第2話 私は21歳なのです!

次の日の朝……


「あーー、あんまり寝れなかった…。寝たと思ったら変な夢ですぐ目が覚めるし…。」


現在、朝の5時。とりあえず、いつものネトゲにログインした。


「えーーーと、あれ全然人が居ない…。あ、そっか。早朝か。今。」


そんなことをしているうちに、見覚えのある人がログインした。


「ん?誰だ?」


ナルスは、寝不足でかすれた目をこすって画面をよく見た。


「あれ?ムンクじゃん。」


〔ムンク―!おはよー!朝早いね!〕


〔あーー、ブレイブおはよー〕


(画面の奥からかすれた声で言ってるのがなんとなく伝わってくる…)


〔ちゃんと寝れた?ムンク?〕


〔寝れると思う?昨日あんなこと言われて!!〕


〔まあまあまあ、落ち着いて!〕


〔はぁ、もう決まったことだけど仕方がないことだけどね。〕


そんなあきれたムンクがあたり前な質問をしてきた。


〔そういえば、もう装備の準備はしたの?〕


〔へ?〕


〔じ・ゅ・ん・び!〕


〔あああああああああああーーーーーくぇrちゅいおp@あsdfghjkl;〕


〔ど、ど、、どうしたのブレイブ!まさか…〕


〔そのまさかだよ!!早く準備しなきゃ!じゃ、落ちるわ!〕


〔待って!ブレイブ!せめてちゃんと会う場所と、時間は決めない?〕


〔そうだね。じゃあ、10時に宮殿前の噴水でもいい?〕


〔いいよー!あと、もし私がわからなかったらミルナって呼んでみて!〕


〔オッケー!じゃ、またあとで!〕


―――― ブレイブはログアウトしました。 ――――



「やばいやばいやばい、急がなきゃ!!母ちゃん!防具とかない!?」


ナルスは声を大にして、母親の寝室に入った。


「あるわよーー」


母親の声はキッチンのほうから聞こえてきた。


「どうせ準備してないと思って、用意しておいたわよ」


「え、なんで?」


「そりゃ、ニートの息子がニートの勇者になるなんて、めでたいことだからね~」


「ニートは外してよ。なに、ニートの勇者って?」


「いいじゃない。今はニートなんだから。」


「はぁ。」


ナルスはため息をつき、母親が準備をした装備を確認した。


皮の防具・短剣・歩きやすい靴・体力回復薬(超)と魔力回復薬(超)を10個づつ・皮のグローブ・2万マニー


確認するように母親が言ってきた。


「あと、スマフ持った?」


※スマフとは、スマホの機能と自分と仲間のステータスが確認できるデバイスのこと。ちなみにうらやましいことに電池は永久機関で、どれだけ使っても充電は切れない。


「あぁ、持ったよ。」


「あとは……、はい!これ。」


母親が、ついさっきまで作っていたものをブレイブに渡した。


「お弁当よ。おなかすいたら食べなさい。」


「母ちゃん……。」



―――1時間後―――



(いよいよ出発だ。ついにゆうし……)


「つ、ついに脱・ニート。私の息子が脱・ニートよ!」


(気分が乗ってたのに。)


「いってらっしゃい!ナルス・ブレイブッ!」


「行ってきます!」


扉を開けたとたん、近所の子供がナルスにぶつかってきた。


「まぁ、まぁにあった!」


「へ?」


「はい!ナルス君っ!お守り!!」


「おっ!ありがと!」


「ん?これ、安産祈願って……」


「へへぇ」


だめだ!子供の笑顔がまぶしすぎる!


「じゃ、ナルス兄ちゃん頑張ってくるから!」


「ばいばーい!」


子供は思いっきり手を振ってくれた。



――― 宮殿前の噴水に移動中 ―――



「にしても、にぎやかだな~。あ、もうすぐで噴水だ。」


ナルスは時間を確認した。


「今は9時50分か…。」



――― 10分後 ―――



ゴーン、ゴーン、ゴーン


宮殿の10時を知らせる鐘がなった。


「もう10時になったけど、いるかなー?」


ナルスは、あたりを見回したが、いなかった。


ただ、魔女のコスプレをしている女子高生を除いては……。


「いやー、まさかな。魔法なんて使えるのは高レベルの人だけだからな。うん。なんか今日はイベントがあるんだろう。」


※ちなみに町の住人の平均のレベルは15~19あたりである。


「人ごみに隠れているかもしれないし、名前呼んでみよ。」


「すみませーん、ミルナという方いらっしゃいませんか~?」


ミルナの名前を叫ぶと、魔女のコスプレをした女子高生がこっちのほうをさっと見て、すたすたと近づいてきた。


「あのー、すみません。私の名前呼びました?」


ナルスはちょっと引き気味になりながらも答えた。


「あ、同じ名前の人を探していたんです。間違えました。すみません。」


すると、魔女コスの女子高生が、


「もしかして、ブレイブさんですか?」


「え、君がもしかして……」


「その通り!ネトゲではムンクことムーン・クリスタ!そして本名はミルナ、ミルナ・プレンなのですっっ!!」


「なのぉでぇすぅ~?」


ナルスは頭が痛くなった。


「いや~、本物のブレイブに会えるなんて、興奮しまくりなのです!!」


「ねぇ、ミルナさん。まだ、女子高生でしょ?大丈夫なの?いろんな意味で。」


「しつれいなっ!!わ、私はちゃんとした成人なのですよ!!21歳なのですよ!!」


「えええええ!俺と同い年ぃぃぃぃぃ!!」



こうして始まった(まだ出発してない)俺たちの冒険。

っていうか、変な言葉遣いの魔女コスプレをした女子高生風21歳、ミルナ・プレン。

もう、こんな調子で大丈夫なのぉぉぉぉぉぉ!!!?



第3話に続く……

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