第11話 社交辞令? 皮肉? なにそれ?

 アスペルガー症候群の方で日常生活で一番困っているのはやはり言葉の裏の意味が分からない事だと思います。

 特に日本人は明文化されてない空気を読むことを重んじるのでそれが出来ない、出来ても莫大な労力をかけないと難しいアスペルガーの人にとっては何気ない一日が、文字通り比喩表現でも何でもなく生きるか死ぬかのサバイバルです。



 例えば社交辞令なんてものは一切分かりません。「また今度飲みに行きましょう」というのはいわゆる社交辞令とかいうもので、特に行く予定が無くても言うらしい定型文らしいです。


 しかし私にはそれが分からないのでそんな事言われたら

 「じゃあ予定が空いてる日はありますか?私は来週の金曜の夜と日曜が丸1日空いてますけど」と言いながらスケジュール帳を取り出します。

 相手が「いや、そういう意味で言ったんじゃないんだけどさぁ」って引き始めても「そういう意味で言ったのでないのならどういう意味で言ったんですか?」と問い詰めるでしょう。



 また、ハローワークの模擬面接で「苦手なタイプの人はいますか?」という問いに「悪口や皮肉を言う人は嫌いです」と答えたところ、「悪口や皮肉は誰でもいうからそういうと正直すぎる。自分の意見を押し付ける人や思いやりの無い人は苦手ですと言うべきだ」

 と言われて尋常じゃない位メンドクサイなと思った事があります。


 これまた社交辞令らしいのですが何でそんな回りくどい事言わなきゃならないんだ。もっとストレートに言ってもいいじゃないかと未だに不満に思っています。




 あと皮肉もよく分かりません。時々「こいつ褒めてるのかけなしてるか分からないなー。もっとはっきりと言ってくんないと分かんないんだよなー」と思う時はあります。そもそも皮肉自体が何でまたそんな遠まわしに言うんだかさっぱりわからん。という有様です。


 ……これを見て「コイツ本当にメンドクセエ奴だな」とお思いでしょうか?多分そう思ったでしょう。

 発達障害を抱えている人は多分ものすごく面倒くさい生き物なんだと思います。本人ですらそういう自覚があるという事は周りの人間からしたらさぞや迷惑なんだとは思います。




 社交辞令でこのありさまですので日常生活の会話、なんてもうついていけません。第6話で述べたこれ、あれ、それ、どれが分からないというのを加えるとガチで会話についていけなくなります。

 端的に言うとアスペルガーはいわゆる「コミュ障」という奴です。それもその辺のガキどもの自称コミュ障なんかメじゃない位のガチで「障害」が起こるレベルです。


 それに関しては次回のお話で述べたいと思います。

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