第18話 想いし人

「悲劇の連鎖を止められたのは琴音のおかげだからな……って、

 琴音は最近悲劇が終わるように願ったりしてたか?」


「うん。リビングで襲われたり、地下室に連れて行かれたり、

 してたみたいだから」


あのSOSはやはり琴音だったか。


「琴音の願いが届いたおかげで、ここに来れたんだから自信持っていこうな」


「??」


「まあ闇蜘蛛の件が済んだらゆっくり話してやるから」


頭にハテママークをつけた琴音に、再度ポンポンとすると、気を引きしめて次の行動に移す。


「それじゃ話は終わりにして、ここからが本番だ。

 俺も力を使うけど、まああまり気にしないでいてくれ」


俺は周囲にあるエネルギーを取り込むイメージを頭に浮かべて、傘を握りしめる。


傘がイメージに呼応して、傘の先から傘布部分まで発光し始める。


「綺麗……」


「あまり人に見せる機会がないけど、綺麗と言われると嬉しいものなんだな」


「かっこいいと思う。頑張って」


「ありがとう。それじゃ部屋に入るぞ」


右手に傘を構えたまま、最初の扉をゆっくりと開ける。


扉がギギギと鈍い音を立てるため、一層緊張感が沸いてくる。


1つ目の部屋に足を踏み入れると、廊下と同様明かりがないので、琴音に懐中電灯で照らしてもらう。


懐中電灯の明かりに合わせて、何かが動く気配があるが、大きさが小さく動きが素早いため、目視できない。


「琴音、何か嫌な感じとか伝わってこないか?」


懐中電灯の明かりを便りに辺りを警戒しながら、琴音にそう問いかける。


「何か左の方に……」


琴音はそう言って、懐中電灯の明かりを左方向に向けると、何かの始動をとらえた。

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