第7話 なるがままに
(小金目線)
「が、がっちゃん」
「…」
いきなり目の前に現れた女子。確か名前は繭村だったはず。身長はさほど大きなく、ぱっと見中学生みたいである。しかし、胸はブレザーを押し上げるように大きく…ゴホンッ。
なぜか俺のことがっちゃんって読んでるけど…えっ、このアダ名流行ってんの?
「…」
「あ、あれ?」
「…」
「いや、なんか反応してよ!」
繭村はおーいやら、生きてますかーとか言って、俺の顔の前で手を振ってきた。
「あっ、悪い悪い。ちょっと考え事してたわ。…ていうか、なんで俺のことがっちゃんって呼んでんの?」
「えっ、だってがっちゃんって呼ばれてるじゃん」
「いや、呼んでるの小沢だけだけど」
「そうなの?女子の何人かはがっちゃんって呼んでるよ?」
「まじか…。小沢のやつなに広めてんだよ」
まさかうちのクラスの女子からもがっちゃんと呼ばれてるとは思わなかった。
思わず小沢の方を見て睨みつけると、小沢は「…?」といった顔をしていた。くそっ、そんなアホっぽい顔されたら許してしまう。
「まぁいいや。がっちゃんでも小金様でも、なんでも呼んでくれ」
「…小金様とは呼ばないし」
「それじゃあな」
「うん、またね…。って、違う違う!!」
話は終わりだろうと思ってこの場を後にしようとしたら、繭村に肩をつかまれる。
えっ、まだなんかあるの?
「なんだよ。俺はこれから用事があるんだけど」
「あ、ゴメン!すぐ終わるから。…あのさ」
「おう」
すると、繭村のほっぺたがポッと赤くなる。
「お、同じハンニナラナイ?」
「えっ、よく聞こえなかった?」
なんか発音とかイントネーションがおかしすぎて何言ってるか分からなかった。
聞き返すと、繭村の顔がさっきよりも赤くなっている。首もとなんて真っ赤だ。
「だ、だから!校外HRの班、一緒になろうって!」
「あっ、そういうことね」
「う、うん」
「ごめん、無理だ」
「…もう、他の女の子たちと組んじゃったの?」
繭村の誘いを断ると、繭村はとても暗い表情をしていた。
なんだか可哀相なことをした気がするが、ここは正直に言おう。
「ああ。俺はもう、桜さんと組んでる(組む予定な)んだ」
「そうなんだ…。そっか、うん」
「ごめんな。だから、俺はもう桜さんの元に行k」
「いや、違うよ」
すると、いきなり佐藤が俺と繭村の間に割って入ってきた。
お前ずっと小沢と喋ってたんじゃなかったのか。
「繭村さん。俺たち桜さんのグループとまだ組んでないから」
「そうなの!?」
「お、おい佐藤。たしかにまだ組んではいないが、これから俺は桜さんのところに行って話に行くつもりであってだな」
「あっ、そうなの?でも、たぶんあっちもう決まってるんじゃない?」
佐藤はそう言って指を差した。その指す方向を辿っていくと、そこには桜さんがいて、桜さんの両隣には女の子がいて、その向かい側には男子が3人…
「な、なんてことだ…………………………………」
全てを悟ってしまった。
「あれ?がっちゃんうずくまってるけど、どしたの?」
「小沢気にするな。現実を受け入れたんでしょ」
「えっと…、佐藤くんたちはまだ女子のグループと組んでないんだよね? じゃあどうする?」
「一緒の班で良いんじゃない?繭村さんたちのところ楽しそうだし」
「俺もいいよー。がっちゃんは倒れたままだけども」
「ありがとう!向井さんとふじこ呼んでくるね~!」
その後、この場に向井さんと峰(ふじこ)もやって来た。どうやら校外HRは、俺、繭村、佐藤、小沢、向井、峰の6人グループらしい。
「小金くんよろしくね?」
向井さんに話しかけられる。
「…おう」
「がっちゃんよろしく~」
ふじこに肩パンパン叩かれな話しかけられる。
「…おう」
「が、がっちゃん」
「…おん?」
何も考えたくなくて、ただ沈んでいたのだが、その声に反応して顔を上げると、、、
「よ、よろしくね?」
「…こちらこそ」
さっきよりも嬉しそうに綻んだ顔した繭村の顔があったので、素直に受け入れることにした。
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