小ネタ2号 面倒くさがり屋に送る!パソコン作業効率術



「教えてお兄ちゃん……」


「なんだい、妹よ。元気がないな」


「実はね……さっきまで小説書いてて、3,000字以上のページを更新する直前だったんだけど……」


「はっはっは、データが飛んでしまったのか。Webサイトは公共の空間だ。いつデータが消えてしまってもおかしくないのだから、バックアップはしっかり取っておかないと。第4話をしっかり読み直してクラウドを活用しなさい」


「笑い事じゃないよう!! まさかあんなタイミングでインターネット回線が切れるなんて……」


「(ん……回線切れだと……?)」


「今からバックアップ取るのも面倒くさいなぁ。もう10万字超えてるから大量にコピーしないと……」


 するとお兄ちゃんがポンと私の肩を叩いた。わざとらしいくらい満面の笑みを浮かべて。


「心配するな、妹よ。この兄が作業効率を上げるために良い方法を教えてやろう」


「本当に!? さっすがお兄ちゃん!」


「(さっき部屋の中でつまづいてWi-Fiの電源を抜いてしまったなんて言えない……)」


「どうしたの?」


「いや何でもない。なお今回は最もユーザーが多いであろうWindowsの場合で解説するぞ」


「作者は本作をMacで書いてるから混乱しそうって嘆いてるけどね! でもどうやったら効率化なんてできるの?」


「フフ……よくぞ聞いてくれた! 今からお前にはショートカットキーを伝授するぞ!」


「ショートカットキー?」


「ああ、特定の作業をキーボード上のあるキーを組み合わせることで一発で発動できる便利技だ」


「うーん、楽そうだけどキーの組み合わせって覚えるの大変そう……」


「じゃあ聞くが……今からお前はWeb上にあげた10万字分の文章をWordファイルか何かにコピペ(コピーして貼り付けのこと)しなきゃならないんだよな」


「うん」


「手順としては①Webサイト上の小説ページからマウスでコピーしたい文章をドラッグして、②マウスを右クリックして『コピー』を選び、③画面下部のアイコンの中のWordソフトの上でマウスをクリック、④またマウスを右クリックして『貼り付け』をし、⑤もう一度画面下部のブラウザアイコンの上でマウスをクリックして移動。これをずっと繰り返すのだ」


「うっ……聞いてるだけで嫌になってきた」


「だがショートカットキーを使うと、①Webサイト上の小説ページで[Ctrl]+[A]、②そのまま[Ctrl]+[C]、③[Alt]+[Tab]でWordソフトに移動、④[Ctrl]+[V]をして、⑤もう一度[Alt]+[Tab]でブラウザに移動、これで終わりだ」


「何言ってるか全然分からないけど、文字数的には145字から102字への短縮だね!」


「さて、ショートカットキーのやり方では一切使わないものがある。それは何だ?」


「あ……マウス全然使ってない!」


「そう。実はPCの作業が早い人ほどマウスを使わなかったりする。いちいちドラッグしたりする時間がもったいないからな。できる限りキーボード上で済ませてしまうのだ」


「マウスだと画面への反映が遅くてイライラしちゃう時もあるもんなぁ。で、さっきお兄ちゃんが言ってた[Ctrl]+[A]とかってどういう意味なの?」


「ようやく気になってきたか……! 特によく使うショートカットキーを下にまとめておくぞ」




<お兄ちゃんオススメ・今日から使えるショートカットキー>


【全選択】[Ctrl]+[A]

コントロールキーとAを同時押し。AはAllのAと覚えよう。


【コピーをする】[Ctrl]+[C]

コントロールキーとCを同時押し。CはCopyのCと覚えよう。


【貼り付けをする】[Ctrl]+[V]

コントロールキーとVを同時押し。PasteなのになぜかV。コピーの隣と覚えよう。ちなみに[Ctrl]+[P]はプリンタが立ち上がる。


【保存をする】[Ctrl]+[S]

コントロールキーとSを同時押し。SはSaveのSと覚えよう。


【使うアプリケーションを切り替える】[Alt]+[Tab]

コントロールキーとAltキーを同時押し。今開いているアプリ一覧が現れる。[Alt]を押しながら[Tab]を押す回数で移動するアプリを選ぶ。直前まで使っていたアプリが一番手前になっている。




「ちなみに[Alt]+[Tab]は[Windowsロゴ]+[Tab]でもほぼ同じ機能だぞ。こっちの方が動きがカッコイイので、厨二病をこじらせた人などにおすすめだ」


 私は試しにお兄ちゃんのパソコンでショートカットキーを使ってみた。すると……なんと1ページ分のコピペが一瞬でできてしまったのだ。


「すごーい! 動きがサクサク! これならあんまり面倒じゃないかも」


「だろ。他にもブラウザ上で一つ前のページに戻る時は[Back]、入力フォームで次のフォームに移動するときには[Tab]など、ショートカットキーはまだまだたくさん存在する。インターネット上で紹介されているので、気になったら是非調べてみてくれ」



▼Microsoft『Windows7のショートカットキー』

https://www.microsoft.com/ja-jp/enable/products/keyboard/windows7.aspx



「ショートカットキーを使いこなせたらいかにもPCできる人って感じだね! ちょっと覚えてみよっと」


「はっはっは、励みたまえよ」


「でもさぁ……よく思うんだけど、こういう単純作業って人間がやる意味あるのかな?」


「いきなりどうした」


「最近AI(人工知能)が話題になってるでしょ。10年もすれば単純作業は全部AIがやってくれるようになるって言うじゃん」


「単純作業どころか、小説を書けるAIも実現したらしいな」


「えーっ! それじゃあますます人間の立場ってなくなるじゃん」


 私が社会人になる頃にはもうほとんどの仕事をAIがやるようになっちゃうのかな。そう思うとなんだか将来が不安……しかし、お兄ちゃんはのん気に笑って言った。


「まぁそう悲観するな。人間にもAIに勝てる強みがあるぞ」


「何?」


「それは……『これめんどくさいからもっと楽したいなぁ〜〜』という感情だ」


「ええーっ! かっこ悪!」


「そんなことないぞ。AIは一体誰がプログラミングすると思う?」


「えーと、どこかの大学の偉い教授とか、大企業の研究所の所長とか?」


「まぁ役職はともかく、AIを作るのは人に他ならない。AIを設計目的の多くは単純作業の効率化だ。つまり『これめんどくさいからもっと楽したいなぁ〜〜』という発想がAIを作るとも言える。AIは”面倒くさい”と自分で判断する基準を持っていないから、新たなAIを作り出すことはできないと言われているんだ。今のところの理屈で言えば、AIの作り手になれるのは人間だけなんだよ」


「でもみんながみんなAIを作れるほど賢くはなれないでしょ」


「技術的に賢くなる必要はないよ。AIに負けないためには、とにかく頭を使って考えることだ。面倒くさいことをそのまま受け入れず、どうやったら簡単にできるか、もっといい方法はないか、常に考えていいやり方が思い浮かんだら試してみる。そうしていくうちに、AIに奪われるのではなくAIを作る・使いこなす側の立場になっていけるのさ」


「なるほどー。私もまずは身近な面倒くさいことをどうにかする方法を考えてみようかな。例えば、日替わり担当制のお風呂掃除をなるべくお兄ちゃんに押し付けるためにはどうすればいいか、とか」


「……おい」


「ハッ!!」




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作者のプチ補足(小ネタ2)


私が初めてショートカットキーを覚えたのは大学生の時。それまでPCってなんか動作が面倒で嫌だなーと思っていました。当時所属していたサークルで会計の打ち込みを大量にやるというミッションがあって、その時先輩に教えてもらったのです。


以来、ショートカットキーの虜。MacBook Airを買った時もまず最初にやったのはショートカットキーを調べることでした。MacはWindowsとショートカットキーが違うんですよね。ちなみにショートカットヘアもショートケーキも好きです。え? 聞いてない?


AIについては頭のいい方々がやんや論争されているので、あまり深くは触れません。


ただかつて仕事絡みで行ったAIに関するセミナーの話が個人的に好きだったので、ネタの参考にさせていただきました。やっぱり未来には希望があった方がいいですしね。



【参考記事】

事業構造『ヤフーCSOが語る「AI×データ」はビジネスをどう変えるか?』

http://www.projectdesign.jp/201603/salon-speech/002729.php



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