初戦その3

サイコロの出目は7。

女もといオーガの嫁スリカは右から七つ切り離す。

サイコロの出目によって牌をいじる位置を決めているのか?

もう少し観察する必要があるな。

「さて、気を取り直して一本場だ。今度は上がれると思うなよ」

先ほどと同じように分けて上下左右合わせて四牌を手に持つ。

ゲームの流れはこのような感じで進むのか。

全員で三回とった後、麻央は、二つの牌を貰い、他は一つずつ。

親の場合は二つとるということなのだろう。わからないことだらけで本当に頭が混乱してしょうがない。

並べ替えて牌を確認する。

うわっ、ひでぇ。

素人目に見てもやばい。

数字が一四九が三種類すべて揃いぶみ。東、南、白。

どうしたらこんなに酷くなるのか。

問いただしたいぞ畜生。

(雀にぃの顔・・・なんか良くない手札なのかも)

麻央は俺の顔を見て悟ったらしい。

俺の手札がもうどうしようもないことを。

ここは麻央に頑張ってもらうしかない。

(ここは様子見)

一度上がったとはいえ安い上がり。高い点数をとるためにはどうしたらいいのか調べるつもりなのか。さすが我が妹。頭いいわ。

麻央は、白い牌、白を出した。

俺達は今『シロ』と呼んでいるが本来の呼び方が多分あるがとりあえずそれでいい。問題はこの状況をどうにかする情報が揃ってないことだ。

どの世界、どの国戦略においても情報は武器だ。

麻雀というゲームを何一つ知らない俺達に対して相手は知り尽くしてる。

こんなに不利な対戦。もし覆るとしたら。

(ゲームが終盤までに知るべき情報を知ること。このゲームのルールを理解しなければ勝ち目などない)

まずはどうすればいいのか。情報は確かに増えてきている。

だが、“決定的ルール“がわからない。

「今回は弱気だな」

「言っとくけど、ルールが完全にわからないのに強気になれるわけがない」

「それは、人の心理ね。相手はすべてを知っている。だけど自分たちは何一つ知らない。正しく劣勢であるのは間違いないわね」

そう言っている間にゲームは15巡目に突入した。

引いても引いても数字は揃うこともなくただ単純に手に取ってはきるだけ。

まだ、ルールが全然見えてこない。

麻央も同様のようでなにか考えている顔をしている。

「打つ手がないのか? ならこちらはあえておしえてやろう」

オーガは、スリカに目で合図する。

スリカは自分の番になると力強く牌をテーブル上に横滑りに置く。

ただし、その向きは違っていた。

「リーチ」

縦に置くのではなく横置き。しかも宣言しておこなうということは・・・。

「ほう、その顔・・・リーチの意味に気づいたか」

普通は隠しておかなければ上がる事は難しいだろう。だとしたらこの宣言の意味は、点数の底上げと考えられる。

さてどうするか。この手のゲームは自分で上がる他にも多分相手からあがれるだろ。

何もわからない状態ではきっついてぇの。

無難に捨てられた牌をきる。

そして1巡回るとスリカはにやりと笑う。

「自摸」

スイカの宣言とともに手牌が公開された。

手牌はとても綺麗で234が全て1組ずつ456が1組。それと8個の丸の模様が描かれているのが二つある。

「ごめんね、リーチ一発ツモ三色ピンタン。二十符七翻六千・三千!」

「スリカ。裏ドラは?」

「のってない、わかるでしょ」

「だろうよ」

不自然なあがり。そしてスリカは必ずあがると確信してたかのようだった。

しかも牌を数えてほぼラストであがりを確信した一撃。

何が起きている。麻央も何がなんだかわからないという顔をしている。

「何を驚いてやがる。どの種族にも一つ麻雀に関する力を持ってるいるだろが」

オーガに言われて気づく。そうだ、ここは異世界。俺達の常識から外れている場所だ。

同じ人間が超常の力を持っていたところで不思議じゃない。

もしかしたら俺達も持っているかもしれないが今覚醒を期待するのは高望み。

(一体どうすればいい。考えろ雀)

思考を巡らせろ。奴らの力を暴け。勝利の道はそこにある。

・・・なんかスースーする。

「なんかズボン消えて下半身パンツ丸見えじゃねぇ!! それにわっつ、なんかスリット治ってるんですけど」

いや、わかるんですけどね。五百点でスカートがスリットになるくらいなくなるんだから。

しかし、ガッデム。スリット状態でなくなり完璧に衣服としての機能取り戻した服を見ても萌ねぇから!!

「キャッ」

「どうした妹よ・・・ぼふぅ!!」

まるでバトル漫画のヒロインのように服がボロボロになっているだと。

・・・はっ、違う俺はロリコンじゃない。シスコンだ。兄が妹の半裸で興奮してはいけない。

心頭滅却心頭滅却。妹は性の対象外!!

ほんとそうなのわかって理性!!

「いい格好になってきたじゃないか。そんじゃまぁ、再開だ」

点数は一気にスリカの元へ。

オーガはニンマリとしている。

それはそうだ。一位が仲間なら何も不安がることは無い。

特に今やっている麻雀に関しては。

さて、これからどうするべきか。

妹はなにか掴んだのかいい顔だ。

お兄ちゃんにもその閃き分けてくれお願いします。

「んじゃ、次は兄ちゃんからだ」

「わーたよ」

やぶれかぶれにサイコロを投げる。出目は2。オーガは、俺のところから10の牌をくっつける。どうやら足りない時は前のプレイヤーからとるようだ。

手牌は・・・まぁ、さっきよりはマシか。

ここからどうするかだ、な。

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