07話 家臣ぽい魔族達の城を崩壊させてもよいだろうか






 ■ ■ ■ ■

 名前:  フォースタス・フィスト

 真命:  米村 富士雄

 種族:  人間

 クラス: 魔王


 〔戦〕  18000


 〔謀〕   6000


 〔非〕    169

 ■ ■ ■ ■




 何者だよ、俺。




 魔王とは聞いていたけども!




 これだと俺、フルパワーをゴゴゴと出せば、単騎で1万8000をたいらげて、


 6000の軍勢を戦場から追い払っておけるスペックなんだが?



 非理法って、スキルのこと、だよな?

 これ、たしか〔戦〕と〔謀〕に掛け算できるっていう話しなんだが、 

 もう、ちょっと、計算するのも恐ろしいことになってる……!





 モッチー、ちょっとこれ、信じられない。





《# でしたら試してみればどうですか? 大丈夫です、富士雄さんならできます!》



 試すって……!



 まあ、じゃあ、試すか。




 俺は、バンベルグを中心に、


「だがしかし!」

「けれどもしかし!」

「いやいやしかし!!」


 と、喧々囂々(ケンケンゴーゴー)の家臣団を横目に、

 魔族から遠ざかるようにして、謁見の間のテラスに近づく。



 いい眺めだった。



 やっぱりここはお城っぽい。

 遠くに見える山並みとか、湖とか、スゲ―ファンタジーっぽいな。

 空気と光がなんか違うわ―。



 まあ、そういうのはあとで堪能するとして。



「うーん、こうか?」



 俺は膝を曲げてしゃがみ、石造りの床に両手を当てる。



「……、錬成ッ!」


 

 なんつってな!!

 言わなくてもいいんだろうけど、俺は【玩具創造トイ・ファクター】のデミスキル、

再構成リライト】を使って、



「よし」



 石の床から、瓦割りセットを作った。


 

 これで、ちょっと試してみよう。



 でも俺、空手とかやったことないんだが……

 いいや、見よう見まねで。



 俺は、これも【玩具創造トイ・ファクター】で、右の拳にパーカーの袖を使ってバンテージを作って巻く。


 なんかパーカーの袖がちょうど「おれをよりつよいひとに、今、会いに行きます」の人っぽくバサバサになった。


 よし!


 構え!



「ふー、ふー、はッ!」



 拳を、真下の10枚瓦に、突き降ろした。



 パゴッ!



「ぎぃぃいいやああああああああああああッ!!」

「なんだぁああああああッ!!」

「敵襲ッ!! 敵襲ゥゥゥうッ!」

「自分には婚約者がぁああああああ……っ!!」



 俺を中心に、波紋を描いて、床が崩壊した。


 というか、城が崩壊した。



「うおわあああああああああああッッッ!」



 俺もその大崩壊に巻き込まれる。



《#トロフィーを獲得しました♪》


 

 落下中の今!?



《#『シルバー』 人間破城槌》



 これすごいマイナーなトロフィーだよな、絶対。



《# トロフィー獲得リワード 【情報化視界】制限解除Ⅱ》


 

 トロフィーすごい役立つじゃん!! トロフィー集めにはまりそうなんだが!




《# 富士雄さん! 大丈夫ですか富士雄さん! フォースタス・フィストさん!》



「うおおおおッ!? モッチー!?」



《# 【情報化視界】派生【デミスキル】、【視覚化マスコット】が解放されました》



 俺の情報化視界の中に、ねんどろいど◯クみたいにディフォルメされた白ゴスモッチー出現!?



《# あ、あの、ふつつかものですが……》



 すごいかわいいっ! って、今それどこじゃないんだけど!! 

 再開の挨拶は、ちょっと後回しにして、



「うおりゃああああッ!」



 俺は、俺をも押し潰していた巨大な屋根の部分を放り投げ、



「いまは、こっちが先な!」



 スカウターに次々と映る、瓦礫の下の家臣団!



「大丈夫ですかーっ!」



 俺はバコバコと瓦礫をかき分け、目を回している魔族達を救出する。


 さすがに魔族なので、死者や怪我人は出ていないが……


 

 っていうか、モッチーも俺の視界の中で、瓦礫を持ち上げようとしたり、

 気を失った魔族の手当をしようとしているが、意味ないからそれ!!

 かわいいけど!

 というより俺の作業の邪魔なんだが!



《# はうっ! はうっ! ちょ、どこクリックしてるんですかぁっ//////》



「うう、なにが……なにが起こった……」


「勇者の軍勢が来るには、まだ時間が……」



 視界からモッチーをサイドに寄せつつ、瓦礫をとっさに【玩具創造】で変形させたベッドへ、

「大変でしたね、大変でしたね」と、俺が家臣団達を寝かせていると、



「これは、どういうことだ……!?」



 背の高いハンサムな将軍が、お供を連れて走って来た。

 


「ん?」


 

 とっさに、俺はスカウターを確認。



 ■ ■ ■ ■

 名前:  フィリップ・フィスト

 種族:  魔族

 クラス: 魔将軍


 〔戦〕 4000


 〔謀〕 1000


 〔非〕    4

 ■ ■ ■ ■



 バンベルグより強いやつ来た。



「フィリップ様! と、突如、城が、崩壊し……!」


「あの方が、助けてくださったのです!」



 救助した魔族の一人が、俺を指さす。



「礼を言う。見たところ、人間の少年のようだが」



 どうしよう!


 ひどいマッチポンプ!!









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勇者到着まで あと 71時間3分27秒

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