第13話 ロボットと重機

鉄腕アトムでは、主人公のロボットアトムはとてつもなく重いものを持ち上げたりすることができる。今はそれを重機が担っているが、将来そういうものが身近になったりするのだろうか?現在のところあまり目処が立っていない。小さな体に大きなパワーというのが難しい。大きなパワーを出すためにロボットが大型化してしまう。そして価格も大型化してしまう。

まず、質量体とその価格。今、道路などでよく使われる小型のユンボでも200万円くらいする。そしてこの値段の内訳は、主に鉄とエンジン、各種パーツによるものだが、あまり安くなる要素がない。自動車の価格があまり下がらないのと同じである。電気主体としたモーター駆動が部品が少なく安く現れてくる可能性はあるが、現在販売されている電気自動車、テスラモデルSは1000万円くらいする。どこかの段階で多少は安くなってくる可能性はあるがその気配はまだない。鉄板は1トンあたり約5万円~6万円。それが材料原価として10%程度と考えると売価は1トン50万円以上にならざるを得ない。ましてや加工が困難な高強度材料であるから、現状、かなり大量生産されている軽自動車でも100万円を超えてしまう。すべての家事という家事が不要になり全く心配ないレベルの家事ロボットならばギリギリ100万円でも価値はあるかもしれないが、やはり非常に高価である。もっと安くで入手できるためには中古ロボット市場が鍵になる。

もう一つは、エネルギー密度の問題。この分野に革新が起こった場合、色々なことがすべてひっくり返る。現状、原子力が最も高く、ついでガソリンなどとなる。(水素は理論上かなり圧縮できるらしいがかかるコストなどを踏まえるとどうなのか不明。)電気自動車でも結局ここにぶち当たっている。放射能などのために原子力がいまいちうまく使えていないのが現状。自然エネルギーは、おそらくあまりアテにならない。自然エネルギーがエネルギー源として優秀ならば、動物や昆虫がそれらを使わないはずはない。ミドリムシが大きく発展できなかったのには何か理由があると思われる。植物同様、動かないロボットであれば、自然エネルギーで賄うこともできるだろうが、動物同様移動できるロボットで自然エネルギー駆動は考えにくい。

最後に、材料の問題。動物においては、体重と一日に必要なカロリーは比例関係にあるといわれている。したがって、材料の発達(高強度、超軽量)によっても世界が大きく変わる。ガソリン1Lの熱量は約8400kcalといわれており、体重60kg男性で約6日分の熱量がある。またロボットは体温を上げる必要もないため、熱効率では有利となる。現状、ガソリンエンジンを作れる材料が鉄しかないため、小さくしたり軽くしたりすることが困難になっているが、人体と同程度の重さと大きさで、もしガソリンを燃やせたならば、その熱量を一日で使いきれば、ざっくり見積もって人の10倍程度の力が出せる算段になる。

現状かなり近いのが小型のバイク。車重は軽いもので80kg前後になる。関節部分の強度がまたしても問題になるにせよ、現状でも、ロボットのボディとして、バイクのトランスフォーマーくらいの夢は十分見れるわけだ。値段もバイク同等20万円くらいで済む。もちろん、コストをいくらかけてもいいならば大型ロボットは作っていける。世界最大級コマツのダンプ930Eは、車重205トンで約5億円らしい。

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