後書き
私は、自分なりに海外で多くの経験をしてきたつもりです。東南アジアを中心に数カ国巡り、韓国では留学や、10年近い在住経験もあります。
そして、在日韓国人3世として生まれた私は、幼い頃から国や国籍に対して敏感でありました。
ただこの作品は、私の経験談だけを元にして書いた訳ではなく、常日頃私が考えている事を題材にして書き上げたものです。
この作品で『あの国』と表現された国は、タイと香港です。
タイでは作品に描いたように、実際に都市派と地方派の争いが起こり、空港占拠なども行われました。皆さんの記憶にも新しいところです。
香港では、本土から押し寄せる共産主義体制に反対し、これまた大規模なデモが行われました。
このような情勢を作品の背景に組み込みました。
そして私が中国本土に足を運んだ時、北朝鮮レストレンで、北から来た人と会いました。
とても不思議な感覚でした。従業員の方々は、日本にいる在日朝鮮人ではなく、今の体制下に生まれた方達なのです。韓国語が話せる私は、『言葉は通じても、会話は成立しない』と考えました。
しかしそうではありませんでした。彼らとは、まるで隣人のように言葉を交わし、冗談も言い合えたのです。
(ちなみに私は、北朝鮮と韓国の統一を、今は望んでいません。韓国も韓国ですが、北朝鮮は余りにも…。しかし、人と人の交わりは回復するべきだと思っています。
ウエスト・Jとイースト・Jは、実はドイツが背景です。ノース・J、サウス・Jとはしませんでした。^^;;
Jは、Japanと…Germanではなくジャーマンをもじったものです。)
北京に訪れた際は、今度は言葉も全く通用しない場所で、タクシーに乗らなければならない状況に合いました。
運転手を選べないのは万国共通だと思われますが、私が乗ったタクシーの運転手は、とても人相が悪く、愛想も良くない方でした。
『やっぱり、中国人って…』
正直そう思いました。
しかしタクシーを降りる時、それでも私を乗せてくれた彼に感謝がしたいと思い、発音もままならない中国語で『謝謝』と笑顔で挨拶すると、彼は満面の笑みで、私よりも素敵な笑顔で、笑い返してくれたのです。
その時、私は思いました。
『持っていた偏見は、私が作った壁のせいだ』と。
テレビやニュース、雑誌などでは、何処かの国を悪く言ったりします。
有名な検索エンジンでは、他国への誹謗中傷が甚だしいです。
しかし彼らは、かつての私がそうだったように、誰かに植え付けられた偏見を材料に愚痴を言っている気がします。本当にその国へ足を運び、悪い印象を受けた人は、ごく僅かだと思えるのです。
では、その偏見を与えたのは誰か…?
それは多分、偏った意見を持つ新聞記事や報道、マスコミや評論、時としては、教育がそうさせると思うのです。
スポンジのように、柔軟で何もない人達の頭には(悪口ではありません。表現です。)、何の判断基準を持たない人達の心には、どうしてもその偏見が素直に入って来ます。
作品で語る『特権』も持たずに、聞いた話で人を判断してしまうのです。
私は、国際結婚をした人々を多く知っています。一見、敵対しているのでは?と思われる国の人同士が、仲睦まじく暮らす姿も知っています。
敵対するアメリカとキューバの人々も、フェイスブックで繋がったりしています。何処かの国では、楽しくお酒を交わしている事でしょう。
日本にも外国人労働者が多くなりましたが、彼らの多くは、印象が良い人達です。
勿論、中には怒りを覚える人もいますが、でも、それは本当に一部の人なのです。
しかし、何かに当てはめて自分の立場を作ろうとする私達は、その一部の人を見て、『やっぱりあの国って…』と定義付ける傾向にあります。
勿体ないです。1人の人を悪く思うだけでなく、残りの人全てを悪く思うのは、とても勿体ない事なのです。
(誰に対しても、警戒心を解いてオープンになれと言っているのではありません。それはそれで、とても危険な行為です。
また、全てに対して良く思う事も、偏見の1つなのです。)
例えばタイで、誰かと誰かが会いました。楽しく食事を食べ、お酒も飲みました。
仲が良くなった頃に素性を聞き合うと、実は都市派と地方派の人達でした。
…果たして彼らはその後、どのような態度を取り合うのでしょうか?言い争ったり、手を出し合ったりするのでしょうか?
ならば何故?彼らはこれまで楽しく過ごしていたのに、何故そうなるのでしょうか?
地方を苦しませたのは、国の政策です。都市派であるその人ではありません。
そして国境と言う壁は、国が作ったものです。何処かの国の人を入国禁止にするのも、国が行う事です。
しかし、国は国。私達は私達だと思うのです。だからこの作品を書いてみました。
作品と同様、ここでも纏まりのない文章を書きました。作品を含め、文章能力が向上すれば編集したいと思います。
つまらない作品ではありますが、(作品でもここでも、表現力が足らないのですが…)後書きに残した事を、受け止めろとは言いません。ただ、私個人の考えではありますが、『そんな奴もいるんだ』と、理解して頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂き、本当に有難う御座いました。
ご指導、ご指摘もお待ちしております。
追伸;こう言った異文化交流、(使いたくない言葉ではありますが)異人種交流には、関心が深いです。
後に、そう言った題材を扱った『遅咲きのルーキーズ』と言う作品も掲載する予定です。もし宜しければ、読んでみて下さい。^^;;
越えられない壁 JUST A MAN @JUST-A-MAN
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