[Day007][17]幕が、上がる

<<おぎゃあああ>> :息子の、むーさん。生後2ヶ月半。

『オイラです!』   :父親の、むーさい。生後だいぶ経つ。

「嫁です!」     :母親の、みーさん。生後だいぶ経つ。

 〜こんな展開!   :前記父が、前記母に対して語っている、物語。

 その他は、通常の描写とか、父母の会話とか。

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『次、17話ね』と、むーさいこと、オイラ。

「あいよー」と、嫁のみーさん。


 〜みんなに合流する。メンバー3人は寄ってきた。

 〜当然ながら「携帯を携帯して!」と怒られた。

 〜ごめんごめんと謝る。拉致られたとは言えない。憤慨するに決まっているから。

 〜でも間に合ってよかった。


「こちょこちょこちょ」

『うええちょっと!』

嫁にくすぐられた。はずみで話の流れを忘れるオイラ。

『ちょっと、話分かんなくなるでしょー!』


 〜「ムーブさん、出番です!」

 〜そう呼びに来た運営のハッピを来た人。こちらは舞台用衣装への着替えが終わったばかり。

 〜気持ちを落ち着かせる余裕もなく、舞台袖に移動するうちら。



 〜むーさんのおむつの銘柄が、いつものMoonyじゃなくてメリーズになっている事は、外見からはわからない。

 〜家族のみんなは、まだ気づいていないけど、むーさんは、いつもと少し、仕草が違う。


「つけ心地がちがうから?」

『つけ心地がちがうから』


 〜舞台袖に到着。

 〜「緊張するね」

 〜「大丈夫!」

 〜「今、やれる事をやろう!」

 〜そう言って、お互いを励ますうちら。司会のMCが始まった。


 〜「続いては、西東京のファミリーアイドルユニット、ムーズ!」

 〜こんな大舞台に立つとは、本当にビックリだが、がんばろう。


 〜幕張メッセは、食パンが長く繋がったみたいな形をしていて。その海浜幕張駅から遠い方の「パンの耳」あたりが、発表会場だった。

 〜そこを、臨時の壁で隣と仕切って……


「ニンジンの壁?」

『臨時の壁だって(笑)急ごしらえのやつ(笑)』

オイラは滑舌が悪いから、よくこういうことが起こる。


 〜壁で仕切って、隣に音漏れしないように工夫している。

 〜思えば、最初に地元の公演でむーさんと二人で踊った時は、誰も見てくれなかった。


「力の入れ方、間違えたんだよね(笑)」

『そう(笑)公園の空間に、幕を張る事にこだわって、広告とかをおざなりにした(笑)』


 〜幕を作るために、日暮里の生地問屋に行こうとしたけど、結局アマゾンギフトカードで生地をネット購入し、

 〜「空間にどうやって幕を張るの?」ってので苦労をして、

 〜公園にポールを立てて、紐を張り渡して、そこに簡易のテントフライみたいな幕を……

 〜その結果、ダンスも歌もおざなりで、広告チラシも配らず、公園での最初のライブは誰も見てくれず、心配した嫁のみーさんしかいなかった。


 〜そんな、「始まりの場所」が、オイラの脳に去来した。

 〜そもそも、屋外に幕なんて作らなきゃ良かったんだ。


 〜でも、今回は幕張メッセの大舞台。屋内会場で、しかも運営がプロ。張られた暗幕もしっかりしている。


 〜そして、幕が上がる。


 〜この、大舞台で。


 〜オイラ達のライブが、スタートする! 



<続く>

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