第4話 卒論のデータはクラウドに保存しろ!
「教えてお兄ちゃん!」
「なんだい、妹よ」
「”クラウド”ってなに?」
すると、お兄ちゃんはおもむろに立ち上がって「ククク……」と不気味な笑みを浮かべた。
「ついにこの話をお前にする時が来るとはな……! いいか、クラウドってのは1997年に発売され世界的な人気を誇る某RPG7作目の主人公のことだ……! なんと近々PS4でフルリメイク版が出るということが発表され、財布の紐が固いどケチ作者もこれを機にPS4を買うんじゃないかとまことしやかに囁かれる」
「あのー、ゲームのことじゃなくて、わたしが聞きたいのはITとかWebのことなんだけど……」
「なるほどITか! 実は2014年に本ゲームメーカーは時代の流れに合わせてクラウドゲーム事業のベンチャーを立ち上げることになり、なんとその社名をクラウドにちなんで”シンラ・テクノロジー”としたっていう話は」
「……興味ないね」
「ありがとうございます!!!」
お兄ちゃんはITオタクであると共にゲーマーなのです。……と言っても、「ゲームの中まで他人と関わりたくない」という謎の主張があって、オンラインゲームはあまりやらないみたいだけど。
「で、本当は何が聞きたかったのだ、妹よ」
「実はね、家庭教師の先生が困ってるみたいなの」
「ちょっと待て、うちは家庭教師雇えるほど裕福だっただろうか」
「その方が設定上都合がいいからって作者が」
「……ふん、まあいい。それで?」
「先生は大学四年生でそろそろ卒業論文を書かなきゃいけないんだけど、毎年みんな提出直前になってデータが飛んだりして大変なんだって」
「なるほど、大学生あるあるだな。実に大学四年生の10人に1人くらいの割合で提出直前にデータが吹っ飛んだという阿鼻叫喚地獄がSNSなどを通じて報告されているらしい(オトシマ総研調べ)」
「えーっ! そんなにたくさんの人が被害に遭うものなの?」
「ああ、それに原因もわりと明確だ。大学生は入学時に自分のノートPCを買ってもらうことが多く、よほどPCに触れる人でない限りそれを四年間使うだろ?」
「うん、その家庭教師の先生も一年生の時に買ったパソコンって言ってた」
「実はノートPCの最も重要なパーツの寿命が四年前後と言われているんだ。だから、卒論の提出時期はすでにPCにガタが来始めている時期というわけさ。だからPC本体にしかデータを保存していないと、PCがダメになった時にデータも一緒に消えてしまう」
「な、なるほど……。でね、何かいい方法ないかなって調べてたらクラウドってのが出てきたんだけど、わたしじゃよくわかんなかったんだよね」
「なるほど、自分で調べてみただけ偉いじゃないか。お前もグーグル先生への頼り方を覚えてきたようだな」
「エヘヘ……」
「だが僕に対して隠し事とは感心しないな。どうせあれだろう、家庭教師のことは口実で、本当は好きな絵師の画像をスマホに保存しまくっているうちに空き容量が足りなくなってスマホの動作に支障がではじめたのだろう」
「(うっ! またバレた!)」
「スマホの画像データも積み重ねていくうちに膨大な容量になるからな。本体へ保存していると別のアプリの動作に影響が出始める。卒論の話とも合わせて、やはりここで使いこなせると便利なのがクラウドだ」
「クラウドって英語で雲のことだよね? なんかそれだけだとどんなものなのかよく分からなくて」
「雲は雲でも、ドラゴンボールの筋斗雲のようなものだと言った方が分かりやすいか? 要は好きな時に、好きな場所で、好きなデバイスを使って自分のデータを呼び出せるツールのことだ」
「おお! おらわくわくしてきたぞ〜!」
「今日はやたらパロディが多いな。身近でよく使われるクラウドストレージサービスと言えば
・Google Drive:GmailなどGoogleアカウントをよく使う人にオススメ。
・iCloud:MacやiPhoneなどApple製品を持っているとかなり便利。
・OneDrive:WindowsやSurfaceなどマイクロソフト製品と相性がいい。
・Dropbox:比較的どのデバイスとも相性がいいが無料で使える容量が2GBと少なめ。
「ちょっと待って、会社のデータをクラウド保存できるってことはもしかして……」
「皆まで言うな。弊社はホワイト企業だ。だいたい作者は自ら課した小説の定期更新に追われすぎて、家で仕事をする暇などないよ」
「そ、そっか、それならいいけどね……」
「さっき紹介したクラウドはどれも無料で使えるぞ。ただしあまりにも容量が必要な場合は課金が必要だ。まぁ普通の生活で使う分にはまず無料プランで事足りるはずだがな」
「ちなみにどうやったら使えるようになるの?」
「各サービスやデバイスによって異なるな。Apple系製品は使い始める際に既にiCloudアカウントを取得している場合が多い。Google DriveはGmailを使っている人ならそのアドレスでログインできるはずだ」
「あ、わたしはiPhone買った時に既にiCloudのアカウントを作ってたみたい。で、データをクラウドに上げるにはどうすればいいの?」
「iPhoneであれば写真アプリからクラウドにアップしたい写真を選択して、左下の□に↑のアイコンを押せば『iCloudで共有』というメニューが出てくるはずだ」
「おお〜簡単!」
「ちなみに、一気に複数ファイルを上げるとそれなりにデータ通信量がかかってしまう。通信制限になりやすい人は是非前話をおさらいしてみてくれ」
「(あ、PV数稼ごうとしてる)」
「Apple製品でクラウドを使う場合、作者が愛用しているのがメモ帳アプリだ。別々のデバイスでもiCloudを通じて同じメモ帳を閲覧・編集ができるから、出先で思いついたアイディアをiPhoneで箇条書きにしておいて、家に帰ってからMacBookで執筆ということをしているそうだ」
「それ便利だね! わたしも真似してみる!」
「ちなみにiPhoneのメモ帳アプリは初期の保存フォルダが本体かキャリアになっていることが多いから、保存先をiCloudにしておくといいだろう。機種変更や紛失でiPhoneをなくしたとしても、インターネットさえ繋がればすぐに同期できて安心なのだ」
「そっかぁ! 今まで機種変更する時は前の機種のデータが使えなくて不便だなと思ってたけど、クラウドを使えばそのまま継続して使えるんだね」
「その通り。ちなみにパソコンの方はもっと簡単にクラウドと同期できる方法がある。各クラウドのアプリをインストールしておけば、普通にデスクトップに保存する要領でクラウドに自動保存できるようになるのだ! しかも、インターネットを介して他の人ともデータを共有できるから、わざわざメールでファイルを送ったりする手間が省けるということだ!」
「すごい! これで気の合うフォロワーさん達と同人サークルを立ち上げて共同で文芸誌作る時も安心だね!」
「ん? 何か言ったか?」
「ななななんでもないよ!」
「もし複数人でクラウドを使って一つのファイルを編集するときは、競合に気をつけるようにな」
「競合?」
「同じタイミングで複数人が編集してしまうと、どちらが正しいファイルなのかクラウドが判断できなくなり、ファイルが二つに分裂してしまったりするのだ」
「うーん、それはまた統合し直すのとかめんどくさそうだね」
「そうだな。だから、簡易なドキュメント、表計算、スライドであればGoogle Docsを使うのがオススメだ」
「また新しい単語が出てきた!」
「Google Docsはワード・エクセル・パワーポイントの簡易版のようなもので、オンライン上で編集できるのが特徴だ。これなら他の人がどの辺を編集しようとしているかがリアルタイムで見れるからデータの競合はしにくい。ただし使い勝手はマイクロソフトのOffice系ソフトとかなり異なっているから、マクロなど高機能を使うには慣れが必要だがな」
「ありがとお兄ちゃん! クラウドのこと、家庭教師の先生にも教えてあげよっと」
「はっはっは、励みたまえよ。ところでその家庭教師の名は何という?」
「……教えないよ。お兄ちゃんに教えたらFacebookとか勝手に探してプロフィール特定するでしょ」
チッ、と小さな舌打ちの音が聞こえた。
「最近の若者はキラキラネームが多いから、氏名さえ分かれば簡単に特定できるんだがな」
「ちなみに作者の本名はありふれた名前なのと、漢字のニアミスが多くてエゴサーチ(自分の名前を自分で検索すること)してもなかなか出てこないらしいよ」
「それはそれで……なんだか寂しいな。だから自作小説のキャラの名前を付ける前に、わざわざグーグルで検索して被りがないか調べているというわけか」
「その労力をかけるくらいならそろそろ私たちの名前も出して欲しいよね、お兄ちゃん」
「全くだ、妹よ」
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作者のプチ補足(4)
クラウドは本当に便利です……!
クラウドがなかったら生きていけないんじゃないかってくらい、この便利さに依存しています。
PCやスマホ本体にはなるべくデータを置かないのが理想です。本体保存は他のアプリケーションの動作が鈍くなったり、デバイスが紛失・破損した際にデータも一緒にぶっ飛んだりとリスクが高いのです。
自分が卒論書くときは全部dropboxに保存してましたね。どケチなのでPCを四年間買い替えなかったんです。だけど先輩や同級生がデータ吹っ飛ばしてるのを見て、これは自分もやばいぞと。あと単純に自分のPCが重くて執筆が捗らなかったので、学校のPCで作業ができるようにするためでもありました。
また、すでに書きましたがiCloudのメモ帳アプリは執筆勢にかなりオススメです! インターネット上でも編集可能なのでPCがMacじゃなくても全然いけます。
クラウドの便利さについて語るともっと色々書けそうなんですが、一応Web初心者向けエッセイなので一旦ここまで。
(書き始めた時から思ってたけど、このエッセイ画像挿絵がないと結構伝えるの苦しいものがあるな……)
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