悲劇を悲劇で終わらせない、優しい少年の物語

 短編の童話と思って侮るなかれ、感動作品です。誰しもが幼いころに読んだであろう「マッチ売りの少女」を題材とした物語ですが、本編と違ってブラックな要素はほとんどないので読後感がとてもいい。絵本的な語り口ですごく読みやすいので、大人も子供も中高生もぜひ読んでほしい作品です。

 以下ネタバレアリの感想及びレビュー 圧倒的主観ですがご容赦ください








 まず、序破急がきれいに組み上がっていました。作家になりたい人は全員この作品読んで構成を勉強するべきだと思うほどに完成されています。
 序  「マッチ売りの少女」とそれに対するマコトのスタンスの紹介
 破1 「マッチ売りの少女」を見かけるマコト しかしこの時は救えない
 破2 「マッチ売りの少女」の世界に飛び込むマコト そして出会う
 急  「マッチ売りの少女」との対話 優しいココロとマコトの日常
 
 1:2:1の構成、日常と非日常の絶妙にして自然な転換、出会いを通した子供の成長と短編小説に盛り込みたい要素てんこ盛りです。これらが子供に読み聞かせたくなるような優しい語り口で書かれているのだから、最高ですね
 次に内容についてですが長々と書くのは本意ではないので箇条書きにします。
1、「子供」と「大人」の対比 「無くさないモノ」と「無くしていく者」
2、苦悩の存在 ハッピーエンドまで直線じゃないから人は心打たれる
3、「優しさ」の所在 心の中にそれの居場所はあった
4、語り継がれる物語 繰り返す悲劇と育まれる愛情
 格好つけた書き方していますが、読んでいただければ大体何が言いたいかは伝わると思います。
 最後になりましたが、本当に感動する作品です。ぜひ小さな空き時間に読んでくれたらなと思います。駄文の長文失礼しました。

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