第2話 お世話になったんだから

 もう大分昔のことでその後の日程もどうだったか?定かではない。

確か13日が通夜で14日が葬式だったか?それを聞いてもどうしようもない。

なぜなら12日の朝には売り上げのほとんどを使い支払いを済ませた。

確か42万円ほど。

支払いをした後で売り上げ数万円、二万あるかないかだ。

自分のお金も少ない。

遠すぎる、行けるわけがない。

と言うことで行く気はなかった。

翌日、13日早朝。時間で言うと7時。

観光宿泊の朝はめっちゃ早い。

外面の体裁をとる為に店は開けなくてはならない。

どんなに売れなくともだ。これは一種のパワハラだ。

インバウンドで夜買わなければまず買わないのがわかっていてもだ。

社長の奥さんからまた電話が来た。

社長の交友関係がわからない。だから入れておいてくれるか?という話だった。

私が知る限りの知人や取引先には全部電話を入れた。

いつもお世話になってるおじさんは「そうか・・・。逝ったか・・・。もうそろそろ危ないって思ってたんだよ。電話しても何話してるかわからない時が多いから、電話も最近してなかった。そうか逝ったか・・・」

ってなこと言ってたかな。

おじさんや取引先の中には電報を入れるって言う人もいた。


 午前10時朝の仕事終了。

約4時間の休憩。そして、午後のお仕事。

出勤して普通にお仕事。

午後五時ぐらいにお金を受け取りに行って、何時ものように分配。

キーホルダー屋さんに「お葬式に行かないのかい?」って言われたがお金がないから行かない、代りに親に行ってもらうからと言ったら、「お世話になったんだから、行った方がいいよ」と諭された。

急遽、行くことに決まり店を人任せで大枚をはたいて行くことになった。

汽車を使って雪深い街へ。

喪服なんて持ってなかった。

夜7時過ぎか?真っ暗な中、着いた駅で親と合流。喪服を買う為にも宝くじを換金、直ぐに紳士服の店に行ってダブルの喪服を購入し、急いで裾上げ、式場へ急いだ。

お通夜は既に終わっており、挨拶をしてご焼香をあげるだけして泊る処を探す気でいたが、お前は特別だからと言う感じで式場に泊まれるようになった。

ついでに両親も。

それも、そう言う宿泊施設でもあるのかと思ったら柩のある大部屋で布団敷いて寝ることに。

これにはびっくりした。

そんなことした覚えがなかったからだ。

えええええええええええーーーーーーー

っと思いつつも断れず、そのまま居ることになった。

柩を開けてもらい中を見ると、そこには自分の知らない人が居た。

正確には、十年来の付き合いのある自分がわからないほど変わり果てた姿の社長がいた。痩せこけほぼ健康な時の面影はない。

百キロはなかったものの、あの恰幅の良い体は想像もつかないほど痩せていた。

ただ、目元だけは変わらない。

いや、それどころかより強い印象を感じた。

私は心の中でなぜかそう思った。

思い浮かんだ言葉がある。


「鷹の雛が死んだ」

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