第2話 かたつむり

「で〜んで〜んっむぅ〜しむっしっ、かぁ〜たつ・む・りぃ〜♪お〜前っのぉ目ぇ〜だまっは、どぉ〜こにっあっるぅ〜

♪」


チカ

「せんせー。その歌の事なんですけどー。」


先生

「あ〜。童謡、かたつむりだね。これがどうかしましたか?」


チカ

「でんでんむし、かたつむり、どっちなんですかぁ?」


先生

「あ〜。それはだね〜。本当はどっちも正しくないんだな、コレが。」


チカ

「え〜。どう言う事ですかぁ〜?」


先生

「あ〜。本当はだね〜、マイマイ。生物学的にはマイマイがただしい。」


チカ

「え〜。じゃあなんで、でんでんむしとカタツムリになったんですか〜?」


先生

「あ〜。それはだね〜。まずカタツムリ、の語源はだね。カタ、は傘から来てる。で、ツムリはね、昔は貝の事を ツブリ、ツブロと言ってね傘を付けたツブリ、カタツブリからカタツムリになった、と言う事だ。 でんでんむしの方はだねこれは狂言の物語からきてるのだよ。」


チカ

「狂言〜?」


先生

「あ〜、それはだね。ある日ご主人様に命じられて長寿の薬、カタツムリを取って来いといわれたんだ。カタツムリは頭が黒く、腰に貝を付けて、時々槍を出し、人間位の大きさがある妖獣だとおしえられた家来は山伏をカタツムリだと思い込んで、連れて帰ろうとした。でも山伏がからかうために でんでんむしむし、でんでんむしむし、と踊り囃し立てた。こんな所からついたらしいよ」


チカ

「え〜。でも、でんでん、むしむし。の意味自体がわかんないです〜。」


先生

「あ〜?それはだね〜。出て来い出て来い、虫虫。って事だね。」


チカ

「え〜。変な山伏ですねぇ。でも何でマイマイ、になったんですか?」


先生

「あ〜。やっぱり囃し立て、踊ったからじゃないかね?」


チカ

「はい?」


先生

「だから、舞い舞い、と。」


チカ

「で?」


先生

「狂言には舞踊、も必要だから舞い舞い。」


チカ

「で?じゃあ〜、そのお話しが出来る前はどうだったんですか〜?」


先生

「あ〜。それはだね〜。」


チカ

「それは〜?」


先生

「うん、あ〜、チカさん。」


チカ

「はい。」


先生

「学生の本分は勉強。やはり自分で答えを見つけた時の喜びはすばらしい。先生もあの喜びは何度も味わいました。君にもぜひその喜びを味わって欲しい。先生が君に出来るアドバイスはそれだけです!」


チカ

「じゃあ〜、この件に関しては、先生は喜びを味わってないんですね〜。」


先生

「あ〜。やはり教師としては生徒に学ぶ喜びを‥‥」


チカ

「味わってないんですよね〜?」


先生

「‥‥はい。」

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童謡 〜先生と生徒〜 穂波 類 @zoso

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