第1章 異世界適応編 とりあえず異世界“魔王”の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか
04話 祝! 無事転生したついでにご報告してもよいだろうか
さて、転生だ。
俺は今、時空間を渡っている最中なのか、意識だけの存在になっている。
と、その前に一つ、言っておきたいことがある。
俺はモッチーと、あのあとしばし天界でお茶しながらおもちゃ談義に花を咲かせ、
完全に意気投合して、
でもずっとそうしているわけにも行かないので、
では、そろそろこの辺で……というところで、
引き止められ、
その……なんていうか……
あの後、そのままモッチーと、朝チュンしてしまいましたぁぁぁ……!
すまん! なんか衝撃的な展開になった!!
ああ……事故死してからが、俺の人生の本番だったんだなぁ!!
一言でいうと、素晴らしい夜でした。
神様って言っても、人間とあんまりかわらないもんなんだな……。
……いや、モッチー以外の女性、俺、知りませんが……
初めてが、神様、か……
そんな、モッチーとの一夜の思い出をあれこれ反芻していると、
こうして離れ離れになってしまったことが、だんだん切なくなってきてしまう。
これが、初恋が敗れたっていうやつなのかな。
でも、こんな俺を、モッチーがあれだけ好きでいてくれたからこその、転生。
モッチーの想いに応えるためにも、転生おもちゃ作り生活、がんばるぞ……!!
あやうく幸せの中で成仏するところだったけれども!!
「よし……!!」
…………しかし、ずいぶん長いな……。
異世界へ魂を移動させるには少しだけ時間がかかるらしく、
俺の意識は暗闇の中で、だんだんぼーっと眠くなってきている。
「いやいや、モッチーのことを、想い返せ!」
ごぽごぽ……
「んっ?」
なんかきた。
「おっ?」
目を開く。
起きたばかりなのか、視界がよくない。
そしてどうやら俺は、全身をなにかに包まれているらしい。
布団?
ちがうな。
もっとまとわり付くような、これ……
ぶくぶく……
って、水の中じゃねえか!
「んおーっ!」
マジか! あれ!? モッチーの野郎、間違えたのか!?
俺、やっぱり深海の貝に転生したんじゃね!?
おいいいいいいいいいいッ!!
「ごぽぽー!」
あ、ちがう。
なんか、俺の目の前に、透明なガラスの壁みたいのがあって、そこに俺の姿が映ってる。
ふぅ……。
これ、ヒトだ。
俺だ!
よかった……。
素っ裸だけど、貝よりはましだ。
モッチー、疑ってごめん。
俺はどうやら、酸素マスクのようなものを装着させられて、
狭い空間で、透明な水だかゼリーだかの中に入れられているらしい。
回復カプセル的な?
ちょうどドラゴン○ールで、よくベ○ータが入ってるようなやつだ。
モッチー、ドラゴン○ール好きなのか……?
「ん?」
俺は水溶液の中で目を凝らす。
目の前に映る俺。
これ、なんか、俺の見た目、若くねーか?
どうみても子供というか、14、5歳くらいの時の俺に見える。
「なんでだ……」
モッチーは確か、シーツの中で「すごくカッコイイ姿で転生します」とか言ってたような……。
あいつ、ひょっとしてショタコン?
しげしげと、若い時の自分とにらめっこしていると。
■ ■ ■ ■
名前: フォースタス・フィスト
真命: 米村 富士雄
種族: 人間
クラス: 魔王
■ ■ ■ ■
突然、視界の中のガラスに映る俺の輪郭が光り、にゅっとステータスみたいなものが出て来た。
もしかして、自動でスカウターのスキルが使われたとか?
《# 所有するスキル【情報化視界】並びに【天の声】が発動しています》
おっ? 視界に追加情報テキストと、初音ミ○っぽい読み上げロイド的声がテレパシーみたいに
直接脳に来た。
やっぱ、スカウターのスキルらしい。
すげえ……『パパ・ママおしえてスカウター』ってこんな感じになるのか!!
確かに魂を感じる……!
けど、ちょっと待て。
この声、モッチー……だよな?
モッチーだよな!?
《# ……チガイマス ワタシハ テンノコエ。 もっちーナドトイウ ビショウジョメガミデハ アリマセン》
待ってモッチー!?
モッチーあなた、俺が転生するとき、
『やっぱり行かないで富士雄! ここで一緒に暮らしてくださいっ!』
って泣いて俺を引き止めて、でもやっぱりそうもいかなくて、
『またいつか、絶対逢おうね……?』
とか、かなりしんみりお別れしたのに、これはどういう!?
《…………(かぁぁっ/////)》
まあ、じゃあこれは【天の声】っていうことにしておくけども……!
いや、嬉しいから単純に!!
モッチー、これからもヨロシクな!!!
…………、なんかジタバタしてる音がするけど、照れてるのかな?
とはいえ、この回復ポッド的な箱の中でずっとこうしているわけにもいかない。
今はとにかく、外に出よう。
なんかお腹も空いてきたし!
ステータス、マジでクラスに魔王って書いてあるが、
魔王もお腹が減るんだな……。
「んーっと、これか」
俺は目の前のガラスっぽい扉に、少し屈んで手をかける。
「おわっ」
びっくりした。
なんか、目の前のガラスの向こう側から、大きなテディベアが俺を見てるんだが……。
なんだ、このかわいいぬいぐるみ。
■ ■ ■ ■
名前: ?
真命: ?
種族: テディベア
クラス: ?
■ ■ ■ ■
ハテナハテナじゃないよ!
解れよ!
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勇者到着まで あと 71時間42分39秒
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