10話 魔族の双子少女魔術師に魔王として紹介されてもよいだろうか






 ■ ■ ■ ■

 名前:  クラーラ・フィスト

 俗称:  火宴(かえん)のクラーラ

 種族:  魔族

 クラス: 魔術師


 〔戦〕  200


 〔謀〕    0


 〔非〕    9

 ■ ■ ■ ■




 ■ ■ ■ ■

 名前:  リーゼル・フィスト

 俗称:  氷苑(ひょうえん)のリーゼル

 種族:  魔族

 クラス: 魔術師


 〔戦〕  100


 〔謀〕  100


 〔非〕    9

 ■ ■ ■ ■


 殺戮執事のヨーハンより強い子どもが外にいる!! 



【情報化視界】と【強化索敵】、それに【大百科エンサイクロペディア】。

 3つのスキルの合わせ技で構成される分析結果に、俺は気持ちを整える。



「まさか、子どもと魔術師がいっぺんにくるとは……」



「さすが若。そこまでおわかりになりますか。

 実はそのことで、一つお願いがございます」



 ん? なんでヨーハン、小声になった……?



「お連れした魔術師なのですが、その方々が魔術を使った際、ぜひ、言っていただきたい

 言葉がございまして」



「ふむ、どんなこと?」



 するとヨーハンは、両手を前方に広げ、太い白髪眉を吊り上げ、目を見開き、



「『そ、それは、まさか、無詠唱ッ!? す……すごいじゃないか!』……と」


「それを……俺が言うの?」


「御意」



 ま、まあ、いいけど……。



「それでは、お連れいたします」



 ヨーハンに招かれ、控室に入ってきたのは、やはりスカウターが見ぬいていた通り、二人の子ども。



 ただ俺の予想と違ったのは、どうやら二人が可愛らしい双子の女の子だったということで、



「ご紹介いたします」



 ヨーハンが片腕でまず指し示したのは、

 学校制服のような黒のブレーザーとスカート、ベレー帽の、

 気の強そうな瞳を持った赤髪魔族少女。



「こちらは本年度、わずか10歳にして魔術学院最高峰、

『イーベルベイン魔術大学(マギアム イーベルベイン オブ テクノロジー)通称「MIT」』を

 飛び級主席で卒業し、現在は同大学、大学院に通われております、

 『火宴(かえん)のクラーラ』こと、クラーラ・フィスト様」



 次にヨーハンは、クラーラの隣。


 青髪ジト目、やはり黒の制服姿のベレー帽魔族少女を俺に示し、

 


「こちらはクラーラ様と同じく、わずか10歳にして魔術学院最高峰、

『イーベルベイン魔術大学、通称「MIT」』を

 飛び級ダブル主席で卒業し、現在は同大学、大学院に通われております、

『氷苑(ひょうえん)のリーゼル』こと、リーゼル・フィスト様にございます」



 子どもは子どもでも、すごいお子様なんだなぁ。



「ちなみに、若」



「な、なんだろうか」



「この二人は、我が孫娘でございます」



 ドヤ顔してんじゃねえよヨーハン!!


 親バカというか、爺ィバカだぞこの爺ィ!!



 だが……っ!



 ともあれ、爺バカのヨーハンのおかげで、

 俺のリクエストである『子ども』と『魔術師』がやってきてくれたのだ。



 そこは感謝しておこう。


 

 魔法使いっぽい制服にベレー帽もおしゃれだし、

 ふたりとも緊張しているのかな?


 ほっぺが赤くなってて、ほかほかしてる感じでかわいい。


 というか、ちょっとおめかしとか、してるっぽい。



「緊張するわね」


「失敗はだめぞ? クラーラ」


「するわけないわ。リーゼルも、今日は気合いれるのよ?」


「無論ぞ」



 こそこそと二人でそんなことを言ってる姿、いじらしい。



「ん……?」



 だが、なんか妙な違和感が……



「あ、あれぇ……?」



 この二人、俺を、見てくれてない気がするんだが。



 あ、このパターンって、まさか……



 クラーラが、じりじりしながらヨーハンに尋ねる。



「で、おじい。フィスト家が仕える、新しい魔王様って、どこ?」








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勇者到着まで あと 69時間43分13秒

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