第33話 目移り「しなくてはならない」

 ADHDは「目移りが酷い」という特徴があります。


 何かをしている最中に違う何かがあるとそれが気になって気になって仕方ない。

 違う何かが「俺を見て! 俺を見て!」と声高に叫んでいるようにも見えて、またキラキラと光輝いて見えるようでどうしてもそっちに向かってしまいます。


 そして違う何かに構っているとまた別の違う何かが「俺を見て! 俺を見て!」と叫んでいて……

 それの繰り返しの結果が「何もかも中途半端で何一つ作業が終わってない」という悲惨な事になります。

 ……一般事例ではありません。私の例です。


 仕事中に別の仕事がキラキラと輝いて見えて「俺を見てくれ!!」と、ものすごい勢いで自己主張をしてくるんですよね。

 こんな事言っても通用するとは思いませんが。



 これは難しい言葉で言えば「注意散漫傾向」と呼ばれ、本人の意思で完璧にコントロールするのは難しいと言われています。

 視覚聴覚その他の5感をフル稼働させて誘惑しているように思えるため抗いたくても抗いきれない物になっています。

 そのため鋼の意思を持っていたとしても完遂するのは、特に子供の頃は極めて難しいと言えます。


 他にも数年前には海外でADHDを「リス」と関連付けていましたがそれくらい注意力は散漫なものです。(欧米ではリスはどこにでもいる生き物なのでついそっちに目が行ってしまう事を揶揄したもの)



 大人になれば理性でこの目移りにブレーキをかける事が出来るのですがそれでもやってしまう時はやってしまいます。

 健常者にとっては「目移りしないとガラスをひっかく音を強制的に聞かされるのと同じような事が起こる」と言えば理解して頂けるでしょうか?

 それくらい目移りは「義務」「絶対命令」のようなものなのです。


 これが酷いと運転中に注意力が無くなってうっかり前の車にぶつかって事故を起こしてしまう。などというシャレにならない事態にまでなってしまうので人によってはかなり深刻な問題と言えるでしょう。

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