第10話 過去 現在 未来 グッチャグチャ

 アスペルガー患者においては時間の感覚が「無い」という方も多いです。


 職場で些細なミスを犯したのをきっかけに、過去の数多い恥ずかしい失敗が突然頭の中にフラッシュバックとして全てが鮮明に蘇えり、それらが一斉に襲い掛かってパニックを起こしてしまう。何て事があります。


 実際私もそうです。失敗すると今までの失敗が一斉に蘇えって頭がパンクしそうになってしまいます。

 健常者である母親はそんなことは一切ないそうです。彼女は相当お気楽な部分がありますがそれを除いても無いのが普通だそうです。


 正直過去の古傷が蒸し返されないという感覚が分かりません。

 本当に些細な事、たとえば犬が目の前を通り過ぎた。という何でもない日常をきっかけに、そこから悪い記憶が連鎖反応を起こして頭の中に鮮明に蘇えってくるんです。

 よくアスペルガーが幻覚や幻聴を持っていると言われているのは、こうした記憶のフラッシュバックが原因かもしれません。起きるときは本当に何の前触れも無く蘇えってきます。




 何かをするたびに似たような昔の経験が蘇えってしまうため過去、現在、未来の境目がはっきりしていません。

 過去の経験も、現在起こっている事も、未来に起こり得るかもしれない予想も、全てごちゃごちゃの状態で1つのフォルダー(今時の若い人風に言えば「フォトアプリ」か?)の中に入っている。と言えば分かるでしょうか。

 そのフォルダー内の画像なりテキストファイルなりが何かをするたびに連動して脳内に表示されるのが日常になっている感じです。



 さっきちらりと述べましたが過去だけでなく未来という認識もあまりないみたいで、私自身の体験としてなりたい未来を強く思い描くと、まるで現在がそうなっているかと思えるくらい強い非常にリアルな錯覚を覚えることが何回かあります。

 その一方で逆に「○○しないと将来大変な事になるぞ」と言われても「ショウライ」と呼べるものがどんなものなのか今一つピンと来ないのでうわの空で聞いている状態な時もあります。



 なお、過去や現在、未来がグチャグチャになっているとは言いますが「●月●日に何をする」というのはしっかり覚える事が出来、こなせますので仕事やプライベートでの約束事はきちんと守ることは出来ます。

 そこはご安心下さい。(あくまで私の感覚ですが)

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