番外編

えくすとらえぴそーどっ

※5話の後のお話です!!


玄武げんぶの間での決闘を終えた僕と月神くんと花蓮ちゃんは結局、一度部屋に戻った後に僕の部屋に集まり友達記念会(祝勝会)をすることになった。というか決闘した人同士で祝勝会って考えたら普通におかしいよね。



「ふぅ・・・・」

僕は一通り人を招ける程度に部屋を片付けていた。


「どうするかな・・この薄い本たちを」


クラスでは真面目とは違うがあまり目立ずに、かつ陰湿いんしつなイメージを与えないように今まで振る舞ってきたが、僕はアニメやゲーム、漫画が好きなアニメオタクの部類である。隠れだけど。


だけど一応、周りから話しかけられても話題が理解できるようにドラマや映画、またはロックや邦楽を聴いたりもして割とそういうのも好きになってきた。


いくたびも二次元から三次元に戻ろうと思っていたがどっちかを切り捨てることなど出来ず結局、共存という聞こえはいい中途半端な状態になっている。そんな僕のどうでもいい話はさて置き、今はこの薄い本をどうするか・・・。

もちろん一般的のものもあるのだがそれと対を為すように18禁向けのものもある。まあ18歳以下でも18禁本を持っているなんてことはよくある話である。


そこで僕が体験した話を一つ。


忘れはしない小学6年生の時、友達と遊ぶため約束していた公園へ向かうとクラスの女の子が公園に何かを捨てて出て行ったのを見た。彼女はこちらに気づいておらず僕は気になって何を捨てたのか見に行った。するとそこには大量の18禁の本が捨てられていた。僕は中身を確認くることなく彼女に見つかることを恐れて逃げ出したのだ・・・。

流石に小学生の純粋な僕には恐ろしかったが、まあ結論を言うとエ○本は小学生も持ってるぞ!!ってことで自分を正当化したいだけである。


そんな、葛藤を抱いていると部屋のチャイムの音がなった。しかも一回じゃなくてめっちゃくちゃ連打してるまるでポ○モンを捕まえる時に連打するかように・・・・。

とりあえず僕は持っている薄い本たちを本棚にさり気なく閉まった。だってベットの下とかテンプレすぎるからね!!

そうしている間もチャイムは鳴り続けた。



扉を上げると爽やかな笑顔をしつつもチャイムを押し続けてる少女が立っていた。しかも指はとてつもない速さで。やはり訂正しよう。ポケ○ンではない格ゲーだなあれは。

連打に集中していた彼女はこちらが引き気味の目線を送っていると、察知したのか、直ぐに連打を止めて挨拶をした。


「こんばんは!じゅ...純くん!!」


震えた声をあげた彼女の頬は僅かに緋色に染まっていた。


誤解していたとはいえども彼女の行動原理については未だに思い返しも分からないことが多く、正直100%は信用していないが、向こうがこちらに歩み寄ってくれているならその好意を踏みにじることなせず、こちらからも歩み寄ることが大事なはずである・・と知恵袋に書いてあった。しょうがないよね!!子供の時はなんとなく友達出来たけど、成長していくにつれて友達作りににくなるやつ。僕の場合は厨二・・いやなんでもない。別に何もこじらせてない。だ、ダークフレイムマスターなんて言ったことないもんね!!


おっといけない、早く彼女に何か言わないと。


「こんばんは。ほら部屋に入ってー!寒いでしょ??」


いやー我ながら完璧な会話だ。コミュニケーション能力検定とかあったら結構良いところまで取れちゃうんじゃないの!?

否、一カ所だけ失敗した。彼女はチャイムを鳴らし続けたからその摩擦で指は相当暖かくなっているはずだから「寒いから」じゃなくて「熱いから冷やそうか」にするべきだった・・・まあいっか。そこは大したことじゃないでしょ。というか本当にどうでもいい。何格好付けて否とか使ってるの、まるで俺ガイ・・・この話は止めよう。




「お、お邪魔しまーす・・・!」


部屋に入るなり彼女は感慨かんがいに浸っていた。まさか入れるとは思っていなかった念願の開かずの間が向こうから開いてくれたのだ。彼女は手を合わせ神様にこの時ばかりはお礼をするしかない、その姿はまさに何かに取りかれた信者のようだった。



「あのー花蓮ちゃん??何してるの?」

僕は不穏な行動を起こしていた彼女に注意を呼び掛けた。

だって何か崇拝してるとか絶対危ない人じゃん魔女教まじょきょうみたいなのに勧誘されたらどうしよう怖いなー怖いなー。自分、怠惰たいだじゃないんで許してください。



「あ、えっ・・これは何でもないです!!」

そう言うと彼女は合わせていた手をすぐに身体の後ろへ引っ込めた。


うわ、何か隠してる感じ余計に危なく感じるこの話題には金輪際こんりんざいふれないでおこう。


「ほら、とりあえず座って。はい、これ飲み物ね。すぐに鍋作り始めるけど食べれる??」


「大丈夫ですー!鍋料理好きなんでー!」


「何鍋が好きなの?」

いちおう聞いてみた。


「闇鍋です♪」


ん?確かに鍋は鍋だけどそれハード過ぎない??


「・・・」

流石に僕は沈黙した。


「ほら・・・!!鍋の具材持ってますよ!」

彼女はさっきの失言を取り消すためにか具材提供という気の利いたことをするため鞄の中の具材とやらを探し漁り始めた。


本来ここでありがとうというのがテンプレであり、常識であるが僕は知っていた。だって彼女の好きな鍋料理は闇鍋なんだから・・・。この下にはカレー鍋やモツ鍋やら数多あまたの鍋料理が存在するがこの上には何も無いのだ。きっと予め鍋料理をやるといって、彼女に具材を買ってくるように言っても多分買ってきたものはイチゴやらチョコレートなど残念系の物しか買ってこないだろう。しかも今回は予め伝えていない上に鞄から取り出せるものなどたかがしれている。まず携帯している時点でお菓子なのはほぼ確定していいだろう。また女の子という生物は甘い物が好きである。よってチョコレートを出してくるのが予想できる。だがしかし、あ、アニメの名前じゃないですよ。この七草花蓮という女の子は普通の女の子とは少しずれている節がある。だから女の子といえど美味おいしん棒や堅く揚げているポテイトチップスなど持っていてる可能性も、ある。うぅ・・読めんなぁ。もうどんなものが来ても覚悟はできている。さあ、来い!!


そして彼女が具材(自称)を鞄から取り出した。


「はい。これです♪」


彼女が取り出したものはあながち僕の予想通りではあった。


「ベイビィスターラーメンだと・・・!?」


わ、悪くないかもしれないぞ・・・!!今日は醤油鍋だから〆にご飯とベイビィスターラーメンとお好みで溶き卵をいれれば・・・うん。悪くない。むしろ美味しいまである。


僕は息を呑んだ。

そして彼女の手をとっさに握った


「あ、ありがとう!!鍋の〆に使わせてもらうよ!!」

さっきまでありがとうがテンプレとかどうこう言ってた気がするがあれは無かったことにしておこう。


彼女は顔が真っ赤になってその場に倒れ込んでしまった。


するとリビングに続くドアが開いた。

そこにはもう一人の参加者の姿があった。


「おい・・・純何してるんだよ・・・」


「別に僕は何もしていないぞ。というか月神くん。何勝手に人の部屋入ってるの?ここはドラ○エの世界じゃないんだよ??」


「ごめんなさい.....」


僕、那波純、これから祝勝会始まります!!








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