第3話 通信制限は公衆Wi-Fiを駆使して躱せ!



「教えてお兄ちゃん!」


「なんだい、妹よ」


「実はスマホが通信制限かかっちゃって……」


「何!? まだ月半ばじゃないか。お前のスマホの契約だと、月7GBまでは高速で使えたはずだろう」


「でも今日メールで低速化しましたって来たんだもん……! ネットが遅くてストレスだよー! どうやったら通信制限に引っかからないようになるの?」


「ふむ、通信制限か……これは特に10代・20代の若者の多くが悩める社会問題とも言えるな」


「なんか大げさじゃない?」


「いや、実際のところ、僕のようにWebの仕事をしている人間にとっても頭の痛い話なのだよ。特に月単位でアクセス目標が設定されている場合はな。月末に数値が足りないからとブーストかけても、ユーザー側が通信制限でサイトに来てくれないのだ。これはなんとかせねばなるまい」


 よし、お兄ちゃんにやる気スイッチが入った。このまま何で通信制限になったか理由は聞かないで--


「大方、動画を大量に見ていたのだろう。最近Web上で腐女子に大人気の六つ子のアニメが再放送していたらしいからな」


「(うっ、だから何でわかっちゃうの!)」


「若者が通信制限に引っかかる原因の多くは、YouTubeなどによる無料動画サイトの閲覧だ。動画や音楽はデータの容量が大きいから、その分通信制限を早めてしまうのだ」


「若者若者って言うけどお兄ちゃんだって20代でしょ」


「データの大きさのイメージはざっくり言って、動画>音楽>画像>>>テキストの順だ」


「(無視かい)」


「この辺までは割と一般論で認識も広まっているが、実は盲点になっているのが一つある」


「モーテン?」





「それは--アプリだ!」


「アプリ!?」




「時にお前、普段はどんなアプリを使っているんだ」


「えーと、Twitterでしょ、LINEでしょ、あとYouTubeとか、画像加工アプリも最近使うかな」


「ちなみにこのイケメンのイラストアイコンは何のアプリだ?」


「……お、乙女ゲーです」


 うわー、恥ずかしい!!! けどお兄ちゃんは顔色一つ変えずに頷いた。


「うむ、こいつがルパンだな」


「ルパン?」


「通信量を多く食っている原因ってことだよ。アプリのアップデートはいつやっているんだ?」


「アップデート? いつまでも赤い通知があるのは嫌だから、いつもすぐにやっちゃうよ」


 お兄ちゃんは呆れたようにため息を吐いた。


「それでも僕の妹なのか。アップデートにどれくらいの容量が必要か、計算したことはあるか?」


「え!? あのアップデートにも通信量がかかるの?」


「そうだ。特にゲーム系アプリは月に一度大幅なアップデートをすることが多く、その容量はかなり膨大だ。他のアプリとまとめてアップデートをしたら一気に3GBまで消費するなんてこともある」


「3GB!? それって月の上限の半分も使っちゃうじゃん!!」


「あくまで普段使っているアプリにもよるがな。あと、アプリだけじゃなく半年に一回くらいのOSアップデートにも注意が必要だ」


「オーエス?」


 なんでいきなり綱引きの掛け声?


「OSはパソコンやスマホの土台となるプログラムのことだ。そうだな……分かりやすく言うとゲーム機のようなものだ。例えばWiiのゲームソフトはPS3では使えないだろ? ソフトはOSに合わせて設計される。このゲーム機に該当するのがOS・パソコンではマイクロソフト社のWindowsとApple社のMac、スマホではグーグル社のAndroidOSとApple社のiOSが代表的だ。アプリがゲームソフトに該当すると考えて貰えばいい」


「なるほど〜。アンドロイドとか、聞いたことはあったけど今まで何なのかよくわかってなかったかも。スマホのエクスペリアのことをiPhoneって言ってる友達もいるし」


「そう、意外とその辺が知られていなかったりするんだよな。さて、本題から逸れたがOSアップデートの話だったな。OSもアプリと同様、定期的なアップデートをしなければいけない。なぜアップデートしなければいけないかはまた今度改めて解説しよう。このアップデートが実は単体で2GBも必要だったりして大幅に容量を食うのだ」


「ええ〜っ! じゃあそのOSアップデートがある月はすぐに通信制限になっちゃうじゃん!」


「そこで、お勧めしたいのが公衆Wi-Fiだ。あ、家に通信無制限のLANがある通信リッチな方は読み飛ばしても構わないぞ」


「作者、どケチだからついつい月額が安い通信制限のあるモバイルWi-Fi使っちゃうんだよね」


「ああ。だからここからは通信貧乏な作者がひねり出した工夫をみなさんにお届けするぞ。日本はまだまだ普及していない方ではあるが、実は外出先でもインターネットが利用出来る場所がいくつかあるのだ」


「へぇ、そうだったの?」


「ああ。ただし全くログインパスも必要としない無料の公衆Wi-Fiはさすがにセキュリティ的にも不安が残る。だから最もオススメしたいのは通信キャリアが提供している公衆Wi-Fiだ」


「通信キャリア?」


「白い犬とか、キノコとか、三太郎のCMをやっている会社のことだよ。携帯電話の契約はだいたいそのいずれかでやっているだろ」


「あ、そっかあ! うちは家族でキノコの会社だね」


「うむ。カフェに行ったりするときに、そのキャリアのアイコンのシールが貼られているのを見たことはないか?」


「そういえば、駅前のスタバにはあった気がする」


「実はこのシールが貼ってある場所だと、Wi-Fiが使えるようになるのだ! ちなみにその会社と契約しているスマホだけでなく、手持ちのタブレットやノートPCにもつなげることができる。普通のキャリア契約だとだいたいデフォルトでこのサービスが込まれているはずだぞ」


「し、知らなかった……どうやってログインIDとパスワードを調べればいいの?」


「契約書か各社のHPで契約状況を調べるとわかるはずだ」



【各社のWi-Fi利用方法に関する詳細はこちら】

▼キノコの会社

https://www.nttdocomo.co.jp/service/data/docomo_wifi/usage/

▼三太郎の会社

http://www.au.kddi.com/mobile/service/smartphone/wifi/wifi-spot/usage/

▼白い犬の会社

http://www.softbank.jp/mobile/network/wifispot/setting/



「早速調べてみよっと! うちの近くだとスタバの他に公衆Wi-Fiを置いてるとこあるかな?」


「そうだな、だいたいカフェのチェーンやファミレス、コンビニ、東京メトロは対応していたはずだ。設置場所はどんどん増えているから、ぜひお近くの情報を調べてみてくれ」



【公衆Wi-Fi設置場所を調べるにはこちら】

▼キノコの会社

http://sasp.mapion.co.jp/b/docomo_wifi/

▼三太郎の会社

http://300.wi2.co.jp/area/2/au_area/

▼白い犬の会社

http://www.softbank.jp/mobile/network/wifispot/



「アプリのアップデートをする時だけでもこの公衆Wi-Fiを利用すれば、かなりの通信量を節約できるはずだ。ただし公共の場なので最低限のマナーは守るようにな」


「普段平気でカフェに3時間滞在する作者がそれ言う?」


「ちゃ、ちゃんと空気は読んでいるぞ……っ! 混んできたら早々に退散するしな。ってなんで僕が言い訳しているんだ、これ作者の話だった」


「でもさぁ、もしこれだけでも節約したりない場合はどうすればいいの?」


「そうだな、普段あまり使わないアプリのモバイルデータ通信を切っておくのはどうだ。使っていなくても勝手に通信をしているアプリがあったりするからな。iPhoneの場合、設定方法は『設定』アプリを起動して『モバイルデータ通信』の項目だ。下の方にモバイルデータ通信を使用するアプリの一覧があるだろ? 普段あまり利用しないアプリはこれをOFFにしておくと、勝手に通信量を消費するのを防ぐことができるぞ」


「なるほど〜! これでだいぶ節約できそう! ありがとうお兄ちゃん!」


「はっはっは、励みたまえよ」


「でね……お兄ちゃん、あのね……」


「なんだ、まだ何かあるのか」


「今月はもう上限に行っちゃったからその……お兄ちゃんの部屋のWi-Fi使わせてもらいたいなぁ、って……」


「それが目的だったのか。なら早く言いなさい、別に構わないから」


「さっすがお兄ちゃん! で、Wi-Fiのパスワードは?」


「imouto_hentaiだ」


「……」




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作者のプチ補足(3)


通信制限、本当に困りますよね!

私はなぜか動画をあまり見ないのに通信制限にかかってしまう事があって、原因がこのアプリアップデートだと判明しました。


あとは書きそびれましたが、TwitterやFacebookのタイムラインでの自動動画再生も結構通信食うので、必要ない方はその機能をOFFにしておくといいかもしれないですね。ブラウザまたはアプリの設定から行けたはずです。


通信節約術はもっともっと極めていきたいと思っているので、さらに新しい情報が入れば続編を書こうと思います。



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