第9話 不治の病
アスペルガー症候群はまだ原因が何なのかよく分かっていません。
ですのでまぁ言ってしまえば「不治の病」です。原因が分からなければ治療のしようがありませんので。
この病は現代医学では完治不可能で一生付き合って生きていく以外に道が無いので普通の人と一緒に笑って泣いて苦労して愚痴って……といったことはできません。
実際雑談は人にとって大事なものらしいですが私にとってはそれが苦痛で仕方ありません。
もっと意味のある会話じゃないとする気が起きないしする理由もないと思っています。他愛のない会話は大嫌いです。
それでも人間ってのはこれまた凄い物で、根本的な治療ができないなら出来ないなりに何とかしようと色々手を尽くすわけで現段階でも暫定的な治療法というのはあります。
まず一つは薬物治療でアスペルガーが原因で起こる「二次災害」に相当する二次障害を抑える薬を飲むことで日々の苦しさを和らげようというものです。
よく精神科に行くと薬漬けにされるとか言いますがはっきり言って薬によるメリットとデメリットを考えてないのでしょう。
そりゃ薬だけやたら出すヤブ医者も中にはいるでしょうが、何もそれは精神科に限った話ではないでしょう? 内科や外科にだってそういう医者はいますよね?
それにそういう医者だったらさっさと見切りをつけて別の医者にかかればいいだけの事です。
薬は一時しのぎで根本的な治療にならないという声も聞きますが、個人的には「一時しのぎでもいい」と思います。
根本的な治療の前の段階で緊急措置として強い薬を使うというのも症状にもよりますがありでしょう。
もう一つは根本的な治療方法の一種である「認知行動療法」という治療を行うことで、アスペルガーの考え方を調整して健常者の思考に近づける事も可能です。
私は発見が遅れているのと支援が間に合わなかった事があってこれを受けることはありませんでしたがそれなりに効果はあるようです。
短期間(16セッションまで)なら健康保険が適用されるので、もし身近に私みたいな人がいたら試してみるといいかもしれません。
ただ、幼いころに発見して認知行動療法をすればある程度は目立たなくすることは可能でしょうがそれでも「ワンクッション」置くことになるでしょう。
例えて言うなら私たち日本人が英語で会話する際には「日本語→英語」とワンクッション置く必要があるのと同じように「アスペルガー的思考→健常者の思考」とクッションを置く必要があるでしょう。
英語の仕様書を逐一日本語に訳して指示をするのは、最初から日本語の仕様書を読んで指示するのとは比べ物にならない程苦労するので、日常の会話をすることですら一大事業なのだというのを覚えて欲しいです。
実際私も雑談が本当に苦痛でどうしようもないのですから。健常者の雑談で笑ってるのを見て、よくそんな苦行を楽しむ事が出来るなと感心しております。
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