[Day008][21]嫁の、好きなもの

<<おぎゃあああ>> :息子の、むーさん。生後2ヶ月半。

『オイラです!』   :父親の、むーさい。生後だいぶ経つ。

「嫁です!」     :母親の、みーさん。生後だいぶ経つ。

 〜こんな展開!   :前記父が、前記母に対して語っている、物語。

 その他は、通常の描写とか、父母の会話とか。

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『じゃあ、21話ねー』と、むーさいことオイラ。

「もうそんなに来たんだね!」と、嫁のみーさん。

『第21話、新たなる展開!』


「おーすごいー!」

『ちゃんと布石を売っておいたからね』


 〜電車で帰ったオイラ達。息子のむーさんを抱っこしているけど、大人2人でうつらうつら、むーさんも寝てる。

 〜寝ているときに携帯がブーブーなった。

 〜おかなんからのLINE「やった! 特別賞だ!」


 〜「祝勝会しないとね」と、嫁がおかなんにLINEを返す。

 〜『妹さんが、お寿司だめなんだよね?』


 〜そして2週間後。特設HPで、イベントの結果発表が。

 〜サイトを見ると、画面の下の方に

 〜<<重大発表!>>のバナーが。


 〜『なんだろうね?』とバナーをクリック。

 〜すると、サイトが 切り替わり、動画が表示された。


 〜各地方での予選、そして幕張での本戦。大会参加の各ファミリーが踊ったダンスが、細切れにつながったPR動画だった。

 〜「あ、この中にうちらがいるかも」

 〜『いた! パーフェクトむーさんがいたwww』


 〜動画の終了後、画面は真っ暗になり、派手な白い太字の文字がせり上がってきた。


 〜<<KZK48プロジェクト始動!>>


「かぞく48か!」と、みーさん。

みーさんはAKB48大好きだから、それを話に取り込んでみたんだ。


『ファミリーのFMY48でもよかったんだけどね』


 〜なんと! 幕張で行われた大会参加者ファミリーから、選抜で、新しいチームを作る企画!

 〜『たしかに、大人AKBが現実にいたからね。そのノリだと思うけど』


「あははは!」


 〜総合プロデューサー、夏本氏! どーん! ガチのアイドル枠じゃないですか!

 〜イロモノ枠の匂いもするけど(笑)

 〜もしかして選ばれたらすごいよね!

 〜幕張のイベントでは特別賞もらってるし、なんとか爪痕を残したい、そう思うオイラ。


 〜『まあ、でも基準も、全員選ばれるのかどうかもわからないんだけどね』

 〜「むーさんは、なんとかなるんじゃない?」

 〜『どっちにしろ、むーさんが選ばれたら、オイラはついてくよ。保護者として(笑)』


 〜LINEでおかなんに情報提供。すぐに「大変だ!」と返事が帰ってきた。


 〜サイトの情報によると、オーディションの結果発表は2週間後、とのこと。


「おお!」


 〜そわそわするオイラ達、この2週間の選考期間を使って、うちらはどうしようね?

 〜真面目なオイラは『できる事をやっとこうよ! 今まで通り、練習しとこうよ』と提案した。

 〜「あたしはー、夜遅かったらやだwww」と、嫁のみーさん。


 〜『まあ、人によって、やりたい、やりたくないは色々だからねぇ』


 〜「あたしは、むーさんを動かす役だから、夜9時以降は動かせないよー」

 〜『さすがに、小さい子供を集めるんだから、夜までは拘束しないんじゃないかなぁ?』


 〜『じゃあ、練習しとこう!』

 〜そう決まって、近くの公園にやってきた。思えば、僕らはここからスタートした。

 

「幕の話だwww」


そう。嫁に対しては鉄板ネタと化したらしい、公園のオープン空間に暗幕を張ろうとした話。

「頑張る方向を間違っちゃったんだよねwww」


 〜そこから、ここまでの展開が走馬灯のようにモノローグになった。


 〜人工知能に曲を作ってもらったり、

 〜Siriにむーさんの泣き声を入力したら、「認識できません」って曲ができたり、

 〜拉致られたりwww 



 〜『色んな事があったけど、、またここから始まるんだ!』

 〜そう言って、公園で踊るオイラ達。


 〜そんな僕らを、遠くから見ていた少年がいた。彼は、とことこと近寄ってきて、

 〜「あんたら、そんなんで、KZK48に入れると思ってるのか!」と怒りだした。


 〜なんだ? よく見ると、大泉学園の”ヤナーズ”ファミリーの男の子だ。

 〜どうしたの? と声をかけると「いて、悪いかよ」とつっけんどんな反応。


 〜いや、別に法律上は住居侵入罪とかってわけでもないけど……


「――ヒゲ伸びてる?」と、嫁のみーさん。

『伸びてないよ! リアルでは伸びてるけど、作中では、伸びてないよ(笑)』


 〜「おまえらムーズが、幕張で特別賞をじゅssにょ(噛んだ)したのは、まぐれに決まってる! 明らかに、うちらのほうがダンスがうまかった!」

 〜少年はそう言って、うちらのダンスに対して、駄目出しをはじめた


 〜「まず、妹さん! 舞台の後ろに下がりすぎ!」

 〜「おかなん! 猫気にしすぎ! 」


「あはは! ダンス中にってこと?」

『そうそう。ダンス中に、おかなんは、なんとなくソワソワしてた』


 〜「むーさんは、かわいいから良い!」

 〜「みーさん! もっとむーさんをキビキビとあやつる!」


「あははは」

 〜「そして、むーさい! 舞台上でヒゲ伸ばしたり縮めたりしすぎ!」


「ああはははは! 難しく考えてたんだ!」

『そう。ダンスしながら、難しい事を考えてたんだ』



 〜少年の指摘は突然で、毒舌だけと、適切だった。

 〜腹を割って話を聞いてみる。

 〜するとどうやら、拉致事件とかも途中にあって――この子がやったわけじゃないけど――もっとオイラ達に上に行ってほしい、と思っているみたいだ。

 〜「俺らを負かしたムーズなんだから!」そういって涙を滲ませていた。


 〜オイラは『うちでご飯食べてくかい?』と、この子を食事に誘ったけれど、少年は

 〜「遠慮しとく。おうちでラザニアが待っているから」とのことだ。

 〜かなり洋風の食べ物が夕食として待っているらしい。


 〜そんな少年との交流もあり、少年も、おかなん達も、オイラ達も、それぞれの家に帰ったとさ! めでたしめでたし!



『とりあえず今回はここまでね。あしたに続くー』

「予告!! 予告!! はやく! はやく!」

『あいよー』



 〜ついに発表された、KZK48の一次選抜メンバー。 ムーズのメンバーは、はたして選ばれることが出来るのか?

 〜そして始まる、鬼のようなKZKの特訓!


「あはは! 誰か絶対に入ってるでしょ!」

『ネタバレになってるよね(笑)』


『ってか、入ってなかったら、その時点で、このお話が終わっちゃうし(笑)』

「そうだよね」


『次回! アイドルへの道険し お楽しみに!』



嫁が、このお話のタイトルについて語りだした。

「タイトルが<むーさんと むーさい>なんだから、その2人は選抜されないと!」

『いや、保護者として、ついて行ってもいいじゃない?』


<続く>

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