18話 見えているものが本当なのか試してもよいだろうか
「よし、モッチーが正しいか、俺が正しいか、手っ取り早く試してみよう」
【未来視】ってことだから、アランドラの方から先に攻めてくるってこともないだろう。
あいつの性格からして、俺の行動を全部【未来視】で予測し、先回りして、
すべてをリジェクトすることで、まずは自分の力を俺に見せつけ、こっちのプライドをへし折ってくるはずだ。
とりあえず、この流れを利用しよう。
俺は、パーカーのポケットに腕を突っ込んだままだと、なんとなくアレなので、
それっぽく構えてみる。
それに合わせて、アランドラの目を覆う【スキル
よしよし、警戒しとる、警戒しとる。
アレが本当に【未来視】のスキルなのか。
そうだな……、よし、とりあえず俺の魔術をアランドラに連打してみよう。
【封果チェンバー】のストックは使わない。
そもそも、まだそんなに【
「いくぞ、アランドラ」
俺は自分の足元から、まず、火、水、風、土の各属性の上級魔法【
一本づつ【
まだ魔素は流さない。
ふっふっふ、ようやく【
俺は、その4本の各上級魔法の
「…………っ!!」
【
ザワワッ!
と、フィールドが薄くらい森になる。
だがその光景に、誰も反応しない。
【未来視】を持つ、アランドラさえも。
まあ、やるだけなんだが……っ!
俺は視界いっぱい、数百本の【
スタジアムが、俺だけに見える果樹園となった
瞬間、
アランドラの【未来視】を形成する【スキル
「すッげえ! 全部リジェクトしてる……ッ!!」
美青年魔族が持つ体内の魔素が【未来視】に注ぎ込まれ、輝くたびに、
アランドラに向かって四方八方から乱打される
《爆焔玉(フレイム・ストライク)》の灼熱魔弾、
《氷葬(アイス・グレイブ)》の超硬氷塊、
《飛翔斬(フライト・スラッシュ)》の見えざる真空刃、
《鉄鎧攻(アース・フォーム)》が生み出した鉄のゴーレムが、
片っ端から無効化されてゆく。
無詠唱で、果実が成るとほぼ同時に放たれ続けるアランドラの対応リジェクト魔術。
さすが魔王!
俺、魔術を初級から上級へギアアップするのとか、すっ飛ばした魔術行使してるんですけど!
それに追いつく連続無詠唱って、どういうことッ!?
そのすさまじい光景に、やかましいあの女実況も今は言葉を飲み込んでいる。
だが、これで、
「わかった。やっぱりあれは、【未来視】じゃない」
俺はなおも【
《# えええっ!? じゃあ、なんであんな超反応ができるんですか!?》
「アランドラのアレは、あくまで擬似的な【未来視】。
いわば【未来視(仮)】だ。
奴は俺の魔力を捕らえて、それを知覚することで俺の次の行動を予測している!」
俺はさらに、あらゆる角度から【
その様子を確かめながら説明する。
「まず、アランドラはものすごく、俺の作る【
双子の時に確認したけど、魔術は果実状態になった時点で魔力を放出しはじめる。
あいつに見えているのは魔力、その流れだ」
完璧な未来視であったなら、まず、俺の【
4つの【
なにより、魔術果樹園と化したスタジアムの異変に気が付かなければおかしい。
なのに、アランドラの【未来視(仮)】はなんの反応も見せなかった。
【未来視(仮)】を発動させるアランドラは、果実が魔力を放ってから、初めてそれに気づくのだ。
「奴はその【
ほら、武道の達人は相手の重心、筋肉や骨格の動きから、次の行動を予測するっていうだろ。
これは、あれの魔力バージョン。相手の魔力変化で、次の行動を予測する」
《# グラッ◯ラー刃◯みたいですね……》
「それから多分、俺の身体からも、わずかだが魔力が放出されているんだと思う。
それこそ【未来視】と名のつく超鋭敏な魔眼じゃないと感知できないくらいのレベルで。
まさに潤沢な魔王の魔素容量があってのスキルだな」
《# そ、そんなの、どうするんですか!? 擬似的とは言っても、現にまるっきり、
アランドラさんがやってるのは【未来視(ほぼ同義)】です!》
「……じゃあ、次はこういうのは、どうかな」
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勇者到着まで あと 67時間14分35秒
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