見上げてごらん

「ほら、見上げてごらん。夜空に光ってる星はね、実はもう死んでしまった星なんだよ」

「星も死んじゃうの? 人間みたいに?」

「そうだよ」


 子供の質問に教師は答え、微笑んだ。


「けど、光がここまで届くには時間がかかるから、あれはずうっと昔に死んでしまった星の光なんだ。それこそ、何百光年も前にね」

「へえ……」


 子供たちは嘆息し、宝石を散りばめたような星空を見上げた。


 彼らが見つめているのは、数多の光、その中でも目を凝らさなければ見えないほどの小さな小さな青い光。


 今日は、故郷の星に思いを馳せる、望郷の夜。あの小さな光は、古代「地球」と呼ばれていた、水と緑の惑星なのであった。

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