ピンチをチャンスに
「ピンチをチャンスに、っていうけどさ」
立ち飲み居酒屋で、茹で蛸のように真っ赤になったおじさんが叫んでいた。
「ピンチはピンチだろうよ! チャンスじゃねえよ! だって、逆を考えてみろよ! チャンスはピンチになるか? ならねえだろ? だったら、ピンチはチャンスなんかじゃねえんだよ! ピンチは何の変哲も無い、ただのピンチなんだよおおおおおお!」
同僚らしい、周りのおじさんは、叫び続けるそのおじさんを止めてはいたが、彼の叫びは止まらない。
その声を聞きながらも、私を含めたスーツ姿のサラリーマンは、足を止めずに地下鉄の駅に吸い込まれるように歩いて行った。
ピンチをチャンスに。
それが無理難題であることなど、この街の人間なら誰だって知っているのだ――。
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