[Day006][13]奇跡の、奇跡起き

【用例】

<<おぎゃあああ>> :息子の、むーさん。生後2ヶ月半。

『オイラです!』   :父親の、むーさい。生後だいぶ経つ。

「嫁です!」     :母親の、みーさん。生後だいぶ経つ。

 〜こんな展開!   :前記父が、前記母に対して語っている、物語。

 その他は、通常の描写とか、父母の会話とか。

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さて、今日は13話からだ。

テレビアニメのシリーズならば、折り返しにあたる。


『総集編にする?』と、むーさいことオイラ。

「えー、バランスおかしくならない?」と、嫁のみーさん。


嫁の本音としては、総集編よりも話の続きが聞きたいようだ。

なんせ、色々ピンチだからね。どう解決するか、時間かせぎを許さないんだろう(苦笑)


まずは、前回のあらすじから入る。


 〜西武池袋戦が始まっていて、僕らムーズ(ファミリーアイドルユニット名)が……


「言い方が違う(笑)」と嫁。

どうやら、つねに『アタシ』と、女性キャラになりきって話して来てた模様。



 〜大泉学園でであった、あの嫌なグループ。ランキング10位の。その1周めの踊りが、アタシ達の2周目の振り付けに似てる!

 〜まずい! インパクト出ない! どうしよう! アタシ達、こんなんで予選を勝ち抜けるの?


と、あらすじ終了。


「どうやって勝つんだろう(笑)」

嫁のみーさんは興味津々だ。


『時系列順に描写すべきだったよね』

オイラは結構、後悔していた。ライブ朗読でこのハードルはしんどいよ(泣)



 〜司会のアナウンスがあった。1周目が終了しました。1時間の休憩の後、第2周めに入ります! お昼休憩!


『午前中から始まってた、といいつつ、すでに13時なんだけどね』とオイラ。

「こまかいわ(笑)」と、嫁。


 〜1時間で対策を練らないと! 曲自体は、あの嫌なグループとは別だから、振付さえ変えれば!

 〜でも、1時間で変えられる? どうするの?


 〜(作中の)みーさんが、状況を確認した。

 〜「ねぇ、今の振付けの確認だけど、むーさいがやられ役で、みんなで攻撃して、ウィナー! ってなるんだよね」

 〜『そして、むーさんが前に出てきて……』


「えー! むーさん1人ででてこれんの(笑)」

『いやいや、みーさんが連れて、の話(笑)』


赤ん坊は一人では動けないから。


 〜「じゃあ、ダンス無し、ってのはどう?」

 〜『斬新! でも、ダンス点が入らないよ(笑)』


 〜そこに、嫁の妹さんがアイデアを出した。

 〜「こんな時はさあ、基本に戻ればいいんじゃないの?」


 〜僕らはビックリ!

 〜「え? 基本?」


 〜妹さん曰く、

 〜「ファミリーアイドルがやりたいんでしょ。じゃあ、ファミリー感を出せばいいじゃない」とのこと。

 〜「どうやって?」

 〜「……それはみんなで考えてよ」


丸投げされた。「作中の」妹さんに。って、実態はオイラだけど。

なので、解決策を、「リアルの」嫁に振ってみる。



 〜『みーさんはどう思う?』


「えっ? リアルに聞いてるの?」

『作中に入って来て、助けてよ(笑)』

「進行迷わないでよー(笑) 現実のむーさんは、お昼にダンスバトル始めたから、それでやれば」

『やってたよねー』


オイラが外で仕事している最中、息子のむーさんは、お家でダンスバトルをしていた、という話は、嫁からは聞いていた。

『むーさんのマイブームに乗るっての、あるね。オイラは見たことないんだけど(笑)』



 〜『パパ好みでいいんじゃね?』

 〜「みんなでパパ好みやるの?(笑)」

 〜『そう。みんなでむーさんをあやすの』


両手を顔の前まで上げて、クイッと横を向きながら、「パパー好み♪ パパー好み♪」ってやると、息子はほんとに泣き止む。

なんでそんなあやし方が生まれたのか、きっかけは覚えていない。


 〜『それでいくしかない! 勝てないだろうけど、時間的にも』

 〜『とにかく、パパ好みの振り付けはオイラも、みーさんも知ってるから、残りの2人はアドリブでそれで合わせて!』

 〜オイラがミスったら、みんなもミスするという状況。責任、プレッシャーを感じるオイラ。



 〜司会の人が話しだした。

 〜それでは、第2周目を始めます! 1周目の、点数が低い順番から! 


 〜アタシたちは、下から3番目! 1チーム持ち時間が5分で、10分後にはアタシ達の番だ。

 〜「やるしかない!」と気合いを入れているところで、ランキング10位のあの嫌なグループがプレッシャーをかけにきた。


 〜「ちゃんと踊れるのー?」

 〜「このまま帰っちゃえばー?」

 〜「勝てるとでも思ってるのー?」


 〜「やってみないとわからないだろ!」と返すオイラ。


 〜「まあ、楽しみにしてるわ(笑)」

 

 〜去っていく嫌なグループ。オイラはオイラの家族に言った。

 〜『あれが、アイドルだっていうんだから。アイドルという概念がどうかしていると』

 〜「ヒゲ伸びてるよ(笑)」  (難しい事を言うとヒゲが延びて、むさい感じになるという設定)

 〜「これから本番だから、簡単なこと考えて!」

 〜『わかったよ。メロンパン! メロンパン! メロンパン!』


漫画「美味しんぼ」のファミコンゲームの伝説の呪文「アンキモ! アンキモ! アンキモ!」に通ずるような事を言ってみた。

しかし、そのゲームの存在を嫁は知らないので、リアクション無し(笑)


 〜そんな適当なこと言ってる間に、話が進む。

 〜メロンパンに思いを馳せて、ヒゲを縮めたオイラ。



 〜そんな所に、また、さっきの嫌なグループがやってきた。

 〜「ほら、さっさと行きなさいよ!」

 〜押されて、よろけて倒れたオイラと、オイラが抱っこしていた赤ん坊のむーさん。


 〜<<んんあー! んんあー! んんあー!>>

 〜当然ながら泣き出す。オイラが守ったから、ダメージは無いけど

 〜「なんてことすんだ!」

 〜オイラは怒った。でもそこで、曲がスタート。慌ててステージに上がるオイラ達。



 〜オイラは、閃いた。

 〜『この状況を、利用してやる!』


 〜ステージに立った時点で、息子のむーさんは泣いている。

 〜全力で、あやせば良いんだ。


 〜ステージの上、中央には、ぎゃんぎゃんと泣くむーさん。ごめんよ、むーさん。

 〜むーさんを、嫁のみーさんが抱きかかえている。むーさんを客席の方に向けて。


 〜そんなむーさんに対して、オイラが全力で『ぱぱーごのみー! ぱぱーごのみー!』。

 〜両手をにゃんこみたいな手にして、肘を持ち上げて、左右にブンブンと振る。


 〜嫁の妹さんとお母さんも、全力であやす。


 〜たかいたかーい! たかいたかーい!

 〜シュシュシュシュ! シュシュシュ! パンチ! シュシュシュ!

 〜高い高い低い! 高い低い! 天保山!


『あ、天保山はお笑いの人のネタだね(笑)』

「あははは」


つい出ちゃった。

 〜とにかく必死にむーさんをなだめる。



「必死!」と、嫁。

『そう、必死。緊張してるし』


 〜そこで、予告にもあった「奇跡」が起こった!

 〜曲が終わった、その瞬間に、むーさんがピッタリ泣き止んだ!



 〜オオオオオオ! という観客のどよめき。

 〜「この家族! 曲に合わせて泣き止ました!」

 〜「ダンスじゃないけど、ある意味スゲー!」


……おお! 「奇跡が起きた」って伏線、無事回収じゃね? 

完全にその場の、奇跡的な思いつきだけど。奇跡は現実世界の方で起こった!


 〜曲が終わった後の講評でも、司会の人がほめてくれた。

 〜「斬新なダンス、というか、ダンスではないですが、家族の絆を感じました!」とのこと。


 〜逆に、良かったんじゃね? 完全にまぐれだったけど。

 〜その後は、描写の濃淡の関係(笑)で、他のチームのダンスも終わって、そして表彰式。


 〜ここから上位2チームが本戦に行ける。

 〜司会の人が、スムーズに進行していく。


 〜「地区1位、なんとかかんとか!」

 〜嫌がらせをしてきた、あのチームのことだ。


「名前(笑)」

『いちいち覚えられないよー(笑)』


 〜「もう1チームは、ムーズ!」 

 〜おおおおおおお!

 〜なお、2位は同点です!


「同率1位(笑)」

『それー!』



 〜それでは、大会委員長の講評です。

 〜今回はなかなかレベル高いです。そして同率1位と珍しい結果になりました。

 〜チームなんとかかんとかは、申し分の無い見事なフォーメーション。これぞダンスだと。素晴らしい感動をくれました。

 〜対する、ムーズさんは、ダンスというカテゴリからは外れるかもしれません。

 〜でも、まさに家族一丸となってとなって息子を泣き止ますという、<家族とは何ぞや>を見せてくれました。

 〜2チームとも、本線でも頑張ってください!


 〜ありがたい講評をもらえて、うれしいアタシ達ムーズ。

 〜「なんとかなったね!」

 〜「あそこでむーさんが泣いてなかったら、どうしようもなかったね」

 〜「むーさん、泣かせてごめんね! でも、ありがとう!」


 〜そうやって盛り上がっていると、例によって、今回1位の「チームなんとかかんとか」がやって来た。

 〜「ただの幸運で残っただけなのに、大騒ぎしちゃって」

 〜「本戦で、たたきつぶしてやるわ!」

 〜そう言い残して、去っていった。


 〜さて、アタシ達も帰りますか。西武池袋「線」で。


 〜「ご飯食べて帰ろう!」とオイラ。

 〜「ごめん、猫が気になるから、そうはいかないの」と、嫁のお母さん。

 〜「じゃあ、祝勝会は後にしようね。おつかれー! 解散!」



 〜と、いいつつ、みんなで駅までまとまって移動した。だって、みんな最寄り駅同じだし(笑)


「あはははははは」


嫁の笑いで、無事このシリーズは、折り返しの13話を終えた。

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