第24話 高崎

「おお、誠じゃないか。こんな所に何しに来たんだ?」


ちょうど高崎が家から出てきた訳だが、開口一番これである。


俺はそれを聞いて、その場で倒れそうになった。


こっちは山道を歩いて、珈琲飲んで、執事と闇蜘蛛と戦って、地下室に潜って、闇蜘蛛の親玉を退治して、また山道を登ったんだぞ……。


「それは冗談として、とりあえず中に入れ」


高崎を後ろから殴ってやろうかと思いつつ、誘導に従い、茅葺きの家に入る。


「その様子だと、また巻き込まれたのか?」


生まれて初めて見た囲炉裏の側で座ると、高崎がそう聞いてきた。


高崎は友達の中で唯一、俺が怪異を退治している事を知っている人物だ。

こいつはのらりくらりしてはいるが、秘密は守る主義なので困った時は相談していたりする。


「まあな。柊家の別荘は分かるか?」


「ああ、着物姿がよく似合って、

 将来べっぴんさんになる事確実な琴音ちゃんだろう?」


やはりここらでは柊家は有名なようだ、と言うかべっぴんさんって久々に聞いたな。


「そう、その柊家の別荘の地下に、闇蜘蛛が出たから退治してきたんだよ」


「だから最近この山で、人がいなくなったりしていたのか」


高崎によると、いなくなったのは、身寄りのない高齢者ばかりだそうだが、

警察とよく話し合って対応する必要があるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る