第7話 結合(7)

腰まである銀髪を一束ねに結い、年齢を想像出来ないほどの顔の皺。

ダリアは揺り椅子を揺らし、ゆっくりとした口調で話し始めた。


「私がまだ小さい頃に私のお祖母さんに聞いた話だよ。それはとりとめもなくて、俄には信じられないような現実離れしたものでねぇ。これが空想なのか、それとも真に起こることなのかずっと考えてきたんだよ。」


ダリアの視線は宙をさまよって、お祖母さんが話してくれた日まで遡っているようだった。


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七色の蛍火が舞ふ頃

全ての歯車は廻り始む

幾つものうつつが重なり合ふとき

その者異世界よりうちいづ

同じくして邪悪なる存在が

この世を暗闇に覆ひ

あらましごとのすべてを

打ち壊さむとせむ


森は静寂を忘れ

山は威厳を失ふ

僅かなるかげだに呑み込まむとする闇


彼らの運命が交はり

彼らがそれを受け入れしとき

悲哀に満ちしげに終わりを告ぐる

古の化身がその身をもちて闇を引き裂かむ

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ダリアはその言葉を呪文のように吐き出した。

セツナとユナは顔を見合わせ首を傾げた。


「ねぇ、ダリア...その言葉のいみは?」


「お祖母さんからいつも聞かされてた古い言い伝えでねぇ...私も詳しい意味までは分からないんだよ...でもねぇ、七色の蛍火は虹色の蝶...」


ユナは口元に手をかざし、驚きを隠せずにいた。


翳りのある表情でダリアは続けて言った。


「何かが...私たちの考え及ばないことが起きようとしているのかもしれないねぇ」


「運命の歯車...」


そう呟くセツナに、ダリアは優しい視線を送り、まるで子供を安心させるかのように呟いた。


「セツナ、何も心配はいらないよ。いずれ全て思い出す日が必ず来るよ。焦らないことだねぇ」


ダリアの微笑みは、どれほどセツナの心を温めたことか。


(なんて心地好い空気感なんだろう...)


パチパチと屋根を打つ雨音が聞こえた。

遠くで雷鳴が轟いている音が三人には聞こえた。

誰もが不吉な予感を感じていた。

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