第6話ーー The snail's on the thornーー

「シ……クイ……?」


"そうだ、みんな大好きシクイさんだぜ。ざまぁないな紅葉よぉ、あれだけ邪険にしといて最後には俺が頼みとは"


表情こそ見えないが、嘲るようなシクイの声。先程の呼び掛けで目を覚ましたようだ。


いつもなら悪態の1つでも吐いてやる所だ。しかし今の私にはその資格も気力も無い。


「アンタの言う通りだよ、私は所詮無力な小娘。最後にはアンタに頼らなきゃ自分の身も守れないちっぽけな存在だった」


"おーおー今日はいやに素直じゃねぇか。ヒハッ!こりゃあいい、それじゃ今後は俺の言う事には絶対服従だ。俺が腹を空かしたらすぐに食わせる事、後はそうだな……1日の半分は身体を使わせてもらおうか"


どうせ今後はこんな事が続くのだ、それならシクイが身体を使っている方が賢明かもしれない。要は若葉を守れされすればいいのだから。


そうだ、初めからそうしておけば良かったのだ。私に余計な自由があるからこんな目に遭う、シクイはいつだって正しいのだから。私より頭が良くて、私より力も強い。


「それでいい。それでいいから……早く助けてよ。アンタならこんなの簡単でしょ?」


初めから。


何故、シクイは初めに私に選ばせた?



"……あ?バカタレが、その程度で俺の手を煩わせるな。そんな事も出来ない奴に力を貸すほど安かねぇんだ"


「…………は?」


"車を出な、話はそれからだ。やり方は教えたはずだぜ"


それだけ言って、シクイの気配は消えた。


「なっ……ふざけんな、助けてよ!私の力でこんな手錠どうすればいいってのよ⁈」


思わず罵声を浴びせるが、相手は既に消えている。


静まり返った車内に独り残された私は、どうしてか奴と初めて逢った時の事を思い出していた。





ーーー「ヒハハッ!久々の食事は美味えなぁ。さてと……とりあえずこの男はぶち殺した訳だが、お前の身体も相当なもんだ。特にこれ、骨が飛び出しちまってる。跡も残さず治してやる事も出来るが、どうするよ?」



"……要らない"



「ほほぉ、それじゃこのまま身体を返しちまっていいんだな?言っとくが痛みでお前はぶっ倒れるぜ。治るまで時間も掛かるし、下手すりゃ障りが残るかもしれねぇ。おまけに……」



"……要らない、その痛みをあなたとの約束にするから。それから証明……私が自分でこの道を選んで、私がやるっていう証し"





「ヒッ……ヒハハ、ヒッハハハハッ!!その意気だ、精々苦しめ紅葉!」ーーー






「あぁ、くそっ……本当に私はクソガキだ!」


手首に掛けられた手錠を見る。


次にそれに向かって唾を吐きかけて、左手で右手の親指を握る。


「精々苦しめ……か。化物め」


初めては痛いものだ。


破瓜も、そして脱臼も。


「ふっ、ぐっ……ぎぎ、ぐっうぅぅぅ……」


痛い、控えめに言って凄く痛い。


しかし、竜胆に声を聞き付けられれば車外に居る見ず知らずの誰かに危害が及んでしまう。出来る事なら泣き喚いて痛みを紛らせたいが、ここは歯を食いしばって耐えるしかあるまい。


怖気が走るような鈍い音がしたと思った直後に、右手はずるりと抜けた。


「っはぁ、はぁ……。くそっ、アンタに教わった通り出来たぞ化物。お礼は言わないけど」


関節を外したはいいが、入れ方は分からない(正確には使う機会など無いと聞き流していたのだが)。下手に自分でやるより病院に行くべきだろう。激痛で脂汗の滲む額を拭い、車外の様子を伺う。


竜胆は両腕を広げ、敵意の無い振りをして何か話していた。背中しか見えないが、きっと笑顔の仮面を貼り付けているのだろう。


「とにかく外に出なくちゃ……」


現在地は不明だが、あの女と同じ空間でなければどこでもマシというものだ。車内を物色して発見した竜胆の財布と懐中電灯を鞄に忍ばせ、極力音を立てないようドアを開ける。


「動かないで下さい」


冷たい竜胆の声音に全身が凍り付き、最悪の展開が数パターン脳裏をよぎる。


「聞こえてますよね?警察です…………日本語が通じてないんですかぁ⁈」


僅かに焦りの滲む竜胆の声色で気付く、先程の警告は私に向けられたものではない事に。


他に警告をする相手と言えば車外の不幸な誰かしか居ない。さっさと逃げるべきなのだが、どうにも嫌な予感がしてこっそりと覗き込んでみる。


「いやいやいや、言葉が分からなくてもこれは見えてる筈ですよね?原始人ですか貴方」


己の目を疑った。


ヘッドライトに照らされた竜胆の手に握られているのは他でもない、腰のホルスターに収まっていた拳銃である。が、しかし……。


「…………え?」


拳銃の存在が霞むほどの異常事態に、竜胆は気付いていないのだろうか。




「顔が……見えない……」


竜胆と相対する人影……男とも女ともとれる人物の姿が見えない。ヘッドライトで照らされた視界の中にあって、その表情はおろか服装さえはっきりと視認する事が出来ないのだ。


人の影、というより影が人の形を真似ているかのようなその存在は無言のまま竜胆の方へ歩みを進める。口が見当たらないのだから当然といえば当然だが。どうやら竜胆以上におかしな状況が起きているらしい。


無闇に逃亡するという選択肢に疑問が生まれた事で、私の足はその場に縫い付けられてしまう。


「やれやれ、警告は無視ですか〜。どうやら堅気じゃなさそうですし、威嚇射撃は弾の無駄ですね」


人殺しの道具としては軽い破裂音。しかし、静寂が支配する山中においてはよく響くその音に思わず身体が縮こまる。


(撃った⁈あの女、なんのためらいもなく撃った!)


私の動体視力では銃弾がどこへ放たれたのかを追う事は不可能だ。しかし竜胆の口振りからするに確実に当てている。


影がどうなったのか視線を向けた私は、またしても目を疑う事となった。



ーーー影が、消えている。


影だけではない。生い茂る木々も、天に座した星々すら消え、無機質なコンクリートと鉄の棒にすり替わっているではないか。


その光景には見覚えがある。そう、これは……


「なんです、ここは?駅……?」


そう、駅だ。ついでに言えば終点。線路が途絶え、コンクリートで囲まれている。そんな事は見れば分かるのだが、問題なのは山道からどうやって移動したのかだ。スパイ映画よろしく眠らされて運ばれたという事はあるまい。


乗って来た車は線路の上に鎮座しており、それを背にした竜胆は明らかに狼狽えながらもしっかり銃を構えて周囲を警戒している。


「参りましたねぇ、これはちょ〜っと私の手に余ります……携帯は圏外ですし。こんな事なら彼女の話を聞いておくべきでした。無事に帰れたら連絡してみましょう」


電波状況を確かめる手間が省けた、私の状況は確かめるまでもなく悪いが。


先ほどまでの山道であれば深い森に身を隠して逃げおおせる事も出来たが、周囲にはコンクリートで出来たホームと線路のみ。目を凝らすと線路のにトンネルのような物も確認出来るが、どちらにせよ辿り着くまでに気付かれてしまうだろう。





ジャリっ。


指の痛みも忘れて思案する私の耳に飛び込んで来たのは、線路の敷石を踏み締める何者かの足音。


「……やれやれ。警察です、そこで止まりなさい」


足音は竜胆の耳にも届いたようだ。少々不機嫌そうに振り向くと、それを隠す事も無く銃を向ける。


足音の方向へ視線を向けるとやはりあの影。先程のものより少し背が低いか。


「察しは良い方なので、少なくとも人間じゃない事は分かりましたぁ。仮に人間だとしてもこの際構いません。そこは進路の邪魔です」


破裂音が2回。流石に私も学習したので、僅かに肩をすくめる程度で済んだ。


弾丸が命中したらしい影は一瞬で霧散し、暗闇に溶けていく。


「……銃の効く相手で助かりました。"神は鉛玉で死ぬ時代"という訳ですねぇ」





ジャリ。


「「……っ⁈」」


奇しくも息を呑むタイミングは一緒だった。再び鼓膜を揺らす音の方へ眼を向ける。


「あぁ、これは……」


一体どこから現れたのか。


暗闇の中に、無数の影が蠢いていた。数を数えるのも馬鹿馬鹿しい。


「拳銃1丁でどうにかなる状況ではなかった訳ですねぇ……ここは三十六計という事で」


無用の長物と判断したのか、拳銃をホルスターに仕舞ったのを私は見逃さなかった。そのまま車に乗り込む竜胆。


身体を伏せたまま素早く車の反対側、すなわち運転席のドアがある位置へ回り込む。そこは恐らく数秒もすれば再び開かれる位置。


「しまった!何処へ……⁈」


そう、この異常事態にも冷静さを欠く事の無かった竜胆が焦りの色を濃くして飛び出して来る、好機。


「ここだっ」


拝借した懐中電灯を、立ち上がると同時に柄を上にして竜胆の顎先へ叩き込む。


「ぁがっ……!!」


鈍い音と共に仰け反った竜胆は開いたドアに後頭部を強打し、ほとんど抵抗無く地面に吸い込まれる。しかし仮にも訓練を受けた警官だ、念には念を入れて横倒しの腹に数発蹴りを入れておく。


爪先が食い込む度にくぐもった呻き声が上がったがこいつも一応女だ、声は省略しておこう。


「はぁっ、はぁっ……いい気味だ、異常性愛のっ、悪徳警官めっ!」


頬を伝う汗を拭い、その手で竜胆の腰から拳銃を抜き取る。ポケットを漁ると手錠の鍵もすぐに見付かった。


影の群れは着実にその距離を縮めてはいるが、その歩みは亀よりも鈍い。焦らずに助手席に戻った私は手錠を外すと、お返しとばかりに竜胆の手首を車のハンドルに繋いでやった。


「ぐっ……あぁ、関節を外しましたか。紅葉さん貴女、やっぱり何かありますねぇ?」


奪った拳銃を観察していると、目を覚ました次の瞬間に状況を把握したらしい竜胆が不敵な笑みを浮かべて顔を上げる。死ぬまで気を失っていれば良かったものを。


「何もありませんよ。職権濫用したストーカーに襲われれば、その辺の女子高生だってこのくらい出来ます」


「ははっ、あくまで火事場の馬鹿力を主張すると?知ってますか紅葉さん、その辺の女子高生は今と同じ状況でも銃の残弾を確認しません」


ごもっとも。ちなみに残弾は2発。


「それは、貴女の追跡がしばしば不可能になる事と関係が?」


「……っ⁈」


無視を決め込むつもりだったが、性懲りも無く反応してしまった。


落ち着け、シクイの話では今朝の気配の主……すなわち竜胆は私のこれまでの行いについては知らないはず。


「私も24時間付きっきりで貴女を見ている事は出来ません。しかしですねぇ、どうも妙なんです。貴女の存在が消えてしまったかのように、突然行方が掴めなくなるんですよ〜」


「そ、そんなの!お前が見落としてるだけだろ⁈大体24時間は無理って自分で……」


「私が見ている間に見落としはありません、絶対に。それにその反応……色々と探りがいがありそうですねぇ?」


竜胆のこの笑みは何だ?


理解不能な空間に迷い込んだ上にそこから逃げ出す手段を失ってなお、私を追い詰めるネタが見付かった事を喜んでいるのか?


跪く竜胆を見下ろし、銃を向けているのは私のはずだ。それなのに、私の首は刃物でも突き付けられているかのようにヒリつく。こんな不快な事があるか。


"ヒハッ。紅葉よぉ、この女は危険だぜ、お前の事を知り過ぎてる。お前に繋がるものは何もかも消して来たしこれからも消すが、こいつはいつか必ず何かを掴む。始末しておくなら今だ"


今頃になって口を開くシクイ。結局車を出て竜胆を捕らえるまで引っ込んでいたではないか。


「分かってる、そんな事は!直に話した私が一番痛感してる」


"ならとっとと済ませな。連中はもう目と鼻の先まで来てるぜ"


ジャリ。


顔の無い影は一体一体の輪郭が見える位置まで近付いていた。


"だが忘れるな、こいつぁお前が自分を守る為に犯す罪だ……発端は俺との契約だがな。それでもお前は、何かの手掛かりを掴んだ訳でもなく、俺の存在に気付いた訳でもない相手を殺そうとしてる。その殺しで俺が得るものは精々不味い食事くらいのもんだ。お前は初めてお前の利益の為に罪を犯す……それは自覚しな"


「何を……馬鹿な事……」


ジャリ、ジャリ……徐々にここまで聞こえる足音は増えている。事を済ませて逃げるなら早くしなければ。


「また独り言ですかぁ?ところでその銃……私に向けられてますが、使わないなら返してもらえませんか?2発あれば私を殺す事は充分に可能です、撃つならお早めに。そんな顔の貴女を見ながら死ぬのもそれはそれでアリですから」


恍惚の表情で言い放つ竜胆だが、この女は確信している。私には撃てないと。



ジャリ、ジャリ。


「…………」


刻一刻と距離を詰める影。無数の足音が皮膚をざわめかせる。


"ヒハッ、早いとこ決めないとお前も連中と同じになるぜ?顔も感情も無い文字通りの影だ、たった一つ残った行動原理は同類を増やす事。何も選ばなかった奴らの終着点なのさ、ここはな"


ジャリ、ジャリ。


「…………い」


半ば楽しげなシクイの言葉。最悪の場合は身体の主導権を奪って逃げるつもりなのだろう。


「俯いていたら顔が見えませんよぉ、撃つならちゃぁんと私の目を見て下さい。ほらほら時間ももうありませんよ?ここを撃てば終わりなんですから!」


ジャリ、ジャリ。


「…………るさい」


眉間を指差して口元を歪める竜胆の声音が鼓膜を揺らす。


ジャリ。




「うるさいっ、今取り込み中だ!!」



辺りを埋め尽くす足音へ向けて2発。元より当てるつもりの無かった弾丸は明後日の方向へ飛んでいったかようだ。


静寂は一瞬。


「っは……はは、ははははっ!チャンスを逃しましたねぇ、紅葉さん。これで貴女に残された行動は離脱だけ、私を亡きものにするチャンスなんてもう来ませんよ?」


銃声に怯える様子も無く、歯を剥き出しにして竜胆が嗤う。


「やかましい」


言ったのは私だが私ではない。触感の無い手が銃を竜胆の足元へ放る。


「ここで殺すまでもねぇ、お前は終わりさ。……あの影が見えるな?あれは何も選ばなかった者の成れの果てだ。終着点で影になって、世界が終わるまで吹き溜まる。お前ももうすぐ仲間入りだ。そのくだらねぇ執着も永い時間を掛けて磨り減って行くのさ。精々足掻いてみるこった、ヒハッ!」


違う、殺せなかっただけだ。


強い言葉を並べて強がっているだけの、ロクに覚悟も決めていなかった子供。


だがシクイの言動は竜胆の顔色を変えるには十分だった。


「貴女……何ですその顔は⁈そんな顔知りませんよ私は!一体何ですか、怒りでも悲しみでもない、笑っているのに愉悦ですらない。それが人間の感情だって言うんですかぁ⁈」


「ヒハッ、それは自分で考えるんだな。教えてやる義理はねぇし、いい加減潮時だ」


余裕の表情を捨てた竜胆の問いに答える事無く、私の視界は迫り来る影の方を向く。手を伸ばせばもう届きそうだ。


シクイの言う事が真実ならなるべく避けて歩きたいところだが、私の身体は迷い無くそちらへ歩みを進める。


"お?なんだ、親指は外したままかよ。戻し方も教えたはずなんだがなぁ"


他人事のように呟くと、瞬きをする間に親指は元に戻っていた。


と、同時に、私の両手は迫る影の首らしき部分を鷲掴みにする。


"ちょっと、それ触っても大丈夫なの⁈"


シクイのやる事であれば問題は無いのだろうが、思わず声?をあげてしまった。その問いに私の口元は笑みを深める。


「言ったろ?こいつらは何も選べず、どこかで妥協する事さえ出来なかった連中だ。だからこそこんな吹き溜まりでひっそりと集まってる」


質量の無い影を造作も無く持ち上げ、後ろに続く影へ向かって勢いよく放り投げる。将棋倒しの様にバランスを崩した群れの一角は闇に溶けるように消えた。


「ましてここはまだ此岸なんだ、生きてる奴の方が強いに決まってる。意志を持ってる奴なら尚更な。迷い込んじまったのは災難だったが、どうやらあのトンネルが出口だ。とっとと帰ろうや」


案山子でもどかすように影の群れを掻き分けて進む。いや、案山子の方がまだ手間というものだ。重力の抵抗など存在しないかのように、軽く小突いただけで弾け飛ぶ影を既に脅威とは感じない。


「そら、到着だ。中の様子は……分からねぇが、くぐれば多分出られるだろ」


"なんでここに来てなげやりになるかな……"


トンネルの前に辿り着き、足を止めて様子を伺う。


「…………そこが出口ですかぁ⁈」


思わず意識だけで振り向きそうになった。


「まだ喋れたか、しぶといな。適当に聞き流しとけ」


しかし身体は振り向かない。トンネルの脇や上部を観察し続ける。


「後悔しますよぉ、私をここで仕留めなかった事を。いえ、後悔させてみせる!必ず戻る……戻ります、貴女の元へ!今から楽しみですよ、その時貴女がどんな顔をしてくれるのか」


「やっぱり出口はここだな。早いとこずらかるぞ、そろそろ妹が捜索願いを出しかねねぇ」


"そうだね。シクイ、少しだけ……少しだけ身体、返してくれない?"


両肩が呆れたように竦められる。


「お前な、あんな戯言に付き合ってる暇は……」


"お願い、少しだけ"


軽い舌打ちと共に身体の自由が戻った。


振り向いて線路の先へ目をやると、闇に飲み込まれつつある車とそこに繋がれた竜胆の姿。影の群れが車を覆っているのだ。


獣じみた笑みを浮かべた竜胆は影に取り囲まれながらも、なんとかその存在を保っている。しかしその距離は確実に狭まっており、触れるのは時間の問題だ。


「迷い……あぁ、紅葉さん!貴女なんですね⁈」


「竜胆さん、貴女は最低の人間ですし、出来れば2度と会いたくありません。でもお礼をさせて下さい。貴女のおかげで自分がどれほど無力な、意志の弱い人間かを思い出した。胸糞悪いですけど、貴女の事は一生忘れない。もし戻って来る事があれば……そうですね、その時はお茶くらいなら付き合いますよ。その後で、」


「あぁ……!」


「今度こそ私の手で殺してやる」


踵を返してトンネルの中へ足を踏み入れる。足元すら闇に閉ざされて視認出来ないが、ちゃんと足が着くようだ。


「……誓いますっ!必ず戻ると!その顔の貴女ならきっと出来る、きっと私を」


数歩進んだ所で、竜胆の声は途絶えた。





















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