第17話天使って本当に居るんですかぁ?

【天然石ショップLapis】


「エンジェライトとローズクォーツのブレス出来たよ」


「きゃは、このデザイン可愛いですぅ」


「水晶をハートにしたんですね」


「ボタンも使ってるから、作るの結構大変」


「お兄ちゃん、じゃない、オーナーは不器用だから」


そうなんだよな、後は石を選んでおいて、誰かに作ってもらおう。


「エンジェライトの効果って、天使とコンタクトを取れるって、本当ですかねぇ?」


「ブルーだけど、第7チャクラも有るから本当なんじゃない?」


「春陽さんは、天使が居るって信じてるんですかぁ?」


「え?由良ちゃんは居ないと思ってるの?」


「居ないと思ってましたぁ。麻友さんはぁ?」


「居ないと思うより、居るかも知れないと思った方が楽しいわね」


「そりゃ居たら良いですけどねぇ」


3人で天使の話しで盛り上がってるぞ。


「ねえお兄ちゃん、天使は居るわよね?」


こっちに振ったか。


春陽ちゃんは、小さい頃教会に行っていたから信じてるんだよな。


「大天使は15人居るんだけど、そのうちの名前に「エル」が付かない2人は、人間に転生していたという説が有るんだ。だとしたら霊体として存在するだろうね」


「霊体って、幽霊ですかぁ?」


「僕は時々見るから、霊体という物は存在すると思う。エネルギー体だからね。全てはエネルギーなんだよ」


「え?!見るんですかぁ?」


「時々ね」


「大天使は15人?」


「そう。その他にも天使はたくさん居るよ。僕はセラフぐらいしか知らないけど」


「確か、最高位の天使ですよね」


「うん、熾天使。大天使の中で四大天使と呼ばれているのは、ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル」


「熾天使が最高位でぇ、大天使が次ですかぁ?」


「9階級有って、大天使は下から2番目だよ」


「そうなんだぁ…本当に居たら良いなぁ」


まあ、宗教から生まれたものみたいだけどね。


居ないと思うより、居るかもと思った方が楽しいよね。


エンジェライトの「天からのメッセージ」と言う石の暗示は、天使とコンタクトを取るという事なんだろうけど、頭に輪っかを乗せて翼を持った天使と考えにくければ、守護霊とかスピリチュアルガイドの事だと考えれば良いんだよね。


そもそもそういう物が居る事さえ信じ難いけど、奇跡的に危険を回避出来たり、何かに守られていると感じる事が有るよね。


それは、守護霊や守護天使かも知れないね。


御先祖様だったり、亡くなったお爺ちゃんお婆ちゃんだったり、そういう人が守ってくれているのかも知れない。


まあ、エンジェライトと仲良くなると、そういう事に気づけるんだよね。


そして、感謝する。


それで良いんじゃないかと、僕は思う。


天使は居るかも知れないし、居ないかも知れない。


でも居てほしいと思うよね。


居たとしても、そして目の前に現れたとしても、物質的な物は残さないと思うよ。


僕は、キリストやマリア様を見た事が有るんだ。


2人とも人間だったから、今は霊体として存在している。


僕も半信半疑だったけど、霊体はエネルギー体だから、見えたとしても消えてしまうんだ。


だからね、天使も同じ。


人間に転生していた事が有るのは、大天使サンダルフォンと大天使メタトロン。


それが本当なら、霊体(エネルギー体)で存在する。


でも、姿を現したとしても、物質的な物は残さない。


それは存在しないから。


僕はそう思う。


まあ、他の天使達の事は良くわからないけどね。


【la mer】


「よう、遊ちゃん。ちょっと聞いてくれよ」


「うん?」


「最近麻友のヤツ冷たいんだよ。呼び出してもなんだかんだ言って出て来ないしさあ。やり直そうって言ったって、うんて言わないし」


「そうなんだ」


「最近妙に色っぽくなったと思わないか?他に男でも出来たのかな?」


「え?」


そうなのかな?


まあ、プライベートの事はわからないけど。


そう言われると、ちょっと気になるよな。


でも、仕事の帰りにデートに行くなら、何と無くわかりそうなもんだよね。


そんな様子は無いけど…


「俺本当に、復縁の石作ってもらおうかな?」


「……」


「何だよその顔は、協力したくなさそうだな」


そんな顔してたかな、僕…?


「羊里君は、まだ麻友さんの事が好きなの?」


「男は別れた女を引きずるもんなんだよ。遊ちゃんは違うか?」


「うーん…」


そんなもんなのかな?


素子ちゃんとの事、引きずってないと思うけど…


【天然石ショップLapis】


「麻友さん、もう上がる時間ですよ」


「もう少し、ここだけ終わらせてしまいます」


サマーセールが終わって、新しいディスプレイにしてるんだけど、終わらなくて上がれないみたいだ。


この後デートって感じじゃないよな。


「なあに?遊ちゃん」


「え?」


「視線を感じたから」


「熱い視線送ってたかな?」


「もう、何言ってるのよ。ちょっと、ここ持っててくださいますか?」


「はいはい」


「私も手伝います」


「春陽ちゃんは、もう上がって良いよ」


「手伝います」


「ありがとう、助かるわ」


「(今日はお兄ちゃんと一緒に帰るんだから)」


【駅前】


「お疲れ様でした」


「お疲れ様」


「お疲れ様です」


【明日美家前】


「じゃあ明日ね」


「あ、お兄ちゃん。お夕食は?」


「何か適当に食べる」


「作るまで待てる?」


「え?良いよ。もう帰って休めよ」


「大丈夫、疲れてないもの」


【天空路家】


結局うちに来てご飯作ってるぞ。


「ニャー(美味しそうな匂い)」


「これは食べられないのよ。Lapisはお兄ちゃんに貰ってね」


「Lapisおいで。オヤツあげようね」


今日はどれが良いかな?


昨日チーズ味だったから、今日はかつお味にするかな?


「はい、どーじょ」


あれ?いらないのか?


手で食べさせてみるかな。


ああ、食べた食べた。


甘えてるだけか?


残りはチビちゃんにあげよう。


【リビング】


「チビちゃん、おいで」


「ミュー(ご飯ちょうだい)」


最近逃げなくなったよな。


でも、捕まらないんだよな。


「お兄ちゃん、ご飯出来たわよ」


「うん」


「あら、少し大きくなったみたい」


「そうだよな。毎日見てるとあんまり感じないけど、やっぱり大きくなってるよな…早く里親探してやらないと」


「Lapisとも仲良しさんだから、お兄ちゃんが飼うわけいかないの?」


「窓越しだと大丈夫なんだけどね、家の中に入れたらどうだろう?」


【キッチン】


「うわー、美味しそうだな」


最近暑いから、そうめんばっかり食べてたからな。


〈料理をテーブルに運ぶ〉


「良い子ねー。仲良くするのよ」


えっ?!


「この子、お風呂に入れて来るわね」


って、チビちゃん。


「良く捕まったね」


「私、時々ご飯あげてたから」


Lapisが興味津々で春陽ちゃんにくっついてる。


「お兄ちゃんは食べてて」


そうは言われても、気になるからついて行こう。


【洗面所】


「ミュー、ミュー(え?何?何するの?)」


「良い子ね。綺麗綺麗しましょうね」


ノミ取りシャンプーで洗ったけど、くしも使って取らないとね。


Lapisに移っら大変だ。


って!


「この子どうするの?」


「Lapis。お姉ちゃんになれるわよね?」


興味津々で見てるけど…


【和室】


春陽ちゃんに抱かれてるチビちゃんを、Lapisが覗き込んでる。


「お姉ちゃまと仲良くするのよ」


〈春陽は子猫を畳の上に下ろす〉


「(え?何よ)」


あ、逃げた。


「Lapis。遊んでやらないのか?」


「怖いのかしら?」


しばらくすると、チビちゃん、春陽ちゃんの膝の上で寝ちゃったぞ。


「(何よ、春陽ちゃんに甘えて)」


あ、来た来た。


「(私も抱っこして)」


〈春陽に抱っこするLapis〉


「(寝ちゃったのかしら?可愛い可愛いしてあげるわ)」


あ、Lapisがチビちゃんを舐めてる。


「チビちゃん、お風呂で疲れちゃったんだね」


「名前、チビちゃんのままなの?」


「春陽ちゃん考えてよ」


「Lapisの弟だから、ルチルは?」


「ゴールドルチルみたいな毛色だもんな」


って!


うちの子になるって、決定?


まあ、Lapisが可愛がってるし、良いか。


だったらもっと早く家に入れてやれば良かったな。


外で怖かっただろう?


こうやって見てると、天使はこの子達だな。


「お兄ちゃん」


「うん?」


「もう絶対、猫好きの人じゃないとお嫁さんに出来ないわね」


「勿論それは大事だね」


「あなた達と仲良しさん出来ない人は、ママになれないわよね?Lapis」


「ニャー(私春陽ちゃん好き)」


「誰も来てくれなかったら、私がママになってあげるわ」


「ニャー」


「ウフフ」


「はいはい、その時はお願いしますよ。なあLapis」


「Lapis聞いた?」


「ニャー(チビちゃんが起きちゃうわ)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る