第32話 恋は盲目で丸描いてズドン!

「…………」

「…………」


 センターが肩を落として俺のところに戻ってきていた。隣に座っているのに無言で肩を落としている。帰って来てから一言も発してない。沈黙が辛い。


 唯一あるのは、


「はぁ~~」

「…………」


 湿ったようなため息をずっと繰り返すことだけ。


 めっちゃ暗いし陰険ですよ、この人。いつまで引きずってるの?


 休めてラッキーぐらいに思えよ。


 ため息つくときも塩顔だけにしょっぺぇ面してやがるよ。


 そのしょっぱさにこっちが顔を顰めるよッ!


「田中選手、凍ったリングをものともしない!!」


 相手の中くらいコサック相手に闘技場では豚が飛び跳ね戦っていたが、


 それどころではない。まぁ元より豚の試合など微塵の興味もないが。


「はぁぁ~~」

「…………」


 また、ため息ですか……。


 なんともわかりやすい落ち込みようだが聞いてるこっちも滅入ってくる。自然と表情を保っている瞼がピクピクしてくる。人のため息を聞いてる方がなんか寿命が縮まりそうな気がする。


 さすがの俺も横でため息連発されると辛い。

 

 なぜ、センターがこんなに落ち込んでいるのか?


 答えはわかっている。だからちょっとだけ気を使って慰めてやる。


「あの豚……ヒドイことしやがってな」


 闘技場の豚野郎のせいである。アイツは早く冷凍されて出荷されるべきだ。豚と一緒にネギ塩用に塩も配送したいが、ちょっと可哀そうだし、これは現在腐りに腐ってるから止めておこう。


 消費者の体が心配だ。


「まぁ一人につき一人だし気にすんな。センター♪」


 俺は肩を軽く叩いて塩味が戻るように励ます。


「……センター?」


 なぜに疑問形? お前の名前だよ。


「まぁいいよ。どうせ、」


 どこも良くない感じに聞こえる。言い方が落ち込んで不貞腐れてますよね。


「このダメージで出てもきっとすぐに負けていただろうし……」


 俺が優しくしてやってるのに、この塩対応っぷり。


 めっちゃウジウジしてるし……うわー、超がつくほど根に持ってるじゃん!


 まじでしょっぺぇ野郎だな、オイ!?


「けど、せめて敵の体力を削ってあげたかったな……はぁ……」


 なんか暗いし……テンションが激落ちしている。もうヤダよ。


 会話が暗い、雰囲気が暗い!


 あー、カビが生えそうなくらいジメジメしてやがる、


 コイツ。もう塩じゃなくて胞子ほうしとか名付けた方がいいかもしれんッ!!


 周りに菌をまき散らす陰湿胞子野郎いんしつほうしやろうだな、テメェはッ!


 と罵倒してやりたいが、


 いささか俺も豚の背中を叩いてしまったが故に気後れもある。あの短い手足があんなに踏ん張りがきかないとか詐欺だぜ、まったく。あんな太くて地面に突き刺さったような感じのクセして軟弱とかマジで事故だ。


 俺だって狙ってやったわけじゃない。


 だからこそ、ちょっと諦めずに慰めてやる。


「いやいや……いいじゃん。一人倒したんだから欲ばんなよ」


 俺は軽く肩を叩いてやった。元はそういう意味で俺は背中を叩いたのだ。


 センターは一人倒して役目は果たしたのだ。


 やることはやったのだよ、君は。


 だから次は豚が一人倒す番だと労った結果なのであって、


 こんなに落ち込むのは想定外だ……。


 もうすでにボロボロのクセして二人倒そうとか、


 むしろ欲張りハッピーセットだよ!


「ここで、オレがお前をタオゥスウウウウウウウウウウウ!!」


 よそ見している俺の耳に、


「あの豚野郎――ッ!」


 豚のいつになく気合いが入った声が届く。


 殺意を込めてヤツを睨みつける。お前のせいで俺がいまこの胞子やろうを慰めて大変なのに。それとなんだ?でふとかいうやつはどこに行ったんだ? 


 お前のキャラは迷子かぁああああ!!


 俺の殺意にも気づかない豚の遠吠えは止まらない。


「俺の槍のさびにしてくれるぅううううう!!」


 ――イヤイヤ、エライ気合い入って殺人発言はいかがなものかとッ!



 豚と胞子のメンバーに俺はツッコミが追いつかない!


 目に映る闘技場の上は相変わらず凍っている。それなのに、豚は飛び跳ねて滑りを抑えていた、自重で。このリングでは重い方が得なのかもしれない。ズシンズシンと鳴らしてまるで滑る様子がない。地に足がしっかりついてやがる。


 林修もさぞやビックリだろう。


 あの弱い足腰でどうして今できる!?


 今じゃないでしょッ! さっきだろうッ!


 その踏ん張りをもっと早くみせろやぁあああ!


「ジャンプ!!」

「なっ!」

 

 相手選手が天井を見上げる。上の照明に着きそうなくらいに飛び上がっている。そして飛ぶものは必然とそうなるわな。闘技場で高く飛びあがった豚が空から重力と自重を利用して、落ちてくる。


 なかなかの加速。おまけに槍の矛先を下にして全体重をのけってやがる。


「とどめだぁ!」


 加速がついて重そうだ……。


「ぎゃぁああああああ!!」


 そうして、豚が相手の上に臼の様に乗っかり踏み潰して試合が終わった。


「俺の勝ちだぁあああああああああああ!!」


 豚の咆哮が鳴り響いた。両手を握りしめて後ろにのけ反り、


 スポットライトいっぱいに浴びて気持ちよさそうにしている。


「さすがです、田中様ぁあああああ」「田中さんマジかっこいい!」「ドラゴンナイト様ぁああああああ」「素敵ィいいいいいいいいいい」


 ――すてき? ポークステーキが食べたいのかしら?


 取り巻きの黄色声援が飛ぶ。


 その姿に若干イラつきを覚える。


 ――なぜ人気者なんだろう……豚が。


 ――俺じゃなくて、アイツが、なぜあんなにも人気なのだろう。


 ――なぜアイツの周りには女子がたくさんいるのだろう。


 ――俺なんて……横が男で胞子がカビ臭いしくれぇし、しょっぺぇーし。


 ――この待遇の差はなに?


 俺は豚野郎を手招きで呼んだ。これ以上コイツが調子に乗るのを阻止するのと、


「お~い、豚。次は俺がやるからいいぞ」


 声援を聞きたくないから。あと一刻も早く脱出したいというのが一番の理由。


 呼ばれた豚が訝しげにヒョコヒョコ歩いてくる。


「けど、まだ戦えるでふよ?」


 ――あれ? でふが戻ってる……。


「一人につき一人だ」

「ふむふむ」


 豚は考え込み、何度か頷いてリング中央に戻っていく。


 なんかニコニコしてる。不安になる。


 大丈夫かな……豚に人語は難しかったかな。


 豚語でしゃべるべきだったか……。


 おまけに中央に戻っていってるのがとんでもなく心配だ。


 あいつも欲張りハッピーセット狙いなのだろうか?

 

 だが意外と豚は人語も理解していた。次の対戦相手になる大きいのが出てきたが、豚が何やら楽しそうにおしゃべりし試合が開始されると同時に豚がギブアップを宣言する。


 ギブアップが受け入れられ、


 豚が俺のところに笑顔でとことこ歩いてきた。


「あとは任せるでふ。涼宮!!」


 俺は無言で無視し、横を通り抜け闘技場に上がった瞬間だった。


 豚が普通に歩いてるもんだから気を抜いてしまっていた。


 ――とんでもなく滑るじゃねえか、この氷!?


 足を滑らせ――


「おわっと!?……ととっ!」


 俺は歌舞伎役者のように横にケンケンして耐えたが、


「ととっと!」

 

 つるっと滑り、




「アウチ!!」




 後頭部を強打。恥ずかしい……。


 相手のデカいのと観客がそんな俺の無様な姿を見て、


「ガハハハッ!」「ぷはは、だっせぇえええええ!!」「大丈夫か、マカダミア!」「おいおい、やる前から負けそうじゃねぇか!」「やっぱりさっきのはまぐれだろう!」「よっ、ラッキーマン! いや、アンラッキーくんか?」「おいおい、足腰が疲れて限界なんじゃないのかー」


 笑い出した。誠に相も変らぬご愛好ありがとうございます。リングに倒れている俺の頭の血管が感情に呼応してピクピク動くのを感じる。


 スゲェムカツク連中だ。人間だれしも失敗がある。


 その失敗する姿を嗤うとは浅ましいにもほどがある……っ。


「ガハハハッ! よもやギブアップではあるまい!」


 未だに大爆笑している目の前のコサック野郎。俺は決意を固める。


 ――あぁ……


 ――やっちまったよ、お前は……


 俺はゆっくり立ち上がり、


 ――死亡フラグ確定だ、これはッ!


 滑るリングをおでこの血管を動かしながら慎重に歩いて、


「このリングでは上手く身動きはとれまい。先ほどの二人は余興だ!」


 相手の元へと辿り着いた。二人が余興とはふざけたことを言いやがる。


 どう見ても主役は温水だ。洋一だよ、洋一。


「このリングを作り上げるためのなっ!」


 ――このリングを作ったの洋一だよなッ!!


「柱がちょいと邪魔だがな……ガハハッ! 俺が本命だ!!」


 どいつもこいつも戦う前から楽しそうだ。


 力強く、自分の力を誇示する発言をした大コサック。


 俺はソレを相も変わらず冷たい視線で見る。


 ――ただ、さっきお前は俺を笑ったよな……


 俺は冷たく微笑み返す。


「お前の言う通りだ。余興は……終わりだ」


 ――容赦ようしゃはしねぇぞ。


 お前は一回痛い想いした方がいい。俺がイタイ目見してやるから。


「ガハハっ、威勢が良くていいなー!」

「お前もな……」

「面白いぞ、お前。すぐに捻りつぶしてやるからな!」

「ご期待に応えない様に頑張るよ、」


 俺を最初に傷つけたのはお前だからな――


「どうぞよろしゅうッ!」


 俺は右拳を固めて相手に向ける。


 構えを取ると同時に試合開始のアナウンスがすぐさま流れた。


「大将戦始めぇええええええええええええええ!!」


 大きい巨体が滑って俺の元に流れてくる。

 

 確かにさっきの二人よりはスピードが速い。巨体のせいでなおのこと、早く見える。俺は移動しづらいならしないがな。


「これで終わりだぁあああああああああああ!!」


 両手を広げて滑走してきている。コサック大は両腕を広げて抱き着こうとしているようだ。その証拠に体全体で俺を覆い隠すように滑走してきている。


「おおっと、とどろき選手いきなりの速攻だぁあ! 涼宮選手は凍ったリングで動けないのかぁあ、反応が出来ていない!!」


 動けないのではなく俺は待ち構えているのだ。動けないこともないだろうが滑ってしまうのはもう御免だ。だから、俺の射程圏内に相手が近づいてくるのをじっと待つ。


 ただ、時を待つ――。


 冷たい殺意の目で相手を見据えながら準備を整える。


 そして、小さく呟く。


「ま~る~」


 白い吐息を吐き――


 右腕を回して、後ろに少し引いて溜める。



「描いてッ――」



「クマ高校名物——」



 技名がお互いに重なった。要は必殺技と必殺技の撃ち合いということだ。


 俺を力強く抱きしめようと大きな巨体の手が近づいてくる。狙いはサバ折りだろう。だが完全に失策だ。丸見えすぎる。俺の動体視力を持ってすれば相手の動きなど特に早くも感じない。


 ――薄ノロな攻撃にしか見えんッ。


 もう、ど真ん中をぶち抜いてくださいと言ってるようなものだ。


「ベアバックゥウウウウウ!!」


 ――どうぞ殴って下さいと万歳してくるアホにしか見えんッ!


 同時に俺は死亡遊戯を発動して――怒り込めて発射する。


 ――お返しだッ!




「ズ――ドォオンンンンンンンンンンンンンンン!!」



 ――ボディがガラ空きだぜッ!!


「ガボッ!!」


 丸を描いた中心に思いっきり拳を放った。拳に確実な感触が伝わってくる。ヤツの巨体のど真ん中、土手腹に拳を叩きつけてぶち込む。。反動を利用するように素早く元の位置に引き戻す。


「おおっと、突然何が起きたのか!!」


 エビの姿勢を保ったまま巨体が空を飛んでいく。


「これは涼宮選手の叫んだ殺気に反応した回避運動かッ!」


 もうすでに白目で気絶しているやつになす術はない。


とどろき選手軽快なバックジャンプ……後ろに柱があるぞぉお、危ないぃいい!」


 体が宙に動きセンターが作った氷の柱にぶつかり体が色んな方向に捻じれて飛んでいく。


「これはジャンプの量を見誤ったのか! 大きな体を氷の柱に激突していく!!」


 何本もドミノ倒しのようにぶち折り闘技場の端まで空中浮遊していった。


 幾つもの氷柱を叩き折り、壁に叩きつけられヤツはその場に力なくひれ伏す。


 俺は冷たい双眸でヤツの最後を見届ける。


「どうしたことか……轟選手動かないぞ……」


 アナウンサーのさっき言った通りだ。これが俺の殺意に反応した結果だ。


「自分のスピードで……自爆か……」


 違う。自爆などではない。被爆だ。


 これは死亡遊戯のひとつ『丸描いて、ズドンッ!!』である。


 アナウンスが間をあけて流れた。


「……勝者……マカダミア……キャッツ高校……」


 ――俺の時だけなんかいつも声に張りがなくない? まぁ、いっか。


 俺は滑って転ばないように恐る恐る細心の注意を払って入場口に戻っていく。




◆ ◆ ◆ ◆




「おい、今何が起きたんだ……?」「いや、何かスゴイ音ともに巨体がぶっ飛んだぞ……」「回避って普通あーわ、ならねぇだろう」「さっきといい、もしかしてマカダミアって……今年強いのか?」「あのマカダミアだぞ……」「何系の能力なんだ……アイツ」


 俺がいる観客席では少しずつ強の異常さがわかってきようだ。マカダミアキャッツの去年全敗のことや初戦のふざけたギブアップ。ところどころ、おかしなことを犯すマカダミアキャッツのつかめなさ。


 それがより大きなインパクトを与えている。


「強ちゃんが、強ちゃんがぁああああああああ!!」


 そして試合ごとに俺へのインパクトも増大しつつある。


 ――鈴木さん……そろそろ俺の首を解放して頂けないでしょうか?


 ――まじで苦しい。視界が霞んでいくゥ……。


 助けを求めるように俺は心で問う。


 ――アナウンスがもう流れましたよね……ぐるじぃ……


 ――何か見えてはいけない光が見えてきた……


 視界に白い威光が見え始める。何か初めて見るような景色。

 

 ――視界が白い光に包まれていくぅ……死にたくねぇ……。


「玉藻おねいちゃん……試合終わってるよ」

「えっ?」

「ガハッ!! コヒュー、コヒュー」


 ――まじ感謝!!


 願いが天に届いたのか天使が俺を助けてくれた。


 ――魂が持ってかれるところだったッ!


 俺はむせ込み急いで空気を流し込む。


 ――毎試合やられたら死ぬぞ、これ!!


「ちょっと、強ちゃんを回復してくる!!」

「…………な」


 鈴木さんが勢いよく立ち上がり移動を開始した。急いで走っていく――その姿に俺は疑問抱く。強よりどうみても俺のダメージの方がでかいんですが……毎試合。


 どうして、そうなの? どういうことなの?


 人の首をこれでもかと絞めた感触とかないの?


「櫻井先輩すみません。おねいちゃんは兄のことになると盲目になるんです」

「恋に盲目であれば人を殺しても罪にはならないのだろうか?」


 彼女に言ってもしょうがないと分かりつつも死にかけた怒りは収まらない。


「本当にご迷惑かけてスミマセン……」


 申し訳なさそうに関係ない子が俺に謝ってきたのに、


 やるせなさからその子に続けて俺は疑問をぶつけてしまった。

 

 悪いことをしたと思いつつも死の淵をみた俺の怒りは残っている。


「なんで一緒にいてあの異常さに気付かないのかねー……」


 どうみても強がオカシイと気づくはずだ?


「どうみても強は化けもんだろう……」


 アイツの通った後には人が倒れてるんだぞ……。

 

「兄の力が強いのは昔からなんですが……おねいちゃんは兄を弱い存在として認識してるんです」


 どこをどう見たら強が弱く見えるんだよ。あの態度で弱かったら逆にビビるだろう。イキッてるとかのレベルじゃないぞ。どんだけ勘違いしてんだよ。


 それにマカダミアにいるんだぞ、アイツ。


 無能力で異世界未経験がいる時点でヤバイだろう……。


「守るべき人と……兄もそれを知ってか、」


 アイツを守るより、俺を殺さないでくれ……。


「玉藻ちゃんの前では極力力を使わないんで、なんというか負のスパイラルに陥ってるんです」


 何か困ったように指をツンツンしている後輩に言われて気づく。そういう節がなかったわけでもないのか。言われてみれば、いつも強は……。


「確かに言われてみれば、そうかも……ん?」


 ――勘違いスパイラルっていうのはわかるが、暴力使ってないか?


 まぁ鈴木さんが帰って来てから、暴力を使う回数が格段に減ってるといえばそうなのだ……けど、夏ごろにプールで俺は思いっきりぶん殴られたのは覚えてる。


 まぁ、あれは俺がちょっとやりすぎた感が自分でもあるからしょうがないけど。


 このに手を出して……。


 俺は被害者である後輩を見ながら、ちょっとだけ考える。


 ――アイツ……鈴木さんに見えないようにわざと攻撃速度を上げてるのか?


 プールで殴られたときも確かに強烈だった。いつもだったらじっくりなぶってくる癖に一撃で終わらせるのは鈴木さんがいるから。そう考えれば、確かに学園対抗戦中も一撃で全部終わらせてるし、納得はいく。


 おまけにエセ紳士になる前は鈴木さんのいないところに連れ出されて、死の淵を彷徨った。強は鈴木さんの前で力を使いたくない……ってことか。


 なんとなく美咲ちゃんのいうことも腑に落ちた。


「そろそろ、気付いてもいいんですけどね……」


 後輩が考え込む俺を心配して言葉を付け加えてきた。


 まぁ今回は俺が被害者だから関係者として心苦しいのだろう。


 美咲ちゃんが気にすることでもないのだけれど……。


「まぁ、試合中に目を全力でつむって、あれだけ声の限り叫んでりゃ何もわからんよ。現実から目をそむけて、俺を殺しにかかってるのに全身全霊をかけてるから」

「……色々すいません」


 ただでさえ、小さいのにさらに小っちゃくなる後輩。


「別に美咲ちゃんが気にすることないよ」


 そんな姿を見て、俺は頭を優しく撫でる。


「……櫻井せんぱい」


 俺のナデナデに身を任せる彼女の表情が和らぐ横で、


 また赤髪がにやけづらで俺達を見ていたが、無視。



≪つづく≫

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