第3話 同じクラスっていいよね

(佐藤目線)

 サッカー部の朝練が終わり、1年B組、自分の教室に入る。

 仮入部の期間も終わり正式に部活に所属することになったので、ドキドキというか少しワクワクしていた。



「おはよー」



 既に前の席には小金が座っていたので、声を掛けると。



「おう。おはよう!」



 …なんか無駄にキラキラしてるな。



「朝からテンション高いけど、どうしたの?」



「ふっ。ちょっとな、良いことがあってだな…」



「良いこと?何があったの?」



 小金はゴホンっと一回咳払いすると、小さな声で俺に言った。



「…好きな子ができた」



「まじで!!?」



「まじだ。大まじだ。今日も学校来るのが楽しかったぜ~」



 小金はニコニコと笑っていた。これがリア充オーラなのか。確かにこいつ顔だけはいいからな。顔だけは。



「そうかよ。おめでとう」



「おう。ありがとな」



「で?その彼女って誰なの?うちのクラス?」



 俺はニヤニヤした顔で尋ねると、小金はポカーンとした顔をしていた。



「彼女?違うちがう。俺振られたし」



「…え?振られたの!!?お前が!!?」



「バカっ。声でかいから」



 俺はすまんすまんと小声で言う。…そうか、イケメンでも振られることあるんだな。なんか笑いがこみ上げて…いかんいかん。



「振られたのかー。そうかー。ドンマイ」



「…なんか嬉しそうだな。おっ」



 こちら側に体を向けていた小金が、急に教室の入り口の方を向いた。

 何かあったのかと気になって見てみると…



「あっ、小金くん…」



 ちょうど教室に入ってきたのは、なぜだか知らないが、少し暗い表情をした女の子。

 確か…隣の席の桜さんだったような。



「桜さん、おはよう!」



 そんな桜さんの顔も気にせずに元気よく挨拶する小金。

 いったい何があったんだ?昨日までは、二人が喋っているところなんて見たことないのに。



「お、おはよう。昨日はその…ごめんね?」



「ぜんぜん大丈夫だ。まだ一回振られただけだし」



「一回?」



「そう。俺ずっと桜さんのこと好きだから。だから、本当に振られるまでは諦めないから!」



「う、うん。わかった」



 桜さんが少し困った表情でそう言うと、小金はパァッと明るい表情をして机に突っ伏した。

 耳が赤くなってるからな。よほど桜さんと会話できたのが嬉しかったのだろう。



「…小金が告白したのって桜さんだったのかよ」



「おい!そんな大きな声で言うなよ!他の人にバレるだろ!」



「いや、もうバレてるけど…」



「えっ…?」



 時すでに遅し。小金は気付いてなかったようだが、周りはみんな小金が桜さんに告白したことを知った。

 だって、俺には小声で話してたけど、桜さんとはめっちゃ大きな声で振られたとか話してんじゃん。そりゃ分かるって。

 ほら、桜さんもみんなに注目されてるからか、少し居心地悪そうな顔して席へついてるぞ…。

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