恋の芽生えの間

無力の罪

渚は自分の部屋に戻った。

僕は泣き止んだ。


渚「............」


実「............」


長い沈黙が続くばかり、最初に口を開けたのは渚だった。


渚「ごめんね、見苦しいもの見せちゃって。ハハハ」


ねぇ、なんで君は笑っていられるの?

自分が一番辛い筈なのに、


実「なんで笑っていられるの?」


涙がまたポロポロと零れる。

ああ、今日はどうしたんだろう、僕。

らしくないなぁ


渚「.........泣きたいよ...」


実「え?」


渚「本当は泣きたいよ。だけど、私は強くならないと、お母さんの為にも!」
















実「...............ちゃんと泣けるじゃん。」


渚「え?」


渚は目元から流れる涙を手で取ってみて、そのあと大泣きした。

僕は、無力だから、肩を貸すことしかできなかった。

でもそれでも僕は嬉しいんだ。

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