第12話 出品者を見抜け!ネットショッピングで後悔しない方法




「教えてお兄ちゃん!」


「なんだい、妹よ」


「うわーん、最悪だよー! インターネットで買い物してたら詐欺に引っかかっちゃったんだけど、どうすればいいの!?」


「詐欺? 何があったんだ」


「あのね、フリマアプリでお気に入りの絵師さんの同人誌が出てたの。コミケで部数限定発売だったやつでさ、すっごいレアだから買うしかないじゃん! でも届いてみたら……買おうと思ってたやつと違うの!」


「なるほど、それは困ったな。どういう風に違ったんだ?」


「あ、えっと、それは……」


 わたしが買ったのは肌色の多い薄い本だったので、お兄ちゃんには購入後に届いたメールと、梱包の中に入っていた納品書を見せた。


「お前が買ったのは『イケメン戦国★謙信×信玄』で、届いたのは『イケメン戦国★信玄×謙信』……なんだ、一緒じゃないか」


「一緒!? 信っじられない!! 今のお兄ちゃんの発言、全国の腐女子を敵に回したからね!?」


「はぁ? どういう意味だ」



※意味が分からない人は「カップリング」でグーグル先生に聞いてみよう! 知らなくても生きていける知識だぞ!



「……ま、それはともかく、フリマアプリということはCtoCってことだよな」


「CtoC?」


「Consumer to Consumerの略で、一般消費者同士が取引するネットビジネスのことだよ。ネットオークションもこれに分類される。一方BtoC(BはBusinessの略)というのもあって、これは企業と消費者間のネットビジネスのこと。代表的なのは密林Amazonenjoy heaven楽天だな。つまり、一口にネットショッピングと言ってもサイトやサービスによって売り手がどんな人か違ってくるということだ」


「うーん、それが何か関係あるの? ネットショッピングは欲しいものが買えればお店とか関係なくない?」


「甘いッ! ネットショッピングだからこそ、誰が出品した商品かによってサービスの質が大きく左右されるのだ!」


「ええっ!? そうなの?」


「ああ。特にCtoCは一般人も出品できるので相手が信用できる出品者なのかきちんと見極めるのが重要だ。お前はどんな人からその本を買ったんだ?」


「えっと……」


 私は自分が買った商品のページをお兄ちゃんに見せる。それを見るなりお兄ちゃんは深いため息を吐いた。


「ちょっと、そんなあからさまにがっかりしなくてもいいじゃん!」


「お前は本当にノリと勢いでこの商品を買ったんだな。商品ページに『返品・返金不可』って書いてあるだろ? これは訳すると『』という意味だ」


「そんなぁ……じゃあ泣き寝入りするしかないってこと?」


「いや、そういうわけじゃない。そもそもこういうトラブルを防ぐために、フリマアプリ側で『返品・返金不可』と記載するのは禁止していたりする。つまりこの出品者はルールを無視して出品している悪質なユーザーということだ。基本的にルール違反していたり評価が低い出品者には近寄らないのが一番だが、万が一購入してしまった場合の対処法もあるぞ」




①まず、どんなに出品者から要求されたとしても「受取評価」など受領を認める行為をしない。

:受け取ったことを認めた時点で買い手に支払い義務が生じます。これはネットショッピングに限らずあらゆる取引に共通する基本的なルールです。


②返品・返金に該当する理由があるかどうか確かめる。

:元々の商品ページに記載されている内容と明らかに相違がある、ブランド物を買ったと思ったら偽物だったなどは出品者に対応を求めることができます。逆に、元々「キズあり」と書いてあるのにそれを理由に返金を求めるのはただのクレーマーになるので、事前に商品の説明書きをよく読みましょう。


③出品者に問い合わせる。相手が応じない場合は事務局に連絡する。

:まずは出品者に連絡を取り、返品・返金に応じてくれるかどうか相談します。相手がどうしても拒否するのであればフリマアプリの運営者に連絡します。いきなり運営者に連絡しても掛け合ってくれない場合が多いので注意。




「よかったぁ、わたしはまだ受取評価してなかったから、出品者に連絡してみよう」


「ああ、そうしてみなさい。相手もただ間違えてしまっただけの可能性もあるから、あまり強い口調で連絡しないようにな。インターネットはお互いの顔が見えないからこそ、強い口調で責めると相手も感情的になって炎上に発展しやすい。いかにおだててその気にさせるか、これがインターネット上のコミュニケーションを円滑にするコツだ」


「良いこと言ってるようでけっこう性格悪いねお兄ちゃん!」


「あと、本作では口酸っぱく言っているが、インターネットをより賢く安全に使うためには警戒心を強く持つこと、これが第一だ。さっき言った通り、レビューやプロフィールをよく見て、怪しいと思われる出品者からは商品を買わないようにするのが後悔しないネットショッピングの鉄則だよ」


「商品だけじゃなくて売る人のことも気にしないといけないってことだね」


「そうだ。出品者を気にかけるようにすると、トラブルを防ぐだけでなく得をすることだってある。例えば密林だと出品者のタイプによって商品の発送ルールが違うことを知っていたか?」


「え、そうなの?」


「特に平日昼間に仕事をしているサラリーマンほどネットショッピングを利用することが多いと思うんだが、商品はいつでも買えても受け取りに困ることもあるだろ」


「そっか、配達はあんまり夜遅くにやってくれなかったり、細かく時間指定できなかったりするよね。作者は急に残業が入って荷物を受け取れなかったってことが何度もあるみたい」


「そうそう、あれ地味にストレスになるんだよな。そういう人にオススメなのが『店頭受け取りサービス』だ」


「店頭受け取り?」


「そう。商品を自宅ではなく近くのコンビニや配送業者の事務所で受け取ることができるサービスのことだ。実は密林の場合、密林が出品している商品か密林が発送する商品であればこのオプションを選択することができる。店頭受け取りであれば自分の都合がいい時に取りに行けるから、忙しい人や予定が不安定な人にはオススメのサービスだぞ」


「そんなのあるんだね! 実家暮らしの人の場合は家で親が受け取るのが恥ずかしい商品を注文する時にも便利だね!」


「はっはっは、励みたまえよ……って、それをコンビニで受け取るってのもどうかと思うがな!?」




--ピンポーン。



 そんな時、家のインターホンが鳴った。玄関からは「お届け物でーす」という声が。




「お兄ちゃんのじゃない?」


「ん? 僕も何か注文した覚えはないが……」


 荷物を受け取って送り主を見ると、お兄ちゃんの彼女の名前が書いてある。お兄ちゃんの顔はぱぁっと明るくなった。


「そうか、もうすぐ記念日だから密林で僕のほしい物リストを見て送ってくれたんだな……! うん、このサイズ、この重み、僕が欲しかった最新型タブレット端末が入っているに違いないっ!」



--ビリッ



 お兄ちゃんは意気揚々とダンボールを開けた。そこから出てきたのは……タブレット端末ではなくて、分厚いピンクの表紙の雑誌。





「ヒィィィィィッ! ゼ、ゼ○シィ……!」





 お兄ちゃんは震え上がって部屋の隅に縮こまってしまった。やっぱりお兄ちゃんの彼女は怖いです。




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作者のプチ補足(12)


今回はTwitterにて並木坂さん(@namiki_773)にネタ振りいただいた、ネットショッピングについてでした! ネタ振り感謝です!


ネットショッピング便利ですよね。私は家具を買う時は店頭で見てネットで注文したりします。一人暮らしだと自力で運べないので。


あとやっぱり小説・漫画が好きな人にオススメなネットショッピングサイトと言えば「honto」というサイトです。紙の本と電子書籍両方取り扱っていて、クーポンやポイントが充実しています。ジュンク堂や丸善など大きい本屋さんでも共通して使えるポイントなのでお得感がありますよ。


▼ハイブリッド型総合書店honto

http://honto.jp/




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