第20話 障害者手帳をフル活用したい

「できねぇなぁ……」

障害者手帳をフル活用しようと思っていただけに、障害者手帳の特典を確認した時の俺の一言である。

 1級などの重度な障害者ならば、NHKの料金が半額になったりする有用なものも多いのだが、3級だと、意味のある特典は殆ど無い。ではその殆どを今から羅列していこう。


 ・美術館無料。

 ・資料館無料。

 ・体育館無料。

 ・プール無料。

 ・城見学無料。

 ・動物園無料。

 ・スポーツセンター無料。

 ・携帯電話料金割引。


 ざっとこんな物である。まず、その場所に行くまで時間がかかるし、お金もかかる。そう考えると行くに行けないのが現状だ。

 また、携帯電話料金割引は有用じゃねーかボケナス。と思う読者がいるかもしれないので、ここで弁明しておこう。携帯電話料金の割引は確かに有用ではあるのだが、俺個人には全く効果がないのだ。理由は俺が格安SIMを使っているからである。

 そう、携帯電話料金割引を行っているのはドコモとauとソフトバンクとウィルコムのみ(2016年6月現在:Wikipedia参照)。格安SIM利用者にとって有用な事は1つもないのである。

 だったら割引を行っているキャリアに戻れば……。という意見もあるかもしれない。確かに俺は今、ドコモの携帯電話番号保管サービス※1 というものを利用しており、受付への手続き1つで戻る事が出来る。しかしながら、戻った所で、お得にはならないというのが現状なのだ。

 私が払っている携帯電話料金は月に約1500円。もしもドコモに戻って、障害者割引を行ったとしても、月に約5000円取られるのだ。通信が安定しているというメリットがあるとしても、前者の方が圧倒的にお得である。故に私は携帯電話料金割引は意味の無いものだと判断したのである。


 では、3級に有用な特典は無いのかと言われればそうではない。きちんと有用なものも存在する。

 例えば、前話でも触れた障害者控除もそうだし、市民税の割引も有用である。また、何と言っても、バスの半額が大きい。


 そう、18話にて、障害者手帳にICカードを挟んでいた。と俺は書いた。理由はこのバス半額を使うためである。

 しかるべき手続きをして、バス用のICカードを取得すると、利用料金が半額になるという特典が俺の住んでいる市にはある。デメリットは、降りる際に運転手に障害者手帳を見せなければならないといった点位しか無い。なので俺は2つの事を同時に行うために、障害者手帳にICカードを挟んでいたのである。



***



「ん? あれ……ポストに何か来てる……。えーっと……公共交通機関利用助成等のご案内……? 更新はまだ先だった気がするのだが……」

先日、ポストにこのような手紙が入っていた。何かヤバイことしたかな? という謎の罪悪感に悩まされながら、俺は封筒を開封した。

 中を開けて読んでみると、どうやらバスに関する障害者割引の額が変わるらしい。えーっと……全額無料!?

 そう、色々条件はあるものの、その条件さえ満たせばバスの料金が全額無料になるという旨の手紙がポストに入っていたのだ。

 この件でますます障害者は過ごしやすくなるだろう。だが、それでいいのか? と俺は思う。障害者を過ごしやすくする環境というのは確かに必要だと思う。だが、行き過ぎた配慮はいつしか障害者への甘えを産み、健常者との格差が生まれてしまうのでは無いだろうか。我々障害者はあくまでも「補助は貰えて当たり前」ではなく、「補助を頂けてありがたい」と感謝すべき立場だと思うのだ。一部の障害者のような「障害者なのだから、介護をしてもらえて当たり前」という考えでは無く、「障害者の俺を介護をしてくれてありがとう」といった謙虚な気持ちを忘れないようにすべきなのが障害者本来の姿なのではないかと考える。


※1 携帯電話番号保管サービス:その名の通り、携帯電話番号を安い月額料金で保管してくれるサービスである。正しい使い方としては、外国に出張に行くので、一時的に電話番号を保管してもらう。だと思うのだが俺の場合は、一括0円を用いて携帯電話購入→SIMフリー化→携帯電話番号保管サービスを使用。とする事により、違約金無し、なおかつほぼタダで新品の携帯電話を手に入れる事が出来たのである。このやり方の問題点は今現在、SIMフリー化が半年経たないと出来なくなったということである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る