。その先には藪に囲まれて見落とすところだったが、地下へと降りる階段が見つかった。
「こんなところに階段があるな。ここから地下へ降りられるようだが、果たして聖女ミミ様はこんな中へ入られたのだろうか?」
「ええ、ゴブリンを埋葬するにしても地下へ入る必要はありませんよね」
ミミカがすでにここを立ち去っている可能性もあったが、この地下への入口へ足を踏み入れるしか俺達の選択肢はなかった。
エミリスさんを先頭に、急な階段を慎重に降りていった。しばらく降りると開けた空間が目の前に広がり、周囲は石壁で囲まれていた。苔がはびこっており、かび臭いにおいが充満している。
「聖女ミミ様がこんなところへ降りてきたのだろうか」
地上での発言と同じことをエミリスさんは繰り返した。
「まだ通路は奥に伸びているようですね。ここはいったいなんなんでしょうか。とりあえず奥へ行ってみましょう」
ラミイは魔法の光を灯し、先頭に立って進んだ。通路はやがて狭くなり、右に折れ曲がり、その先は行き止まりだった。
「ここで行き止まりのようですね」
「うむ、これ以上先には進めないようだな」
最後尾を歩いていた俺が追いついた。
「ミミカさん、いませんね……うおっ!」
突然足元の床が消えた。三人は何もない空間に突如放り出された。数メートル落下し、激しく石の床に叩きつけられた。誰ともなく呻き声を発した。
強い衝撃で床に叩きつけられ、誰も声を出すことができなかった。しばらくして最初に口を開いたのはラミイだった。
「エミリス様、マヒロさん……大丈夫……ですか……」
ラミイは消えてしまった魔法光を再度灯す。ゆっくりと周囲の景色が目に入ってきた。
その空間はそれほど広くない。手を伸ばせば両側の壁が届きそうだった。しかしそこは壁ではなく鉄格子であった。正方形の部屋の四面が鉄格子に囲まれていた。
牢に閉じ込められたのかと思ったが、どうもそうではないらしい。今いる場所の四方向がそれぞれ四つの牢屋になっているようだった。
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