第7話 空気は読む物じゃない。吸うものだろ

 アスペルガーという「ビョウキ」の「ショウジョウ」として、おそらく一番有名なのがこの「空気を読めない」事でしょう。


 タイトルにもあります通り、


「空気は読む物じゃない。吸うものだろ」


 という一言に集約されていると思います。ちなみにこれはとあるアスペルガー患者の発言だそうです。



 特に空気を読めないと死ぬ(比喩でも何でもありません。自殺という形で死にます)国である日本に住むには致命的な部分です。

 一時期話題になった「アスペルガーは定時に帰る」というものがありましたが、正直言って定時内でさばき切れない仕事量を与える上司や重役が無能なのと、定時で帰る人間に無条件に嫉妬するどす黒い負の感情が半端ないとは思います。そんなんだからいつまでたっても出世できないんだよ。


 ……ほらね。だから私はアスペルガーなんですよ。「特にやることは無いけど周りの空気を読んで残業する」っていう発想が無いんです。

 やる事がないなら家に帰ってごろごろしてる方が良いに決まってるじゃん。となるわけです。




 無論私も読むことはできません。せいぜい、「全く持って理解不能だけどこういう場面ではこういった方が良いらしいからこう言おう、こうしよう」と思って言う、行動するといったことしかできません。


 この辺は「ロボットみたい」と言われますが、そうなんでしょう。実際ある意味機械的に処理してると自覚はあります。


 私の実例ですがハローワークで面接の練習をした際に

 「嫌いな人はどういう人ですか?」という問いに「意地悪する人や悪口を言う人は苦手です」と言ったところ「誰だってそうだしストレートすぎるのでもう少し柔らかく言ってくれ」と面接官から言われたのですが、未だに何でそんなめんどくさい事をするのかがサッパリ分かりません。




また、相手の言葉をそのまま受け止めすぎてしまう傾向も非常に強いです。


 他の人の事例ですが「困ったことがあったらいつでも相談して」と言われると相談のためなら真夜中でも平気で電話をかけるようになったそうです。

 それをやめてくれと言ったら「だって困ったことがあったらいつでも相談してくれっていったじゃないか」と返したそうです。


 この例だと「困ったことがあったら(私の時間が空いてるときだったら)いつでも相談して」という意味だったのでしょうが、この()の部分が理解できずに言葉通りそのまま受けて止めてしまったようです。


 よく「お風呂見て」と言われたらただお湯があふれるお風呂をジーッと見つめ続けていた。何ていうのが笑い話としてありますがあれは、「お風呂のお湯の入っている量を見て80%ぐらい入っていたら蛇口を閉じて止めておいて」という意味で「お風呂見て」と言ったのでしょうがその意味が理解できないのだと思います。



 この辺はいわゆる想像力の欠如と言える部分が大きいのでしょう。

 相手の気持ちになって考えることが出来ずに空気を読むことが出来ない、あるいは表情から気持ちを読み取ることが出来ないせいなのだと思います。

 実際私も表情を読むことが苦手ですし、私自身感情と呼べる物の起伏があまりないように思えます。




 余談


 当事者の思いとしてはアスペルガーの方も想像力はあります。ですが想像力に「アンバランス」があるだけなんです。これは後になって詳しくご紹介いたします。

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