第16話 地下

吸い込まれそうな闇が続く階段に、怪異に慣れている俺でも息が詰まりそうになる。


「琴音。俺の後ろに隠れつつ、階段の先を見てもらえるか?」


「ん」


琴音が小さく頷くと俺の背後に隠れた状態で懐中電灯で照らし、先の方に目をやった。


「特に何もない」


「OK。それなら降りても大丈夫そうだ。

 響、琴音と沙耶ちゃんは必ず守るから俺に任せてくれ」


響に親指を立てて、大丈夫と合図を送る。


響がそれに小さく頷くのを確認すると、俺は琴音に懐中電灯で照らしてもらいながら、ゆっくりと階段を降りていった。


琴音の盾となり、警戒しながら地下へと降りて行くが、今のところ闇蜘蛛の気配や障害物になるものも特になかった。


その後も何事なく無事地下室へ降り立つと、地下室の見取り図を出して確認する。


廊下がここから正面に伸びていて、左側に部屋に行くための扉があり、中に入るとその奥には、もう1つ部屋があるようだ。


「琴音、正面の廊下に何か見えるか?」


「……何か線のようなものが、2本だけ見える」


侵入を知らせるために、闇蜘蛛が糸を垂らしているのだろうな。


「場所はどこにある?」


「誠の1歩歩いた先、頭くらいの高さ。もう1つは扉の手前、私の腰の高さ」


俺の頭の高さなら屈めばいいが、2本目の琴音の腰の高さはやっかいだ。


「とりあえず手前の糸を屈んで通り抜けよう。

 その後は扉より幾らか前でストップだ」


「分かった」


まず1本目の糸を通過するため、中腰になって歩き、琴音が「良い」と言う場所で足を止める。


琴音は身長が155cmほどなので、屈む事なくスタスタと歩いてきた。


ちなみに俺は身長が173cmで、響は175cm超と言った所だろう。

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