第12話 拭えない記憶

(小金目線) 



 …目に映る映像がどんどん切り替わっていく。自分の体はおよそ小学生~中学生辺りか。

そこにいる人や場所が変わるのだが、落とされる言葉はだいたい一緒で。



『消えろ』『うざい』『気持ち悪い』『死ね』『なんで生きてるの?』『汚い』『ゴミ』『近寄るな』



 見覚えのある人たちから、ぶつけられる言葉。それを聞きながら、ただ自分は黙って彼ら彼女らを眺めている。

 またいつものことかと感じているのだが、ある場面に切り替わったときハッとしてしまう。


 

『××○×××○○…』



『○○×××○×○×!』



 ずっとここで住んでいた小さな部屋の中。聞き取れないが、汚い言葉が飛び交っている。

 そして、その矛先が自分へ向かうと…



『この××××××××××が!』



……

…………



 気がついたら、朝だった。目覚ましの鳴り響く音が、ただ無機質に部屋の中に響いている。じんわりと、気持ちの悪い汗が体から噴き出してるのがわかる。



「…今日だっていうのに、こんな夢見るのかよ」



 呟いた言葉に反応する者はいない。何もない、変哲のない部屋でただ1人、枕に顔を押し付けていた。

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