第4章 そして就職へ
第21話 意識と認識のすれ違い
障害者制度をフル活用しながらも、俺の就職活動は続いていた。この就職活動における目標は、「障害者採用枠」でなおかつ「正社員」として入ることだ。理由として、前の会社はほぼADHDとアスペルガーの特性でクビになったと言っても過言ではない。故に今回はそのような事例にならないために障害者採用枠で入る必要があったのだ。また、今は民間の職業紹介事業所を利用しており、その利用料金は前の会社持ちとなっている。こんな環境は2度と無いかもしれないので、パートや準社員では無く、正社員で入る必要があった。
が、蓋を開けてみれば、精神の障害者採用枠なんてものは殆ど無い。あったとしても身体だ。これはもう神様が平成30年の「精神障害者雇用義務化」が施行されるまで働くなと言っているのではないかと疑うレベルだった。
それでも、精神障害者を募集している企業は少しならあった。俺はそういう企業を会社の大きさは問わず、片っ端から受けてみた。そして全部書類で落ちた。今から落ちた理由をランキング形式で発表しようと思う。
1位:即戦力が欲しい為
以上だ。
別に俺が1社だけしか受けたとかいう訳では無い。少なくとも30社はもう受けているだろう。なのに大・中・小、全ての企業がこのような回答をよこすのである。
ニュースで中小企業は人員不足できつい。という内容をもしかしたら読者は聞いたことがあるかもしれない。しかし現実はこれだ。あいつらは詐欺師だ。人員不足でも頑張って行けてる俺達スゲーと酔っているのだ。
むしろ、採用に関しては大企業の方が手応えはあった。理由としては、中小企業の断りパターンはその1つだったが、大企業でのお断りパターンはその後に条件がついていた場合があった。
1つ目は、違う部署なら紹介してあげるとの事だった。専門的な部署は難しいけど、データ入力みたいな違う部署で良ければ、次の採用ステップに進めるとの事だった。俺は専門的なキャリアが積みたかったので、当然その話は断らせて頂いた。
2つ目は、準社員ならOKとの事だった。正社員では無く、準社員。理由は恐らく精神障害者に対する不安だろう。精神障害者といって連想するものは急に暴れだすとか、鬱になって急に会社を休むとかでは無いだろうか。そういうのを見極めるといった意味での準社員ならOKといった判断を出したのだろうと考えた。確かにそういう対応になる理由は分かる。人事の人だって自分の評価が関わっているのだから。しかし職業紹介事業所を利用している俺にとって、無料利用権を失う代わりに準社員という交換は損の方が上回っていると感じたため、こちらからお断りさせて頂いた。
上記の対応を比較したら、明らかに大企業の方が採用に熱意があると感じるのは当然である。人員不足な癖に、即戦力ばかりを求める中小企業は滅ぶのは宿命ではないのかとさえ思ってしまう。
そんな意味があるのかないのかよくわからない就職活動を繰り返していた時、障害者限定の就職説明会がある事を民間職業紹介事業者の担当の人から聞いた俺はそれに参加する事にした。理由は前勤めていた親会社があったからである。そう、約半年前の11話で触れた、親会社が精神障害者を採用しない理由。それだけを聞くために、俺はこの説明会に参加する事を決めたのである。
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