第50話 周りが見えない

 発達障害を抱えている方は注意力のアンバランスが酷いと思います。

 健常者は集中していると言っても自分の周囲半径5メートルくらいは周りで何が起こってるのかを把握できると思います。そうでなくても集中しつつも周りをチラチラみて周囲がどうなっているかを判断していると思います。


 一方発達障害を抱えている方は自分を中心とした半径1ミリメートル内の出来事も分かりません。集中すると周りをチラチラと見ることも無くなります。

 集中してる時に周りを見るというのはガラスをひっかく音を聞くような苦痛なので正確に言えば「出来なく」なります。



 これは昔、今とは別の仕事をしていて実際に起こったことなんですが言われた仕事をこなした後ふと周りを見ると誰もいない。みんなどこ行ったのだろうと不思議に思った事もありました。(実際には休憩時間になったのでみんな上がってただけなのですが)


 別のケースでは仕事をしていた時に優先順位の高い別の仕事が来たのに気付かずに「周りをよく見て!」と叱られる事もありました。




 なぜできないのかと言うと発達障害の方は集中力は100か0のどちらかで70とか60といった中間が無いからです。部屋の明かりのスイッチのように完全にONもしくはOFFのどちらかしかありません。


 もし70や60といった中間を無理やり再現するとしたら毎秒何十回、何百回のペースでONOFFを繰り返すしかありません。それは非常に負荷がかかりますのでしばらくは出来るかもしれませんが年単位で見るとじわじわと精神を病んできます。

 その結果がうつ病や双極性障害(いわゆる「そううつ」)といった精神疾患として現れてしまうのではないのかと思います。


 全く持って理解できないと思いますが普通の人には当たり前に出来ることが発達障害者には当たり前に出来ない、やろうとしたら病気になる位難しい事なのです。




 発達障害というのは「そんなの誰でも当たり前に出来ること」が出来ない病気なのです。

 決して本人が悪いわけでも親の育て方が悪かったわけでもなく、産まれつきこうなのだというのをどうか忘れないでください。

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