第17話 糸
「さて問題は次だな……」
始動のある生物なら目視できるが、闇蜘蛛の張った動かない糸は俺では視認しづらい。
たぶん俺が一人だったら、全部傘で祓って通り抜ける所だが、今は琴音に危険が及ばないようにする事が一番重要なので、糸を回避して進む事にしよう。
「琴音、次はどうすればいい?」
そう言うと琴音は俺と糸の場所を交互に見比べ、「四つん這いで進めば大丈夫」と短い言葉で答えた。
「四つん這いな、OK」
琴音の言う事に従い、四つん這いになって扉の前まで進む。
「あ」
「……え?」
琴音が「あ」と発言した瞬間、頭に何か触れた気配がしたため、すぐにうつ伏せの体制に変える。
「……ごめんなさい」
琴音が小声で謝罪をしたが時既に遅し。
糸の始動を感じたため、すぐに立ち上がって、傘で叩き切った。
「ああ、これは闇蜘蛛に居場所まで特定されたな」
振動する糸が、壁の隙間を通って奥まで伸びているのが見えたので間違いない。
「琴音、気にするな。
どっちみち戦うのは避けて通れないから、この方が返って楽だし」
「ごめんなさい」と頭を下げる琴音の頭をポンポンとして、頭を起こさせる。
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